中古車購入
更新日:2018.11.16 / 掲載日:2015.09.04

買ってから長く乗り続けたい人のための中古車購入術

長ーく乗れるクルマ×乗れないクルマ 買ってから長く乗り続けたい人のための中古車購入術

写真は自動車評論家のマリオ高野氏の愛車だが、購入後22年目を迎える現在も、このスバル・インプレッサは走行している。走行距離20万kmを超えても、愛情とメンテナンスさえあればクルマは継続して乗れるのである!

中古車は新車より安価で買えるのが魅力のひとつ。とはいえ、せっかく購入するからには、納車後もできるだけ長い年月、長い距離を乗りたいと思っている人も多いことだろう。そこで、より長く乗れる物件を手に入れるためにはどんなことに注意すべきか。その対策やポイントを探る。

故障のリスクを認めながら長く乗れるクルマを選ぶ

クルマを買おうとしている多くの人は、「大金を払うのだから失敗はしたくない」と思っているだろう。中古車でいう「失敗」といえば、買ったクルマがすぐに故障してしまうこと。致命的な不具合や、多額の修理費がかかる故障が起きてしまっては、長く乗り続けることは難しくなる。
もちろんクルマも工業製品である以上、故障のリスクはある程度受け入れなければならない。とはいえ、1台ずつコンディションの異なる中古車だからこそ、できるだけ長く乗れる物件を選ぶことができれば、その購入は「成功」だったといえるのではないだろうか。
絶対に長く乗れると言い切れる中古車物件は存在しないが、そのリスクをできるだけ低くする中古車の選び方は存在する。以下のページでそれらを紹介していこう。

中古車を買うことのリスクと醍醐味

これまで行った海外旅行のなかで、一番思い出に残っている旅はどれですかと聞かれたら、迷わず「北朝鮮」と答える。私は20年前、観光旅行で北朝鮮へ行きました。最悪の旅でしたが最高に刺激的で、結果的には最高の思い出です!何もかもが順調で心地いい旅が最高の思い出になるとは限らない。最悪が最高になることだってある。
海外旅行へ行くならステキな旅をしたいと誰もが思うように、中古車を買うなら安心確実なクルマを買いたい。それは当然のことだ。私のようにあえて「一番故障しそうなのをください!」と言って店を訪れる客は滅多にいない。さすがに私もそう言ったのは約30回中1回だけだし。なによりも求めるのは安心ですね。当たり前のことである。
が、考えてみればわかるように、一番安心なのは新車を買うことだ。中古車を買う時点で我々は、安心に関しては一部割り切っている。「新車より安心な中古車ください!」と言われてもお店は困るし。
中古車を選ぶ際は、リスクを冒しているからこそ安く買えるのだということを、軽く認識しておく必要がある。中古車選びは常にリスクとの兼ね合いなのだ。安いクルマはリスクが高く、高いクルマはリスクが低い。ただ、そのリスクが顕在化するかどうかは、買い手の眼力や運に左右される面があり、それが中古車選びの醍醐味でもある。リスクは多少あるけれども、結果的には新車より安上がりにクルマが楽しめる“はず”なのが中古車だ。
「絶対故障しない中古車を買うぞ!」
そう思っていたら何も買えなくなってしまうし、中古車選びを楽しめない。壊れたら壊れたでドラマがあるさ。多少波風が立ってこその人生じゃないか。そう思えたらもう、あなたは中古車選びの達人だ。

  • 自動車評論家 清水草一

    自動車評論家 清水草一

    軽自動車からフェラーリまで、その生涯でさまざまな新車&中古車を購入してきたベテラン自動車評論家。壊れそうな格安の輸入中古車にもあえて挑戦することで、カーライフをエンジョイしている。

  • 自動車評論家 清水草一

長く乗りたい人のための物件の選び方1

定期点検整備記録簿はこう読み解け! 点検整備、パーツ交換、車検・・・・・・

中古車物件を確認する際には、まず記録簿を見ろといわれる。では、この書類にはいったいどのようなことが書かれていて、なにをどう見るべきなのか。ここでは、長く乗れる物件を選ぶための記録簿の見方について紹介していこう。

