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更新日:2019.09.04 / 掲載日:2018.11.21

【ポルシェ 911】新型登場で相場が動く!? 過去全世代の中古車動向を調査してみた

 ポルシェブランドのトップガンと言えば、やはり911。そんな911の次世代型がいよいよお目見えすることになった。初代911が誕生してから来年で55年目、世代で言えば新型は8代目に当たるが、おそらくファンの期待を上まわる完成度でデビューするに違いない。しかしながら、911というクルマは世代交代しても、従来型の価値は下がらないのが通例。どの世代の911にも熱烈なファンが存在し、中古車市場では高値で取引されている。だから、新型登場でお買い得に…という、いつものフレーズが使えないのが残念なところだが、そうは言っても相場が低めの年式、グレードが存在するのも事実だ。今回は全世代の911について中古車状況を俯瞰し、現実的な予算で探せるモデルを提案していきたい。

ポルシェ911ってどんなクルマ?

 ポルシェの小型スポーツカー「356」の後継として、1964年に登場したのが911。以降、現在まで途絶えることなく生産され続けるスポーツカーのロングセラーである。911の大きな特徴として、リヤエンジンレイアウトを採用することが挙げられる。かつてはVW タイプIやアルピーヌ、スバル360など多くの車種に採用されていたが、現在では珍しいレイアウト。リヤの車軸よりも後方にエンジンを搭載するため、トラクションに優れるなど構造上のメリットがある一方、車体の安定性という面ではデメリットと言われている。しかしポルシェはリヤエンジンを911の揺るがないアイデンティティと考え、初代から首尾一貫して採用し続けてきた。また水平対向エンジンも911の特徴のひとつ。

 現時点で911は7世代に区分できるが、そのなかでも空冷期と水冷期に大別できる。エンジン冷却装置が空冷の911は97年モデル以前、水冷は98年モデル以降となっており、エンジン音やフィーリングは両者のあいだでかなり異なっている。水冷911はメカニズムがグッと近代化され、信頼性や性能が高まったものの、昔ながらの911ファンのなかには空冷を好む人も大勢いる。それゆえ相場は、古い=安いという法則が成り立たず、独特の相場状況となっているのが難しいところ。

 911はグレード展開もバリエーションに富んでおり、ベーシックな「カレラ」をはじめ、ハイパフォーマンスな「ターボ」、サーキット走行も視野に入れたハードコア仕様「GT3」、さらに高性能なトップモデル「GT2」などが存在する。ボディは2+2シーターのクーペとカブリオレが基本だが、タルガトップや2座オープン仕様「スピードスター」なども過去にリリースされたことがある。このように1車種で幅広いモデルレンジを持つことも、ライバルのフェラーリやランボルギーニにはない特徴と言っていい。

  • 901型

  • 930型

  • 964型

  • 993型

  • 996型

  • 997型

ポルシェ911の世代別中古車相場は?

 先にも述べたとおり、現在までに7世代に渡って存在する。ここでは、初代の901型(通称ナローモデル)から最新の991型まで、世代別の中古車平均価格を見ていこう。

世代別中古車平均価格
世代中古車平均価格
9011383万円
930832万円
964820万円
993832万円
996372万円
997708万円
9911434万円
※中古車平均価格はグーネット2018年11月9日現在のデータによる。

空冷シリーズは964または993が現実的

 まずは空冷シリーズ(901、930、964、993)に注目してみよう。ナローと呼ばれる901(64年~73年)は、完全にクラシックカーとして考えた方がよい。物件によって価格に大きな開きがあるものの、平均すると相場は1000万円。高いものだと2000万円を軽く超えるものも存在する。要問い合わせの物件が大半のため、この世代をピンポイントで探すなら専門店に相談するのがベスト。

 930は、厳密には911ターボを指す型式だが、ここでは74年~88年モデルまでの911すべてを含めることにする。この世代は、衝突安全規制に対応するべく5マイルバンパー(通称ビックバンパー)が装着されたのが特徴。平均価格は901よりも低く、物件もそれなりに揃っている。それでも整備が行き届いたものは、走行距離が伸びていても600万円~1000万円ほどの予算は必要だろう。メーター改ざん車など、過去の履歴がたどれないものは500万円台の物件も確認できた。

