徹底分析中古車相場
更新日:2019.04.01 / 掲載日:2019.02.22
【日産 ノート】買うならガソリン? それともe-POWER? ベストバイを探ってみた

日本自動車販売協会連合会(自販連)の集計によれば、2018年の新車販売台数でトップに輝いたのは、日産のコンパクトカー「ノート」である。現行型ノートが登場したのは2012年9月。今年で7年目を迎えるが、その勢いは以前と比べても確実に増している。そんなノートの人気の要となるのが「e-POWER」の投入だろう。ノートe-POWERは、ガソリンエンジンこそ搭載しているが、駆動はモーターのみで行うのが特徴で、電気自動車の一種と言えなくもない。今では新車販売台数の王者プリウスを凌ぐほど急成長している理由は、そのリーズナブルな新車価格にある。プリウスはおよそ250万円~350万円という価格帯であるのに対し、ノートe-POWERは190万円~240万円と、プリウスよりも100万円ほど安い。もちろん、車格が違うから単純比較はできないものの、エコカーの勢力図に大きな風穴を開けたことは間違いない。
ちなみにノートe-POWERのデビューは2016年11月のことで、ちょうど丸2年ほど経過した。今年の秋には車検を迎えて中古車が増えるタイミングとなるが、現在どの程度の予算で買えるのかを調査してみた。また、ここ最近はe-POWERばかりが注目を集めているが、じつはスタンダードなモデルも使い勝手がよく人気が高い。今回は、ガソリン車(非e-POWER車)とe-POWERを対比させ、どちらがオススメか判断してみたい。
日産ノートってどんなクルマ?
マーチよりもひとまわり大きなコンパクトカーとして、2005年1月に登場した日産ノート。立体駐車場に収まる車高ながらも、室内空間にゆとりを持たせた設計がなされ、ファミリー層から大きく支持されている。2012年9月にフルモデルチェンジを受け、2代目へと進化。デザインは先代からのキープコンセプトと言えるものだが、躍動感が増してスポーティな印象を高めたのが見どころ。当初から搭載されたエンジンは、1.2L 3気筒と同スーパーチャージャーの2機種で、アイドリングストップを採用することによってJC08モード燃費25.2km/Lと、ガソリン車として優秀な燃費性能を実現した。なお、他社ではトヨタ アクアやホンダ フィット辺りがライバル。アクアやフィットはハイブリッドを設定するが、こちらは後に追加されたモーター駆動のニューカマー「e-POWER」で対抗している。ノートe-POWERは、コンパクトカーの未来を先取りした内容が盛り込まれ、新車、中古車問わず非常に人気が高いモデルとなっている。
日産 ノートの世代別中古車相場は?

ここで、現行型ノートの改良遍歴を振り返ってみたい。2012年8月にデビューしたノートは、1.2L 直3および、これにスーパーチャージャーを搭載した2つのパワートレーンを用意。後者は「DIG-S」と表記される標準グレードと、専用内外装の最上級仕様「メダリスト」に搭載される。トランスミッションは全車CVT。翌年12月には、衝突回避軽減ブレーキ「エマージェンシーブレーキパッケージ」設定車を追加。また、アラウンドビューモニターに移動する物体を検知する機能も盛り込まれた。さらに2014年10月の改良では、1.6L+5速MTも選べるスポーツ仕様「NISMO」シリーズが登場。同時にグレード体系の見直し、ボディカラーの変更、LEDヘッドランプの導入なども行われた。そして、2015年7月には、エマージェンシーブレーキ、車線逸脱警報などの安全装備が全車標準装備となる。スーパーチャージャー搭載車には「停車前アイドリングストップ」を採用したのもトピック。
2016年11月、ノートの大幅改良と同時に先にも述べた「e-POWER」が追加された。これは従来と同じ1.2Lエンジン(HR12DE)にモーターを組み合わせたもので、エンジンは発電用としてのみ用いられるのが特徴。駆動はモーターで行い、外部電源からの充電は不要。アクセルペダルのオンオフだけで加速、減速を行えるワンペダルドライブもe-POWERの特徴である。また同時に、ノート全車の内外装デザインが一新され、Vモーショングリルを強調したフロントデザインとなったこともポイント。この改良の翌月には「e-POWER NISMO」が登場。こちらは電動パワートレーンにNISMOの足まわりを組み合わせたスポーツモデルで、ホットハッチの新しい切り口を示してくれた。これらを踏まえ、年式別中古車平均価格をチェックしてみたい。
年式 | 中古車平均価格 |
2012年式 | 63万円 |
2013年式 | 69万円 |
2014年式 | 81万円 |
2015年式 | 99万円 |
2016年式 | 126万円 |
2017年式 | 163万円 |
2018年式 | 158万円 |
価格にこだわるなら5年落ち(2014年式)のガソリン車
上の表からわかるとおり、2016年までは年式が新しくなるに従い、相場は緩やかに上がっていく。しかし2017年に相場が急上昇。これは、e-POWERが相場を引き上げているのが大きな要因だ。2017年式に注目すると、e-POWERの割合は半数以上を占めており、物件の充実度合いが伺える。e-POWERにこだわらず、手軽に使えるコンパクトカーがほしいなら、2013年式~2014年式が物件豊富でオススメだ。これらの相場は100万円を下まわり、走行距離5万km前後ならば30万円~40万円と非常にリーズナブルな物件が数多く揃っている。しかし、「e-POWER」狙いなら、最低予算は120万円は用意したい。この場合2016年式~2017年式あたりがターゲットとなるだろう。
日産 ノートのグレード別中古車相場は?