履歴が正確に記入された優良物件を選びだしたい

中古車を買って長く乗るためには、まずはしっかりと整備の行き届いた素性の良い物件を選ぶに限る。そしてその判断をするために欠かせないのが、記録簿である。
記録簿とは、その車両が過去に受けてきた整備内容が記載された書類のことで、正式名称は「定期点検整備記録簿」。12ヶ月点検や24ヶ月点検などの法定点検やその他の整備が行なわれた際に記入される用紙であり、その様式はメーカーや整備業者によってさまざま。下の図のようなイラスト付きのチェックシート形式になっていたり、項目を記述するのみだったりする。
物件確認の際にこの記録簿を見てチェックしておきたいのは、定期交換部品が交換すべき時期にしっかりと交換されているかどうか。エンジンオイル(5000~1万km)や、エレメント(5万km)、ブレーキフルード(車検時)、タイミングベルト(10万km)などはもちろん(カッコ内の数値はすべて目安。メーカーや車種によって異なる)、その他のオイルやフィルタ類などにも交換されるべき部分がある。
すべての履歴が正確に記入されてきたことが前提だが、これらが定期的にしっかり交換されている物件は、点検整備が行き届いているということ。故障などのトラブルも少なく、長く乗れる可能性が高い。

2年定期点検用整備記録簿(分解整備記録薄写)

「POINT1 点検や整備の履歴」不安になるなら熟慮すべき
記録簿はその物件の点検履歴をチェックできるが、必ずしも全記載が残っているわけではない。まったく記載されていない時期があってそれを不安に思うようなら、ひとつの選択肢として購入を控えるのもありだ。

「POINT2 ナンバーと車体番号」疑わしければ照合してみる
現在では少なくなったといわれるが、記録簿の偽造や改ざんも絶対ないとは言いきれない。もし怪しいと思ったら、まずは記録簿に記載されたナンバーや車体番号が車両のプレートと同じかどうかを確認したい。

納車後も長く乗るために必要不可欠なもの

記録簿には故障や事故の修復歴も記載される。ただし、(メーター交換歴以外の)修復歴の記載は義務ではないため、そのすべてが把握できないことも多い。とはいえ、中古車販売店で購入すれば、納車時の整備内容を記載した用紙をもらえて、交換すべきパーツなど物件の現状を把握することができる。そこから新たに記載を重ねていくことも、これから長く乗っていくためには必要な要素となる。

記録簿がない時はどうすべき?

記録簿があれば整備歴がある程度わかり、その物件の安心度は飛躍的に高まる。しかし、記録簿を紛失してしまった物件も、探してみるとけっこう多く存在する。たしかに、修復歴やメーター戻しなどを隠蔽するため、故意に記録簿を破棄することも考えられなくはない。とはいえ、記録簿がないだけで絶対にあやしい物件だとはかぎらない。その理由はさまざまだろうが、単純に前オーナーが紛失してしまったということも多いのだ。
記録簿がなくとも、実際に目で見てわかる部分は自分の目で確認し、整備歴やパーツ交換歴などについてはクルマに詳しい店員からしっかり話を聞くこと。それらをよく吟味したうえで、総合的に判断することが肝心だ。

長く乗りたい人のための物件の選び方2

前オーナーの使用状況がまるわかり!? 7つのジャンル別に見るマル必確認ポイント どこが劣化しやすいの?

購入後も長く乗るためには、できるだけヘタリや経年劣化の少ない物件を選びたいもの。そこでここからは、ジャンルごとに異なる“劣化しやすいポイント”をピックアップし、その見方や長く乗れるかどうかの判別方法について紹介していこう。

ジャンルごとに異なる劣化しやすい部分とは?

