輸入車
更新日:2024.02.26 / 掲載日:2022.06.04
アストンマーティン DBシリーズ|語り継がれる名車の系譜 vol.18|

文●ユニット・コンパス 写真●アストンマーティン
※中古車参考価格はすべてグーネット2022年5月調べ。
※写真は一部本国仕様の場合があります。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2022年7月号の内容です)
1913年から歴史を紡ぐ、イギリスの名門スポーツカーブランドであるアストンマーティンの歴史を紐解く。
英国的価値を凝縮した美しきスポーツカー
極めて英国的な価値観で作られる超高級モデル
欧州車のなかでもイギリス発祥のブランドには独自の個性がある。創業から100年以上の歴史を重ねるアストンマーティンもそのひとつ。ブランドが備える価値についてアストンマーティンは、「美しさ」、「職人技」、そして「アート」と説明する。
その最初の1台は、他ブランドの市販車を改造した公道レーサーだった。戦前のアストンは精力的にレースに参加し好成績を収めるものの、経営的には不安定だった。戦後、デイヴィッド・ブラウン傘下となったアストンは、ベントレーの創設者でエンジニアだったウォルター・オーウェン・ベントレーの力を借りて、戦後世界にふさわしい近代的なスポーツカー作りに励むことになる。「DB」シリーズもここからスタート。新しいアストンは世界の著名レースで勝利し、高性能を誇ると同時に、老舗のボディ製作会社を取り込むことで美しいスタイルも両立させた。1950年代はまさにブランドにとって絶頂期であり、数々の名車が生み出されることになる。
現在でもモータースポーツの最高峰であるF1に参戦するなど、ブランドの歴史を正しく受け継いでいるアストンマーティン。美しく、控えめで、とてつもないパフォーマンスを内包したその市販車は、ある意味で究極のクルマ趣味人のためにある。そんなところもまた、イギリスのブランドらしい個性なのだ。
アストンマーティン DB11はこんなクルマ

2+2シーターの高級グランドツーリングカーであるDBシリーズは、アストンマーティンにとって最も歴史ある存在。現行モデルはDB11を名乗る。

アストンマーティンにとって初のターボモデルで、5.2L V12ターボまたは4L V8ターボを車体前方の重心近くに搭載する。

彫刻作品のような美しいスタイリングはDB11の大きな魅力。機能とスタイリングを高次元で融合する。

V12モデルの最高出力は630馬力で、その最高速度は334km/hに到達する。優雅なスタイルではあるが、中身は硬派だ。
[アストンマーティン DBシリーズが名車になった理由]サーキットで伝説を打ち立て、「007」への登場で人気に
当時のイギリス車として群を抜く性能を誇った

デビッド・ブラウン体勢となって初の市販車が1950年登場の「DB2」。ル・マン24時間レースでクラス優勝を遂げ、アストンの名を世界に広めることになる。レースで実証された性能が新興ブランドの価値を大いに高めた。
24億円以上の価格で落札された伝説のレースカー

アストンの高性能イメージを決定づけたのが、純レーシングカーの「DBR1」(1956年)。モスやブラバムといった名手が駆り、ルマン総合優勝を実現。2017年にはオークションに出品され、約24億6550万円で落札された。
速さだけでなく美しさと希少価値も大きな魅力

真の意味で富裕層に向けたブランドであるアストンマーティンは、ごく少数の特別なモデルを生み出している。イタリアの名門コーチビルダーとコラボした「DB4 GT ザガード」(1960年)はわずか19台のみが生産された。
映画「007」への登場でその知名度は世界レベルに

一般的なクルマ好きにアストンマーティンの存在を知らせるきっかけとなったのが、映画『007』シリーズの登場だろう。特に初代ボンドカーである「DB5」は、たびたび映画に登場する“人気キャラクター”となっている。
いま買いの中古車たち
アストンマーティン DB11

伝統を色濃く受け継ぐDBシリーズの現行モデル。DB11は、2013年に創立100周年を迎えたアストンマーティンが次の100年を意識し、改革した初のモデルでもある。アストンのなかでは中古車物件も多い。
中古車参考価格帯:1600万円〜2700万円(17年〜22年 全グレード)
アストンマーティン DB9

アルミ製スペースフレームを採用し、軽量化と高剛性を両立させた近代アストンの名作。写真のクーペに加えてオープントップ版の「ヴォランテ」もラインアップ。価格と内容のバランスに優れるが物件数は少なめ。
中古車参考価格帯:500万円〜1200万円(05年〜16年 全グレード)
アストンマーティン V8 ヴァンテージ(先代)

2シーターでボディサイズもコンパクトなV8ヴァンテージは、スポーツ性能を追求したリアルスポーツカーというキャラクター。先代モデルは比較的中古車の台数も多く、初めてのアストンとしても人気がある。
中古車参考価格帯:500万円〜1200万円(06年〜17年 全グレード)
アストンマーティン DB7

フォード傘下時代の作品であるDB7もいよいよセミクラシックの領域に突入してきた。フォードのプレミアム系モデルと部品を共有したことは賛否を呼んだが、結果的に品質改善につながった。物件数は少なく希少だ。
中古車参考価格帯:450万円〜800万円(95年〜99年 全グレード)