徹底分析中古車相場
更新日:2018.11.27 / 掲載日:2018.01.26
【トヨタ プリウスα】ライバルよりもお買い得? データ分析で見えた相場状況とは
プリウスαってどんなポジションにあるの?
2011年5月、先代プリウスをベースとしたミニバン「プリウスα」が発表された。ミニバンとは言っても、プリウスのホイールベースやリヤセクションを延長して室内空間を拡大した派生車種というポジションのクルマ。室内は3列シートのほかスタンダードな2列シートも設定するから、3列目までしっかり座れるノア/ヴォクシーに比べると、ミニバンとしての性能は高くない。でも、そのネーミングのとおり、プリウスに+αのゆとりがほしいと考えていたひとにはジャストサイズの大きさで、使い勝手のよいハイブリッドカーとして人気を集めている。
プリウスαと直接競合するライバルは、国内にはほとんど存在しない。しかし「+αのゆとり」という意味では、ハイブリッドを設定するコンパクトミニバンと比較されることが多いだろう。今回はフリードシリーズのフリードハイブリッド、シエンタハイブリッドの相場を交えながら、プリウスαの中古車動向を探っていこう。
まずは、モデル別の中古車平均価格を見てみたい。
車種 | 中古車平均価格 |
トヨタ プリウスα | 164万円 |
トヨタ シエンタハイブリッド | 205万円 |
ホンダ フリードハイブリッド(先代) | 150万円 |
ホンダ フリードハイブリッド(現行) | 244万円 |
シエンタハイブリッドは2015年7月、現行型フリードハイブリッドは2016年9月にデビューしており、中古車はまだまだ高値をキープ。それゆえ価格においては、先代フリードハイブリッドがプリウスαと競合する。しかしJC08モード燃費を見ると、先代フリードハイブリッドが最大21.6km/Lであるのに対し、プリウスαは26.2km/Lと大幅に上まわるのが強みだ。
一方これらのライバルはスライドドアを採用するのに対し、プリウスαは通常のヒンジドアだから、ミニバンとして設計されたライバルには使い勝手の面で敵わない。しかし燃費や走りの質感と言ったクルマのトータル性能は、ひとクラス上に位置するプリウスαに軍配があがるだろう。
グレード別の相場動向を徹底分析!
プリウスαのグレード構成は非常にシンプル。ベーシックな「S」と上位グレード「G」という2モデルが基本で、両者の間にメカニズム面の差はなく、装備が異なるだけだ。具体的には、上位の「G」はフロントシート調整が8ウェイ(Gは6ウェイ)になっていたり、室内トリムが異なる程度。安全装備などは全車共通なので、中古車を選ぶ際はあまり気にする必要がない。むしろ、それぞれのグレードに設定される「ツーリングセレクション」はホイールサイズが17インチとなり、外観上の差があることを覚えておこう。このほか、スポーティバージョンの「G’s」もあり、走りを重視するユーザーにも訴求している。では早速、グレード別の中古車平均価格を見ていこう。
グレード | 中古車平均価格 |
S | 159万円 |
S ツーリングセレクション | 164万円 |
G | 159万円 |
G ツーリングセレクション | 172万円 |
G’s | 272万円 |
データを見ると、「G ツーリングセレクション」がやや高値なのと、「G’s」が別格の価格帯になっていることを除けば、ほぼどのグレードも同じような相場となっている。物件数に注目すると、もっとも多いのが「S」で、全体の半数近くを占めている。次いで「S ツーリングセレクション」、「G」が続く結果となった。なお、「G’s」は全体の3%程度しか流通していないから、ほしいなら根気よく探したい。結論的には、「G’s」以外は装備に大きな差はないから、どのグレードでも問題なさそう。強いて言うなら、17インチタイヤの「ツーリングセレクション」を選ぶとベターである。また2列シートと3列シートの違いを見ると、両者の価格差はほとんど同じ。物件数は2列シート車の割合が多い。
年式別に見る相場の違いはどうなってる?
プリウスαは2011年に登場して以降、大きなマイナーチェンジは2014年11月の一度だけ。このタイミングで外観デザインがリニューアルされたほか、レーダークルーズコントロール、ミリ波レーダー方式プリクラッシュセーフティシステムなど、数々の安全装備がオプション設定されている。2017年11月には、衝突回避支援の「トヨタ・セーフティセンスP」が全車標準装備され、安全性がさらにアップ。それを踏まえ、年式別の中古車平均価格をチェックしてみたい。
年式 | 中古車平均価格 |
2011年式 | 133万円 |
2012年式 | 140万円 |
2013年式 | 153万円 |
2014年式 | 167万円 |
2015年式 | 207万円 |
2016年式 | 232万円 |
2017年式 | 244万円 |
2014年から2015年の価格差が大きいのは、マイナーチェンジによるもの。後期型の平均価格は200万円オーバーと、かなり高値となっている。デビューから丸6年以上経過し、新世代プラットフォームTNGAの現行型プリウスが登場しているから、この価格帯ならほかの選択肢も候補にあがってくる。そんなわけで、手ごろな価格でねらえる前期型がベストなチョイスと言えそうだ。もっともボリュームの多い2012年式は平均価格が140万円で、100万円前後の物件もちらほら存在している。
先代プリウスの相場もチェック!
今回の企画の冒頭でコンパクトミニバンと比較したが、プリウスαは先代プリウスと比較されるケースも多い。これらは基本的なメカニズムは共通となっており、1.8L 4気筒エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載している。ただし、プリウスαは100kgほど重く、車高が高いから燃費は無視できないほどの差がある。一方走りにおいては、たしかにプリウスαのほうが加速が鈍く感じるかもしれないが、プリウスからすぐに乗り換えた時に気づく程度。実用車として考えた場合、動力性能の違いはあまり気にならないはずだ。
そんなわけで、同門である先代プリウスの価格相場と比較してみよう。
車種 | 中古車平均価格 |
トヨタ プリウス(先代) | 118万円 |
トヨタ プリウスα | 164万円 |
両者のあいだに、非常に大きな差があることがわかる。じつは、プリウスαも手ごろに買えるが、スタンダードなプリウスはさらにお買い得なのだ! しかもフルモデルチェンジにより、先代の中古車が大量に市場へと流出し、ここ1、2年で相場が大暴落。走行距離3万km程度のコンディションがよい個体に絞っても140万円前後で購入可能となっている。ただし、後席のゆとりは「α」に大きく軍配があがる(プリウスは少し窮屈)から、後席の使用頻度でどちらがベターか考えてみよう。
まとめると、プリウスαは、旧型コンパクトミニバンとほぼ同程度の価格帯で購入可能。とくに前期型は安く、140万円前後が予算の目安となっている。グレード間の装備差もそれほど大きくないから、どの物件を選んでも基本的にはOK。さらに安い先代プリウスも考慮に入れつつ、自分にぴったりの1台を探し出そう。