徹底分析中古車相場
更新日:2019.11.29 / 掲載日:2019.11.29
ハチロクやRX-7って今でも買える?国産お宝車の中古車事情を探ってみた
中古車は、新車よりもリーズナブルな価格で納車待ちが短いなど、多くのメリットがあることを以前からお伝えしてきた。しかし、それ以外にも中古車ワールドには魅力がある。それは中古車でしか買えない「お宝」の存在。新車ではもう手に入らない名車たちが、全国の中古車販売店の片隅に眠っている。今回は、テーマ別の国産お宝モデルをピックアップし、中古車事情を探ってみることにしよう。
80~90年代国産スポーツを買うなら、今がラストチャンス?
ユーノス ロードスター
ホンダ S2000
トヨタ カローラレビン(AE86)
日産 スカイライン GT-R(R32)
モデル | 中古車平均価格 |
ユーノス ロードスター(NA) | 93万円 |
ホンダ S2000 | 251万円 |
トヨタ カローラレビン(AE86) | 206万円 |
トヨタ スプリンタートレノ(AE86) | 242万円 |
日産 スカイライン GT-R(R32) | 407万円 |
初代ロードスターは手頃だが、S2000は依然高額
90年代スポーツカーを語る上で欠かせない存在がユーノスロードスター。全長4m弱のコンパクトな5ナンバーボディに、1.6L/1.8Lエンジンを搭載し後輪を駆動する、スポーツカーの教科書のような存在。中古車では相変わらずリーズナブルに購入でき、100万円以下の物件も充実している。物件数も豊富で、この時代のスポーツカーとしてはもっとも買いやすい部類だ。それなりにコンディションがよさそうなモデルは、200万円近い価格で販売されているが、それでもプレミア付きというわけではない。購入の注意点は、ソフトトップの劣化具合を確認すること。経年で傷みやすい場所なので要注意。また走行距離が非常に伸びていたり、修復歴ありの個体も多い印象だ。
ホンダS2000は、ユーノスロードスターよりもさらにパフォーマンスが高く、乗り味もスパルタンな2シータースポーツ。レーシングカー顔負けの高回転型エンジン(2.0L)を搭載し、ロードスターと同じく後輪を駆動する。平均価格は251万円と今なお高額で、走行距離10万km程度でも最低200万円の予算は確保したい。コンディションのよさそうな個体は400万円超えというケースもある。物件数はそれなりに充実するが、敷居は少し高めと言えよう。
「ハチロク」は意外と物件豊富で、今でも入手可能
グーネット上には2019年11月現在、AE86カローラレビンは88台、スプリンタートレノは56台が流通しており、年式を考えるとそれなりに物件が充実している。ただしフルノーマルの個体は400万円のプライスが掲げられるなど、基本的に相場は高めなのは覚悟しておこう。そのほとんどが改造されたもので、走行距離は20万kmオーバーも目立つ。物件の個体差が大きいモデルゆえ、購入の際は下調べをしっかりしておきたい。
状態がよいR32はおよそ1000万円超のプレミア価格
海外への流出が深刻なのは、R32型スカイラインGT-R。状態のよい物件がどんどん減少する一方、相場は日を追うごとに上昇している。とはいえ、今回の調査ではグーネットでおよそ120台がヒットし、入手し難いわけではない。走行距離が不明、改ざん、修復歴ありの個体でも400万円程度の予算は必要で、それなりのコンディションを求めるなら500万円の予算は確保しておきたい。この場合走行距離は10万kmが目安だ。なかには1000万円超のグッドコンディション車も発見できた。
個性的なルックのパイクカーは現在でもリーズナブルに購入可能
日産 ラシーン
ちょっと古めのお宝車を語る上で、かつて人気を誇ったパイクカーは外せない。パイクカーとは、レトロ調の個性豊かなデザインを持つモデルのこと。現在ではあまり使われなくなった言葉だが、30年ほど前に一大ブームとなり、今なお根強いファンが多いジャンルである。人気のパイクカーと言えば、フィガロ、ラシーン、Be-1のように日産車が多い。今回は、この3モデルの中古車平均価格をチェックしてみたい。
日産 フィガロ
日産 Be-1
ラシーンは在庫が多く、今でも探しやすい
ラシーンは、1994年に登場したコンパクトなワゴン。当時のサニーをベースにフルタイム4WDを採用し、現在流行りのクロスオーバーSUVの原点とも言うべき個性派モデルである。デビュー当時の新車価格は157万円からと身近なプライス。登場から25年経過した現在、平均価格は63万円とかなり下がり、物件数の多さと相まってもっとも入手しやすいパイクカーと言えそうだ。
次に買いやすいのはフィガロ。1991年2月に発表された、コンパクトな2ドアクーペ(屋根を取り外してオープンにもできる)。プラットフォームは初代マーチがベースで、丸型ヘッドライトが印象的である。ボディサイズは全長3740mmと小型で、こちらも人気の高いモデルとなっている。販売台数が2万台限定であることも、その人気に拍車をかけた。そんなフィガロだが、平均価格は106万円と現在でもそれなりに価格をキープしている。しかし、70万円前後の予算があれば探せるはず。当時限定車だったが、物件数は今でも多い。
上の3車種のなかで、やや探し難いのがBe-1である。1987年に登場し、パイクカーの草分け的な存在。こちらも初代マーチがベースの3ドアハッチバックで、個性の強いデザインが見どころ。ただし現存している個体はほかのパイクカーと比べて少なく、フィガロの半数以下。平均価格は65万円と手頃だが、コンディションのよい個体が少ないのが難点だ。
往年の高級スポーツカーって今でも買える?
トヨタ 2000GT
最後に、お宝のなかのお宝、国宝級の名車にも触れてみたい。トヨタを代表するお宝と言えば、なんと言っても2000GT。1967年に登場した高性能スポーツカーで、当時の新車価格は238万円。物価を考えると、非常に高価なモデルである。それから、1969年に登場した初代スカイラインGT-R、1967年に登場したマツダ初のロータリーエンジン搭載モデル、マツダコスモスポーツの価格も気になるところだ。
日産 スカイライン GT-R(初代)
マツダ コスモスポーツ
現在でもいくつかのモデルは入手可能
まずはトヨタ 2000GT。グーネットで検索したところ、2019年11月時点で2台ヒットした。前期型が1台、フォグランプ形状が改められた後期型が1台。価格は応相談となっているが、走行距離が伸びておらずコンディションもよさそうなので、非常に高価だと考えられる。
次に初代スカイラインGT-Rだが、グーネットでは2台ヒット。1台はおよそ3000万円、もう1台は応相談という価格。いずれも改造、走行距離不明の個体となっており、現状でオリジナルの状態を保った車両を入手するのは極めて困難。価格も非常に高価で、入手難易度は高い。
上の2台に比べ、コスモスポーツの敷居はかなり低い。プレミア価格なのは変わらないが、価格帯は780万円~と幾分リーズナブル。物件数は5台ヒットし、1000万円前後の予算で入手できそうだ。50年以上前のお宝車も、モデルによって中古車事情が異なるのは面白い。ただ、購入には入念な下調べと、多額の予算、そして維持する覚悟が必要だろう。
まとめ
今回は、お宝国産車の中古車動向を探ってみたが、プレミアが付いているのはスポーツカーが圧倒的に多く、現在気軽に入手できないモデルも少なくない。80年代~90年代のモデルですら、程度がよいものは年々減少しており、購入するなら早めに検討するべき。また、パイクカーのような個性的デザインのクルマは、現在は手頃なプライスで買えるのでチャレンジしやすいはずだ。