中古車購入
更新日:2015.11.12 / 掲載日:2010.01.08
ホンダ インサイト 中古車購入チェックポイント
ホンダ インサイト 中古車購入チェックポイント
DAA-ZE2
参考車両:Gタイプ
初年度登録 2009年2月
全体のチェックポイント
手の届きやすい価格のハイブリッドカーとして人気となり、販売台数も多い。外装も内装もしっかりチェックして、整備状態も必ず確認。ハイブリッドカーはモーターやバッテリーなど電気系の状態が気になるところだが、システムのコンディションを判断するのは、専門の整備士に任せるしかない。正規ディーラーなどで点検整備を受けている車両は、大きなトラブルを抱えている可能性は少ないと考えられるが、納車時の点検整備項目など、車両の販売条件も確かめたい。
1.車両の雰囲気から探る
1.車両の雰囲気から探る
やや離れた位置から、全体の様子を見てみよう。車両の周囲を巡って外装部品の立て付けや塗装などをチェック。違和感や不自然に見える部分などがあれば、近寄って詳しく調べよう。
正面は、バンパー/ヘッドライト/フェンダー/ボンネットなどが並んでいるバランスをチェック。左右対象になっていることも確認。左右ライトの片方だけが新しい(交換の疑い)場合は、その側の車体部を修理している可能性もある。ナンバープレートの傷や変形、修整の形跡なども、車体部の修理を疑ってみる。
2.後部のチェックポイント
2.後部のチェックポイント
前部と同様に、バンパー/テールゲート/コンビネーションランプ(テールライト)/フェンダーなどのバランスをチェック。
テールゲートの立て付けが全体に狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。左右どちらかの隙間に異常箇所があれば、その部分の車体側を修理していると見て間違いないだろう。
後部ナンバープレートは、封印の傷(封印を剥がしてナンバープレートを外した形跡)が、後部修理/交換のヒントになる。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
定期点検整備記録と突き合わせて、エンジンと周辺をチェック。できれば、オイルの量および汚れ、ブレーキの液量など、一般的なメンテナンス項目も点検したい。オイルの滲みや汚れ(オイル漏れの兆候)にも注意。
周囲と比べて新しく見える(交換)部品があれば、消耗部品か、故障など不具合があったか、あるいは事故などでダメージを受けたのか、整備記録も探ってみよう。
4.車体内側の鉄板を調べる
左右フェンダー側のインナーパネルやサイドフレーム、室内側のダッシュパネルなど、エンジンルーム内の各部鉄板をチェック。大きなダメージを受けると、走行機能面に不具合が生じる部分だ。歪みやしわ、修理/交換の形跡などがないか確認。
エンジンルーム内の部品やネジなどに塗装の飛沫が付着している場合は、車体部を修理していないか確かめよう。
5.ボンネットのチェック
5.ボンネットのチェック
外面だけでなく、裏面に修理跡などがないかも調べよう。特に、アウター(外側)とインナー(内側)のパネルを貼り合わせている接合部の状態に注意。
交換することもあるので、ヒンジ部のネジを脱着した形跡がないかチェック。ヒンジを交換していないかも確認。
修理/交換の形跡があれば、ボンネット単独の損傷も考えられるが、車体部を修理していないか詳しく探る必要がある。
6.前部の必須チェックポイント
6.前部の必須チェックポイント
エンジンルームの最前部で車体の左右に繋がっているラジエターサポートを調べよう。車体部に衝撃を受けると影響を受けやすく、修理/交換する確率が高い。フロントバルクヘッド(最前部の骨格部材)とも関連しているので慎重にチェックしたい。
左右フェンダー側の接続部周辺も確認。前部はカバーで覆われているが、ラジエター、ヘッドライト、フロントグリルなど、関連部品の取り付け状態も調べよう。
7.取り付け状態を確認
フロントフェンダーにダメージを負うと、外して修理したり、交換することもある。取り付けネジを脱着した形跡がないかチェックしよう。衝撃吸収フェンダーは、取り付け部が変形しやすい構造になっていることも注意ポイントだ。
フロントフェンダーは、車体の重要な補強部材とはなっていないので、外傷などを修理しても修復歴にはならないが、外して修理/交換していれば、車体内側の骨格部にダメージを受けていないか確かめる必要がある。
8.隙間の幅と色調を比べる
8.隙間の幅と色調を比べる
立て付けのチェックは、例えば車体前部側面では、バンパー、フェンダー、ヘッドライト、ドア、ピラー(フロントガラス左右の柱)などが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを負ってずれが生じているか、あるいは修理/交換している可能性がある。
隙間を境に、隣り合うパネルの色艶も比べてみよう。修理/交換などで塗装していると、色調が違って見えることがある。
9.角度を変えると見える
9.角度を変えると見える
車体まわりは、見る角度を変えながらチェックしよう。プレスラインの曲がりや崩れ、立て付けの狂いなども判断しやすい。
表面を斜め方向から透かして見れば、波打ち(しわ)や、見落としやすい広くて浅い凹みなども確認しやすい。しわが寄っているのは、ダメージ痕か板金修理跡だ。部分的に塗装面の艶や色調が違うとか、肌荒れ状態になっている箇所なども、修理跡の疑いがある。