劣化した部分が車両全体にどんな影響を与えるかを考えながらチェックすることで、より長く乗れる物件を選ぶことができる。劣化が、ほとんど影響しない部分もある

劣化した部分が車両全体にどんな影響を与えるかを考えながらチェックすることで、より長く乗れる物件を選ぶことができる。劣化が、ほとんど影響しない部分もある

前途のとおり、購入後も長く乗れる中古車を買うための一番の近道は、故障の少ない物件を選ぶことにある。買った後に多額の修理費がかかるようなクルマでは、心理的にも費用的にも維持していくのが難しくなってしまうからだ。
そこで、故障の少なそうな物件を探すことになるわけだが、現代のクルマは、定期的なメンテナンスと消耗品の交換さえしておけば、簡単に壊れるものではない。その一方で、経年劣化を避けられない部分もある。クルマは耐久消費財であるため、長く乗っていれば、どうしたって疲労してしまう部品やパーツがでてきてしまうのだ。
では、どういった部分が劣化しやすいのかというと、その傾向はジャンルごとに見てとれる。詳細は各項で詳しく紹介しているが、これらのポイントをチェックすることで、その物件の前のオーナーがどんな乗り方をしていたかさえ、ある程度推し量ることができるだろう。
ちなみに、ジャンルに限らず確認したいポイントもある。たとえばタイヤの減り方だ。あるタイヤだけ、またはタイヤの片側だけ減っているようだと、サスペンションのバランスがずれていたり、最悪事故車である可能性も否定できない。直すのに費用がかさむような状態なら、長く乗るにはふさわしくないだろう。
仮にここで紹介するポイントが劣化していたとしても、一概に購入対象から外さなければいけないわけではない。今度はそこをしっかりと修理やメンテして、はたまた消耗に気づかいながら運転することで、弱点を克服することもできる。

icon 1. 軽&コンパクト

  • 継続的メンテナンスを怠っていないかどうか

    軽&コンパクト

  • 継続的メンテナンスを怠っていないかどうか

    軽自動車やコンパクトカーに共通しているのは、運転初心者や女性のユーザーが多いということ。そこから推察されるのは、ボディのキズやヘコミ、そして整備不良などのトラブルである。前者はその程度により問題ない場合もあるが、事故を起こしていないかは確認しておきたい。後者は、消耗品交換をまったくしていないとなると、後で重大なトラブルを引き起こしかねない。記録簿をしっかりチェックしておこう。一方で、運転熟練者が乗っていた場合、取り回し性に優れているため、キズひとつなく乗られていることもある。このような物件は、長く乗るにはうってつけだ。

  • ボディまわり

    ボディまわり

    雑に扱われた物件だと周囲にキズやヘコミが多い場合も。軽度であれば問題ないが、360度全面にキズがあるなら事故歴も考えられる

  • ボディまわり

  • 整備歴

    整備歴

    クルマに無知な人が乗っていた場合、オイル交換や消耗部品の交換をせずに乗られていたことも考えられる。油脂類だけでなく、タイミングベルトなども要確認

  • 整備歴

  • 操作系

    操作系

    毎日足グルマとして活躍していたなら、操作系パーツが極度に疲労していることも。一部のものは修理費用が高くつく場合がある

  • 操作系

icon 2. ミニバン

  • ダメージが気になるロングボディのリアまわり

    ミニバン

  • ダメージが気になるロングボディのリアまわり

    休日のレジャーなどで使われる一方、平日は主婦が子どもの送り迎えなどで乗る機会も多くなりがちなのがミニバンだ。最近ではボディが大柄なわりに見切りのいいモデルも増えてきたが、やはり運転が不慣れな人だとブツけることも多くある。特にボディの左側面や後部が心配だが、駆動系を打ってダメージが残っていると深刻なトラブルも発生しかねないのでチェックしたい。また3列目シートに関しては、「結局年に数回しか使わなかった」というのも良くあるパターン。故障すると修理費がそれなりにかかる部分なので、収納動作に不良がないかよく確認しておこう。

