徹底分析中古車相場
更新日:2018.11.25 / 掲載日:2018.01.18
【三菱 デリカD:5】中古車探しの難易度は高め!? お得な買い方はコレ!

デリカD:5ってどんなクルマ?
三菱のラインアップのなかで、ここ最近とくに人気の高いモデルがデリカD:5である。「デリカ」というネーミングは1960年代後半から存在するもので、三菱のなかでは歴史あるモデルと言っていい。デビュー当初は商用車のイメージが強く、広い荷室を備えたバン仕様が主流だった。しかし、その血を引き継いで1994年に登場したデリカスペースギアは、パジェロ譲りの4WDシャシーに最大8名乗車が可能な3列シートミニバンのボディを組み合わせ、アウトドア好きのユーザーを中心に大ヒット! 日本におけるミニバンブームの先駆けとして、一気にスターダムにのし上がった。
今回紹介するデリカD:5は、そんな偉大なクルマの後継として2007年1月に発表された。クロカン4WD+ミニバンというスペースギアのDNAをしっかり受け継ぎつつも、コンセプトカーそのままの斬新なスタイルをまとい、ファンの心をグッと掴んでいる。とくにデリカD:5の4WD性能は、そこらのSUVを寄せ付けないほど本格的。三菱がAWC(オール・ホイール・コントロール)と呼ぶこの電子制御4WDは、低燃費な2WDモード、走行状況に応じて前後にトルクを配分する4WDオートモード、さらにデフロックすることで常に四輪で走れる4WDロックモードを手動で切り替えられる。また、4WD車はアプローチアングルが24度、ディパーチャーアングル22.5度と、本格SUVも顔負けのオフロード性能が与えられている。既存のミニバンやSUVの枠に収まらぬ型破りな存在感こそ、デリカD:5の大きな魅力なのだ。
しかし、人気者ゆえ中古車市場でも引く手あまたの存在で、デリカD:5では長らく高値安定が続いている。それでも登場から11年が経過しているから、賢く探せばリーズナブルに入手することも不可能ではない。今回はそこを掘り下げ、ベストバイなゾーンを探ってみたい。
グレード別の相場動向を知る

デリカD:5には数多くのグレードが用意されている。また、グレードごとにガソリン2.4L 直4、ガソリン2.0L 直4、ディーゼル2.3L 直4ターボという3タイプのエンジンが選べる。ちなみにガソリン2.0LはFWDのみだ。一方、エアロをまとった「ローデスト」、冬季に発売される専用内装が魅力の特別仕様車「シャモニー」、オレンジのアクセントラインが印象的な「アクティブギア」といった専用仕立てのモデルも存在するから、グレード選びはとても悩ましい。ここでは、グレード別とエンジン別に分け、中古車相場を見ていこう。
グレード | 中古車平均価格 |
M系 | 156万円 |
G系 | 173万円 |
D系 | 297万円 |
ローデスト系 | 171万円 |
シャモニー | 233万円 |
アクティブギア | 371万円 |
グレード別でもっとも物件が多いのは、D系。この「D」はディーゼルであることを意味し、デリカD:5の中心的な存在となっている。次にガソリンの売れ筋グレードであるG系が続く。ちなみに装備が簡略化されたエントリーモデルのM系は、あまり市場に流通していないようだ。
グレード | 中古車平均価格 |
2.0(ガソリン) | 150万円 |
2.4(ガソリン) | 160万円 |
2.3(ディーゼル) | 302万円 |
ディーゼルは非常に豊富に流通しているものの、ガソリンと比べる高価で、およそ2倍近くのプライスだ。一方ガソリンは全体的にリーズナブルで、FWD/4WD問わず、どのグレードでも相場に大きな差はないようだ。なおディーゼルは2013年1月に発売されており、ほとんどが高年式の物件となる。それもディーゼルの中古車が高価な理由のひとつだろう。
デリカD:5のディーゼルエンジンは、ポスト新長期規制に適合した、いわゆるクリーンディーゼルと呼ばれるもの。ただしドライブフィールは、最新世代のディーゼルと比べるとやや見劣りするシーンもあり、燃費性能もガソリンとそれほど大きな差はない。もちろんトルクのある豪快な走りっぷりは、デリカD:5のキャラにぴったりだが、この価格差を埋め合わせるほど有力な選択肢かと言われると、やや疑問。価格を重視した中古車購入にかぎれば、手が届きやすいガソリンモデルがオススメかもしれない。
年式別に見る中古車相場と走行距離