10.縁の部分も覗いて確認
10.縁の部分も覗いて確認
フェンダーは、膨らんでいるホイールアーチ(タイヤを囲っている部分)を傷付けることも多い。傷があれば、傷の深さを調べて、凹みを伴っていないかも確認。フェンダーの歪み(変形)などにも注意しよう。
縁の鉄板を折り込んでいる部分も覗いて、修理跡などがないか必ずチェック。スポット溶接やシーラーの異常に注意したい。
11.側面のチェックポイント
ドアに大きな損傷を負うと、ドアを外して修理することがあり、交換してしまうことも多い。ドアヒンジ部のネジをチェックしよう。
ただし、立て付け調整などでネジを回すこともあるので、ネジ脱着の形跡だけでは、ドアを修理/交換していると決めつけるわけにはいかない。ドア自体をはじめ、ピラー(柱)やサイドシル(ドア下の梁)など、周辺も詳しく調べて判断する必要がある。
12.下も覗いてみる
12.下も覗いてみる
側面は、サイドシル(ドアの下にある車体左右の前後方向に通っている梁)に損傷などがないかもチェック。
重要なのは、下部を覗くと見える下端の鉄板接合部。汚れていることも多く、新車時から仕上げが粗くなっていることもあって、異常を判断するのは難しいかもしれないが、傷や曲がり、修理/交換の形跡などないか調べよう。
13.ドアを開けてチェック
13.ドアを開けてチェック
サイドシルは、外面だけでなく、ドアの開口部に損傷や修理跡などがないか確認。前後ドアとも開けてチェックしよう。
注意したいのは、開口部の角(サイドシルとフェンダーの接合部がある)付近。修理跡があれば、サイドシルかフェンダーを交換している可能性もある。同様に、ピラー部の角付近にも注意。
14.リアフェンダーのチェック
リアドアを開けて、開口部を調べよう。後席への乗り降りなどで傷付けることも少なくない。引っ掻き傷や打ち傷、塗装の欠けなどがないかチェック。傷などを補修した塗装跡などがないかも確認。
マスキング跡があれば、フェンダーを修理している可能性があるので、フェンダー部も慎重にチェックしたい。
車体左側は、フューエルリッドも開けて、内部にマスキング跡や修理跡などがないかチェックしよう。
15.開閉してチェック
15.開閉してチェック
テールゲートは、解錠/施錠の具合を確認。スムーズに開閉できるかどうか、上げ下げの動きをチェック。跳ね上げた状態でしっかり止まっていることも確認。
閉める時に、スムーズにカチッと収まらない場合は、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。ずれているだけなら調整で直ることもあるが、車体が歪んでいる車両を購入してはいけない。販売店で調べてもらおう。
16.修理/交換の形跡を探る
16.修理/交換の形跡を探る
ボンネットと同様に、テールゲートの裏面側に修理跡などがないかチェック。交換の形跡がないか取り付け状態も確認。
ヒンジおよびヒンジを固定している車体側周辺も、歪みや修理跡などがないかチェックしよう。
17.床の中にもチェックポイント
17.床の中にもチェックポイント
ラゲッジフロアの下にあるトレーを外すと見える鉄板部(前部にはハイブリッド用バッテリーがある)を調べよう。外観がきれいでも、後部に衝撃を受けた痕跡が残っていることもあるので、歪みや修理跡などがないか慎重にチェックしよう。
18.開口部の修理跡は要注意
18.開口部の修理跡は要注意
開口部の左右に鉄板の接合部が見える。修理/交換の形跡などがないかチェック。特に、シーラーとスポット溶接の異常に注意。
下部は隠れているが、コンビネーションランプやバンパーの取り付け状態に注意しよう。
後方から強い衝撃を受けると、広範囲に波及することがある。修理/交換の形跡があれば、後部はもとより、ルーフやキャビン(室内)など他にもダメージがないか調べる必要がある。
19.床下もチェック
19.床下もチェック
フロア下にはアンダーカバーを設置しているので見えない部分も多いが、鉄板部をはじめ、マフラーやサスペンションなど、部品類に損傷や修理/交換の形跡などがないかチェック。
水漏れの形跡や油脂汚れ(オイルやグリスの漏れの兆候)などにも注意。錆の発生や腐食、あるいは錆止め処理などにも注意したい。
20.タイヤとホイールのチェック
20.タイヤとホイールのチェック
タイヤは、減り具合(残り溝の深さ)をチェック。傷や異物の刺さり、ひび割れなどがないかも確認。
減り方(摩耗状態)も調べよう。接地面の外側だけとか内側だけなど、一部が極端に減っている偏摩耗を起こしていれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているのか、車体にダメージを受けているのか、原因を確かめる必要がある。
スチールホイールは、外側に被せているホイールカバーの傷や破損に注意するが、リム部(タイヤと接している部分)に曲がりなどがないか必ず確認しよう。アルミホイールもリムを確認するが、ホイール自体の歪み(変形)などにも注意。
21.エンジンをかけてみる
21.エンジンをかけてみる
エンジンをかけて、始動具合をチェック。イグニッションをオンにした時の各表示/警告灯類の点灯、点滅にも注意。エンジンが容易に始動しなければ、販売店で確認。
