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更新日:2023.06.29 / 掲載日:2023.05.25

KINTO ONE(中古車)を検証! サブスクのメリット・デメリットを紹介!

文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス、KINTO

 クルマの所有に必要な費用のほとんどを月額のコミコミ定額払いで、トヨタとレクサスの新車を手にすることが出来るサブスクリプションサービス「KINTO」に、中古車版「KINTO ONE」が、22年夏に登場した。

 まだ地域限定での展開となるが、独自のニーズを掴みつつあるというから興味深い。同社の中古車サブスクの特徴と狙いを担当者であるKINTO中古車部の大河原 寛介 部長に話を伺った。

「KINTO ONE(中古車)」は、中古車を対象にしたサブスク

KINTO ONE 中古車のWEBサイト

 新たなKINTOメニューとなる「KINTO ONE(中古車)」は、2022年7月27日より開始された中古車のサブスクだ。

 まずは対象エリアを東京都に限定してスタート。同年11月より愛知県にも拡大され、サービスの提供を行っている。中古車の物件データは、KINTOの公式サイトに掲載されており、ヤリスやアクアといった定番コンパクトを始め、ヤリスクロスやハリアーといった人気SUV、さらにファミリーカー定番であるノアなどのミニバンと多彩なラインアップを見せる。驚くべきことに、ランドクルーザーやアルファードといったプレミア人気の車種まであるのだ。

KINTOにより厳選された良質車のみを提供

 KINTOの中古車の最大の特徴は、供給元がKINTO に限定されることにある。KINTOのクルマは、必ず全車が新車ディーラーで、定期点検を受けており、整備や修理の履歴もばっちり。まさに産地直送の中古車なのだ。しかも、提供されるのは、契約が終了したクルマの中から、厳しい条件をクリアした厳選車両のみ。現状では、KINTOのサービスが2019年より始まったこともあり、新車登録より3年以内の高年式車のみとなっている。

 KINTO ONE(中古車)のサービスは、クルマが中古車であることと契約期間が2年限定となること以外は、新車のKINTO ONEの解約金フリープランと同等の内容だ。

 購入者は、任意保険、税金、諸費用、消耗品を含むメンテナス費用、そして2年間の保証までが含まれた月額利用料を支払えばよい。契約時に月額利用料の約半年分に相当する申込金が必要となるが、いつでも好きなタイミングで中途解約金なしで解約することが出来る自由さも魅力だ。

KINTO中古車が提供する3つのメリット

納車までに時間がかかるモデルも、中古車ならば即納。もちろん、在庫が存在するかはタイミング次第ではある。

 大河原部長によれば、KINTOの中古車の提供価値は、大きく3つ挙げられるという。

 まずは価格だ。まだ3年ほどの高年式車しかないため、月額料金の価格差は小さいものの、新車よりは確実に安い価格を提案しているという。

 ここで注目して欲しいのは、人気車だ。アルファードやランドクルーザーといったプレミア価格で流通している車種であっても、他の中古車と同じ方法で価格が決められているので、月額の負担を考えると、中古車購入よりもお得というわけだ。

 また月額が定額なので、税金や保険代、メンテナンス費など、急に出費が増えるなんてこともなく、家計を圧迫することもない。

 もうひとつが、納期の早さ。現在、半導体不足の影響などで人気車の納期が長期化しているのは、皆さんもご存じの通り。しかし、現物がある中古車ならば、最短1か月での納車も可能。今すぐ欲しいを叶えてくれるのだ。このため、急に車が必要となる法人からの問い合わせも多いという。

 そして、最後が、簡単で安心な中古車選びだ。上記したように、提供されるクルマは、厳しい基準をクリアしたもので、現状は使用期間が3年未満の新車に近い車両ばかり。車両選びは、オンラインで行え、契約は指定した販売店と電話と郵送で行える。そして、決まった納車日に販売店に引き取りに行くだけなのだ。

ユーザー目線で気になること

 もちろん、始まったばかりのサービスだけに、ユーザー目線では気になる点もある。

 まずは中古車物件の偏りだ。お手軽さが売りのKINTOだけに、新車の契約もコンパクトカーが中心。そのため、中古車も同様のラインアップとなる。常にKINTO取り扱いの全車が中古車として提供されるわけではないのだ。