  • サードシート

    サードシート

    3列目の収納方法はモデルによってさまざまだが、跳ね上げ式などは負荷がかかりがち。可動部分は実際に動かしてチェックしておきたい

  • サードシート

  • リアバンパー

    リアバンパー

    ボディの全長が長いため、リアバンパーをぶつけてしまうことが多い。あまり強く打っていると、マフラーや駆動系に影響があることも・・・・・・

  • リアバンパー

  • ホイール

    ホイール

    ミニバンのような大型車では、左側のホイールをこすることが多い。その衝撃で足まわりにダメージを負ってないかは気になるところ

  • ホイール

icon 3. ハイブリッドカー

  • トラブルを起こすと費用が大変なことに

    ハイブリッドカー

  • トラブルを起こすと費用が大変なことに

    初代プリウスの登場以来すでに15年以上が経過し、ハイブリッドシステムの信頼性もかなり高いものになった。とはいえ、エンジンにモーターを加えたことで機関自体はエンジンだけより複雑になっているのは確実で、そのぶん故障のリスクは高いともいえる。(メーカーにもよるが)保証期間を過ぎてしまった中古物件の場合、もしもの時のトラブルやバッテリー交換などにはそれなりの費用を覚悟しなくてはならない。実際のところ、ハイブリッドシステムの障害や不調は走らせてみないとわからないので、可能なかぎり試乗してから購入を決めたいところである。

  • モニター

    モニター

    システムの運行状況を表示するモニターの故障が、エアコンやオーディオなどの操作にまで影響を及ぼす場合も

  • モニター

  • ハイブリッドシステム

    ハイブリッドシステム

    メーカーや車種で構造が異なるため、故障箇所や強度、被害の大きさなども違ってくる。同車種の運転経験者に一緒に見てもらうのが望ましい

  • ハイブリッドシステム

  • タイヤ

    タイヤ

    燃費性能追求のために特殊なサイズを採用することが多い。純正品を買うとなると高くつくため、減り具合も確認しておきたい

  • タイヤ

長ーく乗れるクルマ×乗れないクルマ 買ってから長く乗り続けたい人のための中古車購入術

icon 4. セダン

  • 修復費の高いシートが劣化した物件は避けたい

    セダン

  • 修復費の高いシートが劣化した物件は避けたい

    セダンならではの劣化ポイントといえば、シートやトランクなどが挙げられる。特に後部座席は他のジャンルに比べて使用される機会が多いため、表面が擦り切れたり、クッションがヘタってしまうようなことがよくある。革シートも、それなりのメンテナンスをしていないと劣化が激しくなる。シート関係の修理は、費用が決して安くないため、内装の劣化した物件はできることなら避けたいもの。また、セダンは長距離運転に最適なだけに、走行距離が多い物件も多く、足まわりやエンジンなどのトラブルも起こりがち。走行距離や記録簿などもチェックしておきたい。

  • シート

    シート

    他のジャンルに比べて一人で乗ることが少なく、長時間運転することが多いセダンだけに、シート表皮の劣化も起こりやすい

  • シート

  • 革素材

    革素材

    手入れ不足の革シートでは、変色や表面のひび割れが起きることも。後で補修するなら、劣化の少ない物件を選ぶべき

  • 革素材

  • トランク

    トランク

    トランクに重い荷物などが積まれたままだった物件では、サスへの悪影響から大きなトラブルも起こりうる

  • トランク

icon 5. クーペ&オープン

  • 劣化の激しい物件も多く状態は見極めやすい

    クーペ&オープン

  • 劣化の激しい物件も多く状態は見極めやすい

    前オーナーの性格によって、荒く乗られた物件とかなり大切に乗られた物件とに大きくわかれがちなのがスポーツモデルだ。前者は、特にサーキットなどを走行していた物件だと、ボディや機関が全体的に劣化していることが多く、長く乗るにはかなり厳しい。後者は驚くほどコンディションが良かったりするものの、流通量は少なく、価格も高めに設定されている。いまや車種数も流通台数も少なくなった貴重なジャンルだけに、コンディションの見極めは意外と簡単。長く乗りたいと思っているのであれば、大切に乗られたかどうかを見極めて良質な物件を選び出したい。