デビューから11年にもなるデリカD:5は、現在までに幾度かの改良が加えられている。最初の大きな改良は2009年で、CVT制御が見直されて燃費を改善。ヒルスタートアシストなどの走行サポート機能などが加わり、内外装の質感も高められた。2010年1月にはFWD車のエンジンが2.0L 直4に変更され、従来の2.4Lエンジンと比べて燃費性能が大きく向上。そして2012年12月にはクリーンディーゼル搭載グレード「D」が登場し、その後も細かな改良を重ね、現在に至っている。
メカニズムの度重なる仕様変更によって年々熟成されているデリカD:5だが、個性的な外観はほぼデビュー当時のままだから、見た目に大きな差はない。じつは、ここがデリカD:5の魅力なのだ。リーズナブルな初期型を買っても、新車とほぼ同じ見た目なので、あまり見劣りしないのである。それを踏まえ、年式別中古車平均価格をチェックしてみたい。
年式 | 中古車平均価格 |
2007年式 | 121万円 |
2008年式 | 125万円 |
2009年式 | 140万円 |
2010年式 | 172万円 |
2011年式 | 176万円 |
2012年式 | 193万円 |
2013年式 | 254万円 |
2014年式 | 277万円 |
2015年式 | 297万円 |
2016年式 | 311万円 |
2017年式 | 303万円 |
上の表を見ると、相場が大きく変動しているのは2012年から2013年にかけて。このタイミングは、ディーゼルの追加時期と重なる。ガソリンとディーゼルは新車時価格で40万円ほど開きがある(ディーゼルのほうが高価)が、中古車市場では、その差はさらに広がっている。一般論では、中古車になると新車時の価格差が小さくなる傾向が多いが、デリカD:5は逆なのだ。ディーゼル登場以降は物件数が大きく増加し、高年式の平均価格が上がってしまっている。
そんなわけで、2012年式以降はガソリン車の物件が極端に少ないため、リーズナブルな価格で買いたいなら、2012年式以前のガソリン車がねらい目と言えそうだ。ただし、注意したいのは走行距離。たとえば2012年式では、走行距離5万km以下の物件は半数以下しかない。少し遡った2010年式の5万km以下は、全体の2割程度と非常に少なくなっている。つまり、低走行かつ価格がリーズナブルな物件が少ないことを頭に入れておこう。ひとつの目安として、走行距離5万km~7万kmで探すなら、年式は2010年前後、相場は200万円(ガソリン車)と言ったところだろう。
新型SUVの登場で相場はどう動く?

先日、新型SUVのエクリプスクロスが発表された。三菱としては久々のニューモデルで、その洗練されたルックスは非常に魅力的である。三菱製SUVのポジションとしては、RVRとアウトランダーの中間サイズ。いわゆるコンパクトSUVと呼ばれるもので、デザイン性と実用面、そして三菱ならではのオフロード性能をも両立した1台となっている。
しかし、デリカD:5はあくまでミニバンとしてのニーズが強いため、2列シートSUVのエクリプスクロスと競合することなく、中古車相場にほとんど影響しなさそうだ。逆に言えば、極端な値崩れは、当分のあいだ期待できそうにない。
ちなみに現在、2017年式のデリカD:5の登録済未使用車が市場に数多く流通している。デリカの新型登場はもうしばらく先になりそうだから、新車とほぼ同様のコンディションを誇る登録済未使用車を探すという手もある。リセールバリューが高く、競合するライバルがいないデリカD:5は、いま購入しても当分楽しめるクルマと言っていいだろう。