できれば試走して、ハイブリッドシステムの動作も確かめたい。エンジンとモーターの作動、バッテリー残量など、走行時の情報はディスプレイで表示するが、ハイブリッドシステム全体の状態が正常かどうかは販売店で確認してもらおう。
22.装備機器類の機能を確認
22.装備機器類の機能を確認
ウインカーやヘッドライト、ブレーキ/テール/バックランプなど、保安装置類の作動をまず確認。
エアコンやオーディオなど、電装機器や電動機構は、スイッチをオン/オフするだけでなく、調整操作して機能を確かめよう。パワーウインドウの開閉や室内ランプの点灯、リモコンキーなども忘れずにチェックしよう。
グレードによる違いや後付けオプションなど、車両の装備は事前にチェックしておこう。
23.オートマチックのチェック
23.オートマチックのチェック
エンジンをかけて、セレクトレバーの操作具合をチェック。メーター部にあるセレクトポジション表示も確認。試走できれば、走行中のオートマチックの動作も確かめたい。CVTは連続的に変速するので、ギヤ切り替わるような感じがあれば、なんらかの不具合を生じている可能性がある。マニュアルシフトの具合も、走行中に操作して確かめたい。
24.隅まで細かくチェック
24.隅まで細かくチェック
室内は、シートや内装材などに汚れや傷、染み、破れ、穴などはないか。運転席の周囲だけでなく、後席やラゲッジスペースも必ずチェック。収納ボックスやポケット、フロアマットの下や天井の状態も調べよう。
車両の情報をチェック
備え付けの書類は、「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で保証期間や保証内容などを確認。「車両取扱説明書」の他に、オプションなどの追加装備や後付け機器が付いている場合は、それぞれの使用説明書がすべて揃っていることも確かめよう。
「定期点検整備記録簿」や「メンテナンスノート」は、必ず記載内容を調べよう。新車時からの記録を見れば、車両がどのように使われ、扱われてきたかがわかる。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておけば、車体各部の状態を探る参考になる。最後の記録(いちばん新しい日付)が現状を表している。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。
●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。
●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。
●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。
●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。
●車体各部はスポット溶接している(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性がある。
●バンパーなどは押されてずれることもあるが、たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
今回の車両のプロフィール
●2009年2月に発売されたハイブリッド専用モデルの2代目。1999年1月から2006年6月まで販売していた初代は2人乗りの2ドアハッチバックだったが、車体構成を5ナンバーサイズの5人乗り4ドアハッチバックに変更。新しいデザインやハイブリッドとしては低価格ということも話題となった。ハイブリッドシステムは、1.3(1339cc)エンジンを主動力としてモーターがアシストする方式。IMA(インテグレーテッドモーターアシスト)と呼ぶシステムが走行状況によってモーターの作動を制御し、アイドルストップ装置、電動パワーステアリング、CVT(自動無段変速機)などとも合わせて低燃費を実現している。駆動方式はFF(前輪駆動)。CVTは、グレードによって7速マニュアルシフトモード付きを搭載している。
●仕様グレードは、ベーシックな「G」、中間の「L」、上級の「LS」の3タイプ。Gに対してLは、ディスチャージヘッドライト、運転席側の照明付きパワードアロックスイッチ、本革巻きステアリングホイール、マップランプ、ラゲッジルームランプ、アームレスト付きセンターコンソールボックス、運転席シートバックポケット、ドアミラーウインカー、車速連動間欠フロントワイパーなどを装備。LSは、7速マニュアルシフトモード付きCVTとVSA横すべり抑制装置を装備。パドルシフト、ハーフシェイドフロントウインドウ、フォグライトなどが加わり、16インチアルミホイールが標準装備となる。
2009年10月に新車体色として「シャーベットブルー・メタリック」と「プレミアムホワイト・パール」の2色を追加している。
参考車両と同時期の仕様グレード設定(2009.02)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
Gタイプ | DAA-ZE2 | CVT | FF |
Lタイプ | DAA-ZE2 | CVT | FF |
LS | DAA-ZE2 | CVT-7M | FF |