  • 走行距離

    走行距離

    ターボやロータリーといった特殊なスポーツエンジンは、走行距離が多い場合、それなりのメンテがなされていないとトラブルが起きやすい

  • 走行距離

  • タイヤ

    タイヤ

    スポーツモデルに採用される扁平タイヤはクッション性に乏しく、ごくまれにホイール内にヒビが入っているような物件もある。事故に直結しかねないので注意

  • タイヤ

  • マフラー

    マフラー

    社外の製品に交換された物件も多い。その影響で燃料バランスを崩したり、エンジン不調につながるケースもある

  • マフラー

icon 6. ワゴン

  • 荷室をどう使ったかで劣化の速度に影響がでる

    ワゴン

  • 荷室をどう使ったかで劣化の速度に影響がでる

    ラゲッジルーム容量の大きさを活かして、レジャーや趣味などで使われることが多いのがワゴンだ。レジャーなどの目的地に向かう際は、長距離移動することが多くなるため、エンジンや駆動系のメンテナンスがかかさず行なわれてきたがどうかを確認したい。特に走行距離の多い物件はチェックしておいたほうがいいだろう。また、趣味用に道具として使われてきた物件は、雑に扱われた可能性も高く、定期的な洗車がなされていなかったために外板や内装の劣化が激しく、長く乗れないという場合もある。釣りなどで使われたクルマは、室内の臭いも気になるところだ。

  • 足まわり

    足まわり

    荷室に重量物を入れたままにしていたことが足まわりに悪影響を及ぼす場合も。修理費用がかさむ部分なので、ヘタリ具合をチェックしたい

  • 足まわり

  • ラゲッジルーム

    ラゲッジルーム

    荷室が防水タイプでない場合、濡れたものをそのまま入れっぱなしにしていたためにサビの原因になることも

  • ラゲッジルーム

  • バンパー

    バンパー

    山や海などで活躍することが多いため、バンパー周辺をブツけていないかチェック。もしキズを見つけたら、下回りに深刻なダメージがないか確認しておこう

  • バンパー

icon 7. SUV

  • 悪路走行時に受けたボディ下部へのダメージ

    SUV

  • 悪路走行時に受けたボディ下部へのダメージ

    かつて「クロカン」とも呼ばれたジャンルだけに、その一番の特徴は最低地上高の高さによる優れた悪路走破性能。そのため、多少の悪路でも走行できると過信して、ハデに岩場や砂地、はたまた水たまりなどを走行した物件も多い。最も心配されるのは、下まわりを打ったことによる駆動系のトラブル。長く乗るための物件を探しているのなら、足まわりなどを打っていないか、くまなくチェックしたい。水場を走ったことも考えられるので、サビがあるかないかも要確認だ。塗装がはがれた部分にサビが発生すると、最悪の場合ボディ強度にまで影響を及ぼすことになる。

  • バンパーの下側

    バンパーの下側

    岩場などの走行時にボディ下部を打っている場合もある。特に前後バンパーはその可能性が高く、深刻なダメージを負ってないかチェックしたい

  • バンパーの下側

  • タイヤハウス

    タイヤハウス

    走行中に異物がタイヤハウス内に入り、サスペンションを傷つけることもある。内側までくまなく見ることで大きなトラブルを防げる

  • タイヤハウス

  • ボディまわり

    ボディまわり

    SUVの特性上、多少のキズやヘコミがあっても問題はないが、パネルごと修理して事故歴をわからなくしてる場合も考えられる

  • ボディまわり

長く乗りたい人のための物件の選び方3

プロの整備士が教える 壊れやすいパーツと壊れにくいパーツ

プロ整備士へインタビューを敢行し、長く乗り続けたいと思っている人が物件選びをする際にはどういった部分をよく見るべきか、壊れやすいパーツと壊れにくいパーツを実際に挙げてもらい、そのポイントについて教えてもらった。