 このため、ボディカラーも一般的に人気の高い色味である「白、黒、灰」が中心となっている。ただ裏を返せば、人気仕様ならば、見つけやすいともいえる。

 もうひとつは、実車確認が不可なこと。現物取引となる中古車は、1台ずつ状態が異なる。このため、実車確認はユーザーとって、失敗を減らす重要な任務といえる。しかし、KINTOでは、そのタブーに挑んだ。トヨタ自動車傘下でオートオークションや中古車販売などを手掛ける中古車に特化した企業である「トヨタユーゼック」との協業で、厳しい検査員による車両評価表を中古車と共に掲載することで、購入者に最大限の車両情報を提供するようにしている。

 もちろん、利用者の中古車の満足度が低ければ、サービスの失敗にも繋がるため、それだけ提供する中古車に自信があるということなのだろう。大河原さんも、「中古車の実車確認無しは、厳しい条件と理解しているが、KINTOが品質を保証することで、顧客の手間と中古車購入のリスクを省く。それがKINTOの運営コストの削減にもなるため、提供価格も抑えられる」と、顧客にも大きなメリットがあるシステムであると説明する。

どんな人が利用している?

 KINTO ONE(中古車)の利用者を尋ねてみると、ターゲットユーザーは、新車同様に、若年層と高齢者を想定していたが、実際の契約者は40、50代の人が多いという。良いものを少しでも安くというコスト意識が高い人たちだ。

上記したように、KINTOでも新車と中古車では、中古車の方が割安となる価格設定としているのでお得感はある。ただ現状では、高年式車のため、価格差は月額で数千円に留まる。その数千円で中古車を選ぶ価値があるかを吟味して決められているようだと大河原さんは話す。

ただKINTOの新車サービスには、5年や7年の長期契約もあるため、将来的には、車両価格を抑えた中古車も提供していけるため、コストパフォーマンスはより高まっていくだろうと、中古車ニーズの拡大に期待を込める。

こんな人はKINTO中古車でおトク!

一度乗ってみたかった憧れのモデルにチャレンジできるのもKINTO ONE(中古車)のいいところ

 そこでKINTO ONE中古車で得をする人を聞いてみると、断然、若年層だという。

 最大の理由は、任意保険料の高さにある。KINTOの場合、保険料も含まれるため、誰でも月額料金は変わらない。さらに初めての中古車選びで不安を抱えることなく、安心して選んでもらえる点も大きいとする。筆者も初めての愛車購入時は、月額1万円を超える任意保険代を払っており、中古車選びに不安を抱いた記憶があるため、その2点に悩む必要が無いことの大きさには、納得の一言だ。

 最後の質問として、プレミア価格が付く人気車の場合、購入とKINTOのどちらがお得なのかを尋ねてみた。

 大河原さんは、「例えば、ランクルのような価値の高いクルマは、購入してしまうのも有りだと思います。財産として大切にして貰えれば良いでしょう。ただ購入費は高額となるため、ハードルは高いのも事実です。一度、ランクルに乗ってみたいという夢を叶えるのが目的ならば、KINTOは、特に中古車は魅力的なサービスと感じてもらえるでしょう。愛車を持つハードルを下げるのが、KINTOの提供価値でもあるので、ご自身にとってベストな選択をして頂ければと思います」と締めくくってくれた。

インタビュー取材に対応するKINTO中古車部の大河原 寛介 部長

まとめ

 中古車のKINTO ONEは、まだ始まったばかり。KINTOの新車サービスでは、3年契約だけでなく、5年や7年といった長期契約も可能となっており、将来的には良質で割安な中古車も提供される見込みだ。そうなれば、KINTOの中古車のコスパは、より高まっていき、その提供価値も大きくなる。

 また新たに始まったKINTO顧客向けの車両のアップデートサービスである「KINTO FACTORY」にも対応しているので、選んだ中古車に手を加え、自分好みの仕様にすることもできる。もちろん、KINTO ONE(中古車)の対応エリアは、今後、拡大していく計画だ。

 まだ利用者が限定されるKINTO ONE(中古車)だが、愛車選びの選択として認識されそうだ。

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大音安弘(おおと やすひろ)

ライタープロフィール

大音安弘(おおと やすひろ)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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