輸入車
更新日:2020.12.04 / 掲載日:2020.12.04
マイバッハ|ブランドヒストリー vol.8|
文●ユニット・コンパス 写真●メルセデス・ベンツ
※中古車参考価格はすべてグーネット2020年11月調べ。
※写真は一部本国仕様の場合があります。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2021年1月号の内容です)
ドイツを代表する超高級車ブランド、マイバッハ。なぜマイバッハが超高級車ブランドとなったのか、その歴史を紐とく。
巨大飛行船にエンジンを供給して名声を高めた
20世紀初頭のドイツ。富裕層の移動手段がそれまでの馬車から内燃機関を備えた自動車へと移りゆくそのタイミングで、マイバッハは誕生した。
創設者であるヴィルヘルム・マイバッハは、ダイムラー社でゴットリープ・ダイムラーの元で主任技師を勤め、メルセデス1号車(1901年)の完成に大きく貢献。独立後は、息子であるカール・マイバッハとともにエンジン製作のための会社「マイバッハ エンジン製作会社」を立ち上げた。そして巨大な硬式飛行船のためのV12エンジンを手掛けると、その名声は大いに高まり、「設計の王様」と称賛されることとなった。
第一次大戦が終わり、高級車メーカーへと転身したマイバッハ社は、母国が復興していくのに合わせるように、ドイツで初めて自動車にV12エンジンを搭載したマイバッハ DS7など、豪華かつ高性能なモデルを矢継ぎ早に発表してゆく。その極め付けとなったのが、マイバッハ ツェッペリンである。これは、飛行船による世界一周を実現させたツェッペリン伯号にちなんだネーミングで、究極的な高級車であるという自信の現れでもあった。
1952年にカール・マイバッハの引退をきっかけとしてダイムラーベンツ社の傘下となったマイバッハが、また歴史の表舞台に登場したのは1997年のこと。東京モーターショーにSクラスのプラットフォームをベースに専用の内外装を与えたコンセプトモデルが登場したのだ。 2002年に「57」、「62」として復活したマイバッハ。Sクラスをベースにしていると言いながらも、伝説の名前にふさわしい、最先端の機能と豪華な装備を誇ったラグジュアリーカーであった。
2015年からは、メルセデスブランドの最上級モデルというポジショニングが与えられたマイバッハ。時代に合わせて姿を変えつつも、ラグジュアリーの真髄を知る、その本質に変わりはない。
メルセデスの第1号車を設計した稀代の天才エンジニア
ダイムラー社でメルセデスの1号車を設計するなど活躍したヴィルヘルム・マイバッハ(写真上左)が独立、エンジン製造会社を設立したのがマイバッハの始まり。息子であるカール・マイバッハ(写真上右)とともに、陸海空とあらゆる分野に設計者としての腕を振るった。その功績から「キング・オブ・デザイン(設計の王様)」と讃えられた。
[CLOSE UP]超高級電気自動車のコンセプトモデル
2016年のパリモーターショーで発表された超高級BEV(電気自動車)のコンセプトモデル「マイバッハ6」。マイバッハというブランドの世界観をアピールするものだが、実車の登場も待ち望まれる。2017年にはカブリオレバージョンも発表され、その美しさに改めて注目が集まった。
1997年の東京モーターショーで発表されたマイバッハの復活
ブランド復活の狼煙(のろし)として、1997年の東京モーターショーに出品されたコンセプトカー「マイバッハ」。コンセプトカーのデザインは、東京にあるデザインセンターが手掛けたもの。復活した現代版マイバッハは2002年に市販化された
2002年に市販モデルとして60年ぶりの復活を果たしたマイバッハ。全長6.17mの「62」と全長5.73mの「57」という2モデルでスタート。のちに、エンジンなどを高性能に仕立てた「57S」、「62S」も追加。
時速350kmの速度記録を達成した世界に1台だけの2シータークーペ
「マイバッハ エクセレロ」は、「57」をベースに作られたワンオフモデルで、ドイツのタイヤメーカーであるフルダがプロモーションのために制作を依頼したもの。後に約8億円でユーザーに販売された。「メルセデス・マイバッハ」としてブランドの再スタートを図る
2013年に販売を終了していたマイバッハブランドが、2015年に「メルセデス・マイバッハ」として再スタート。Sクラスをベースとしたロングホイールベース版ラグジュアリーグレードという性格だ。
いまオススメの中古車で探せる[マイバッハ]
マイバッハ 57/57S
約5.7mの全長から「57」というネーミングが与えられた。ブランドにおいてドライバーズカーとしての利用も想定されている。搭載するのは5.5LのV12ツインターボで最高出力550馬力。2005年にはハイパフォーマンスモデルの「57S」も追加された。
中古車参考価格帯:700万円~2000万円(02年~12年)
マイバッハ 62
全長約6.2m、約3.8mの長大なホイールベースを生かし、ショーファードリブンとして使われることを想定したモデル。後席には豪華なリクライニングシートを標準装備し、前席と後席を遮断する液晶調光電動ガラスパーテーションなどが用意された。
中古車参考価格帯:750万円~1000万円(02年~12年)
メルセデス・マイバッハ S550
日本では2015年に導入されたメルセデスのサブブランド「メルセデス・マイバッハ」の第1段モデル。Sクラスのロングホイールベースモデルよりもさらに200mm延長された堂々たる車体を誇る。2017年のマイナーチェンジで「S560」となった。
中古車参考価格帯:750万円~1300万円(15年~20年)
メルセデス・マイバッハ S650
メルセデス・マイバッハのフラッグシップにあたるのが「S650」。エンジンは6L V12ツインターボで最高出力は630馬力。左右独立したリヤシートを持つファーストクラスパッケージなど、ショーファー用途にもふさわしい装備内容を誇る。
中古車参考価格帯:1300万円~1900万円(15年~20年)