  • 整備士 金谷樹男さん

    整備士 金谷樹男さん

    埼玉県新座市にある金谷オートサービスで、日々メンテナンス作業に勤しむ。年式や車種にこだわらず、あらゆるクルマのメンテを手がける。

  • 整備士 金谷樹男さん

「すべてのスイッチが正常に作動するかどうか触って確認するようにしてください!」

電子制御化の影響とコストダウンの弊害

「すべてのスイッチが正常に作動するかどうか触って確認するようにしてください!」

最近のクルマは技術の進歩とコストダウンにより、以前とは少し異なる傾向がでています。まず、最近のクルマは電子制御化により電装パーツが増えて発電量が多くなり、オルタネーターの劣化が以前よりも早くなっています。あとはスイッチ類。昔は弱かったパワーウインドウのレギュレーターは改善されて強くなった一方、スイッチ系統にコストダウンが見られるせいでスイッチが先に壊れるケースが見受けられますね。中古車をチェックする際は、すべてのスイッチが正常に作動するかどうか実際に触って確認するようにしてください。
また、イグニッションコイルにコストダウンが見られるクルマも増えており、劣化が早くなっている傾向があります。必ずエンジンをかけてアイドリングが安定しているかどうかチェックしたいところですね。
エアコンのコンプレッサーやエンジンルーム内のゴムパーツなど、劣化が避けられない定番のウィークポイントは今も変わりませんが、燃料ポンプやウォーターポンプは以前より丈夫になっています。

壊れにくいパーツ→長く乗れる

  • 壊れにくいパーツ→長く乗れる

    フレーム
    車体骨格やフレーム、そしてアームやリンク類などのサスペンション構成部品は損傷しない限りかなり長く使える。

    ポンプ類
    ここ数年の間に新車販売された新しいクルマはウォーターポンプや燃料ポンプが比較的丈夫になっている傾向に。

    エンジン
    エンジン本体は極めて頑丈。オーバーヒートやオーバーレブさえ起こさなければ20万km程度は余裕でもつ。

  • 壊れにくいパーツ→長く乗れる

壊れやすいパーツ→長く乗れない

  • 壊れやすいパーツ→長く乗れない

    コンプレッサー
    エアコンのコンプレッサーは、おおむね新車から10年を過ぎた頃から壊れる可能性が高くなる。交換費用も高い。

    スイッチ類
    最近のクルマはパワーウインドウやエアコンの操作スイッチ類が案外弱い。作動に異常がないか要チェック。

    ホース類
    ラジエターに一番近い部分の太いホースのカシメ部分は水圧や熱量が高く劣化しやすい。ひび割れなどをチェック。

  • 壊れやすいパーツ→長く乗れない

では、購入後のメンテはどうするべきか?

走行距離や年式に関係なく、整備工場で定期的な点検を受けることに尽きます。あとは油脂類の定期的な交換ですね。エンジンオイルについては、最近では1年1万km以上無交換でもOKとするメーカーも増えていますが、それでも最低で半年、または5000km程度に1度は交換することを推奨します。点検は、年に1度12ヶ月点検を受けることを最低限とし、低年式車や過走行車は6ヶ月点検を実施すると安心して長く乗り続けられます。

長ーく乗れるクルマ×乗れないクルマ 買ってから長く乗り続けたい人のための中古車購入術

長く乗りたい人のためのコラム 過走行車オーナーに話を聞きました。長く乗るために中古車をどのように選びましたか?