 911は89年にモデルチェンジを受けて964と呼ばれる世代に進化する。デザインこそ930によく似ているが。実質初のフルモデルチェンジと言われるほど大改良を受けた。とくにサスペンションがトーションバー・スプリングからコイルスプリングになり、現代的な運動性能を獲得。日常での快適性も飛躍的に高まり、クルマとしての信頼性が大きく高まった。また空冷のなかでもっとも中古車が多く、後の993とともに空冷を買うならこの世代以降が現実的なライン。走行距離は10万km前後が多く、およそ600万円の予算から探せる。じつは以前、この世代の相場が高騰していたが、ここ1~2年は少し落ち着いてきた。

 93年にはモデルチェンジを受け993へ外観をリニューアル。ヘッドライトの傾斜角がなだらかになり、いわゆるカエル顔の先代から、現行型に通じたイメージのルックスになった。中古車は964よりもやや少ないが、相場はそれほど変わりがない。下は500万円から、良質な個体ならば900万円がおおよその相場。なおターボやカレラRSなど、いわゆる「役付き」と言われるモデルは、この世代以前の911ではあまり流通していないようだ。

水冷狙いなら、997が断然オススメ

 98年にはモデルチェンジを受け、996と呼ばれる水冷世代に入る。これ以降は中古車の数が桁違いに増えており、予算さえ許せばある程度好みのグレード、ボディ、トランスミッションを選ぶことが可能だ。2005年、2012年にはモデルチェンジを受け、それぞれ997、991へと進化し、水冷911は通算3世代が流通することになる。初期の996は平均価格が低いので一見すると買いやすそうだが、物件は少なめで、走行距離もかなり伸びたものが多い。コンディション、物件数などを考慮すると、狙い目なのは997世代。こちらの平均価格は708万円で、年式やグレードによっては500万円前後の予算から探せる。なお991は相場がかなり高額(997のおよそ2倍)なので、気軽に入手…というわけにはいかなそうだ。

ポルシェ911のグレード別中古車相場は?

 ここでは、コンディションと価格のバランスに優れた997のグレード構成に注目してみたい。997には、カレラ/カレラS、ターボ/ターボS、GT3/GT3 RS、GT2と豊富なモデルが設定される。ちなみに、「S」という表記があるモデルは高出力かつ高トルクな仕様で、最近のポルシェによく用いられている記号。なお997世代の911は、2008年以降に大幅なマイナーチェンジを受け、カレラ、GT3、ターボの順で、次々とエンジンが直噴化された。これと同時にトランスミッションは、トルコン式AT(ティプトロニックS)からデュアルクラッチ式(PDK)に変更されている。

グレード別中古車平均価格(997型)
グレード中古車平均価格
カレラ/カレラS543万円
ターボ/ターボS925万円
GT3/GT3 RS1447万円
※中古車平均価格はグーネット2018年11月9日現在のデータによる。

もっともスタンダードな「カレラ」が探しやすい

 ターボ系、GT3系の相場は別格。物件数は両者とも同程度だが、とくにGT3系は経年でも価値が下がらず、高値をキープし続けている。一般的なユーザーにオススメなのは、やはりカレラシリーズだろう。物件が充実しており、平均価格は543万円と911としてはかなりリーズナブル。カレラ系の内訳に注目すると、「カレラ」と「カレラS」の比率はほぼ同程度で、平均価格は前者が506万円、後者は561万円となっている。駆動方式別では、4WDのカレラ4/カレラ4Sは全体の2割ほどに留まる。

 トランスミッションは、マニュアルが全体の15%程度しか流通していないから、3ペダルのカレラを探しているなら、探すのに少し苦労するかもしれない。最後にボディタイプ別に見ると、9割以上がクーペで構成され、カブリオレ、タルガはともに1割以下である。結論を述べると、もっとも買いやすいのはクーペの「カレラ」で、かつAT車ということになる。この条件だと300万円台後半の物件でも検索にヒットするはずだ。

ポルシェ911中古車相場のまとめ

 911というクルマは、全世代を通して見ると非常に膨大な仕様が存在する。そのどれもが価値あるもので、コンディション次第では古くても高額で取引されている。まもなく新型がお披露目されるが、だからと言って従来型の相場が下がったり、買いやすくなったりしにくいから、購入のハードルは一般のクルマと比べてかなり高いのは事実。逆に言えば、たとえ中古車でも綺麗にジョンディションを維持できれば、手放す時に価値があまり変わらないということだ。購入の際は、妥協しないクルマ選びで、最高の1台を見つけ出そう。

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グーネットマガジン編集部

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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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