ノートのグレード構成は、オーテック仕様などを含めると多彩。パワートレーン別で分けると、1.2L 直3、同スーパーチャージャー(DIG-Sと表記)、e-POWER、そして1.6L 直4を搭載したNISMO Sが存在する。また装備別には、エントリーモデル「S」、「X」、「メダリスト」、「ライダー」、「アクシス」などが設定される。ここでは、物件豊富で探しやすい主力グレードを抜粋し、平均価格をチェックしてみよう。
グレード | 中古車平均価格 |
X | 89万円 |
X DIG-S | 81万円 |
メダリスト | 80万円 |
ライダー | 82万円 |
e-POWER X | 167万円 |
e-POWER メダリスト | 182万円 |
NISMO/NISMO S | 149万円 |
上級グレード「メダリスト」がお手頃価格
1.2Lのガソリン系は、自然吸気とスーパーチャージャー付き(DIG-S)が存在するが、中古車市場では両者とも相場に差はみられない。一方e-POWERは相場が70万円~80万円近くも差があるため、少し手が出しにくい状況となっている。現在e-POWERの新車価格はおよそ190万円~となっており、中古車とあまり変わらない価格なのがネック。それゆえ、ここでオススメしたいのは1.2Lスーパーチャージャーを積むガソリンの「メダリスト」。どの年式もア室内がリッチなのが魅力。それでいながら、平均価格は100万円を切るので、ラウンドビューモニターが標準装備され、スエード調クロスと合皮のコンビシート、ピアノ調センタークラスターフィニッシャー、本革巻ステアリングなどでお買い得感が高い1台となっている。
ガソリンとe-POWER、どっちが買い?

現行型ノートを購入するうえで、もっとも悩ましい選択はe-POWERか否かを決めること。JC08モード燃費では、最大37.2km/Lという高効率なパワートレーンは、既存のガソリンエンジンと比べて数歩先を行く技術が注ぎ込まれている。しかし、中古車の価格差で燃料費を回収するのは難しい。e-POWERの魅力は、維持費や燃料費の安さではなく、モーター駆動によるスムーズな走りとワンペダルドライブの斬新さにある。また、プラグインハイブリッドとは異なり、充電の煩わしさがないことも美点。従来のガソリン車のように気軽に運用しつつ、未来感のある走りがe-POWERのウリなのだ。
そう考えると、日産ノートというクルマに何を求めるかで答えが変わってくる。身近なコンパクトカーとして使うなら、ガソリン車でもまったく不便はないし、燃費だってそれなりに優秀。時代を先取りした走りを体感したいなら、e-POWERという選択になるだろう。しかし、e-POWERは中古車としての安さ(=インパクト)に欠けるし、そもそもこの走りを体感するなら、ノート以外にもセレナe-POWER、さらには純EVであるリーフも候補に挙がってくる。e-POWERの中古車は、買い時はもうしばらく先と考えるのが無難だろう。