TEXT/伊達軍曹

老獪な話術を巧みに操り、これまで400台以上の中古車を取材してきた経験を持つ中古車研究家。今回は、その取材上で出会った過走行車のオーナーから話を集めた。

「多少割高でも良いモノにこだわって選びました」

買う時に無理してトータルの出費を抑えた

「良いモノを長く使おう」と思って選んだ07年式ホンダアコード ユーロR。購入時(5年前)の走行距離が2.8万kmで、現在は約11万kmです。メンテ費用を考えれば絶対にATよりMTだろうと思いましたが、結局まだクラッチ交換なしで走れています。買う際に気をつけたのは「多少割高でも良いモノを買う」ということ。気に入ったクルマじゃないと長くは乗れませんし、長く乗るなら、変に安い中古車より「極上」と呼べる個体のほうがトータルの出費は低くなると思ったからです。結果として正解でしたね。今のところ大したメンテ費用はかかってません。

  • 「多少割高でも良いモノにこだわって選びました」

    畑山和博さん(仮名)
    服飾関係の自営業を営む38歳。地方のクライアントとの打ち合わせなどに自家用車をフル稼働するため走行距離はどうしても多くなり、平均して年間2万km以上は走っている。

  • 「多少割高でも良いモノにこだわって選びました」

「割とテキトーに選んだけど“当たり”でした(笑)」

中古車ばかり買ってきて“直感”が磨かれた?

サイズ感が気に入って02年式のBMW320iツーリングを買いました。買ったときの走行距離が4万kmで、今は17万kmくらいかな? 「長く乗りたいなー」とは思いつつも、正直、割とテキトーに選んだんですが(笑)、幸い大きなトラブルもなく今に至ってます。もちろんちょっとした故障はたまにありますが、格安車なので心の準備はできてます(笑)。好調な理由ですか?ん~仕事柄1回あたりの走行距離がズバッと長いので、そのぶんだけクルマへの負担が少ないのかもしれませんね。あと、洗車はあんまりしてませんが、ディーラーや専門工場での定期点検は欠かさず受けてます。

  • 「割とテキトーに選んだけど“当たり”でした(笑)」

    高井雄平さん(仮名)
    都内在住のフリーカメラマン、41歳。撮影のために全国各地を走り回っている。基本的に中古車ばかり購入しているが、これまでクルマの故障により現場に遅刻したことはない。

  • 「割とテキトーに選んだけど“当たり”でした(笑)」

「走行距離より前オーナーの扱い方を重視しました」

お金と愛情をかけた物件は好調を維持する

最近のクルマにはあまり興味が持てず、8年前に購入した97年式のNA(初代マツダロードスター)に乗ってます。購入時点ですでに10万km近い過走行車でしたが(笑)、前のオーナーがかなりお金と愛情をかけて維持していたフルノーマル車でした。距離よりコンディションにこだわりました。その後は僕がチビチビと走行距離を伸ばして、現在約14万kmですが、全然フツーに動いてくれてますよ。もちろん「ちゃんと点検・整備に出してるから」ではありますし、普段から荒っぽく扱わないよう心がけてますが。愛さえあれば過走行車も問題ないんじゃないですかね?

  • 「走行距離より前オーナーの扱い方を重視しました」

    小川慎吾さん(仮名)
    都内在住の会社員・30歳。子どもの頃からクルマが好きで、大学時代にアルバイトで貯めたお金で22歳のときに初代マツダロードスターを購入。以来、それに乗り続けている。

  • 「走行距離より前オーナーの扱い方を重視しました」

長く乗りたい人のための物件の選び方4

1台のクルマに20年以上乗ってきた自動車評論家が選ぶ 長く乗れないかもしれない?クルマたち

  • 下流自動車評論家 マリオ高野

    下流自動車評論家 マリオ高野

    さまざまな職を経て自動車マスコミ業界に入り込み、現在はフリーライターとして多くの自動車媒体で活躍中。愛車はインプレッサ(ちなみに下記内容は、すべて個人の意見です。押忍!)

  • 下流自動車評論家 マリオ高野

愛情を注がれなかったクルマは長く乗れない

長く乗れるかどうかは、前のオーナー(歴代オーナー)に愛情を注がれたかどうかで決まるといっても過言ではありません。愛されたクルマはマメに点検を受け、油脂類や消耗品は定期的に交換されています。内外装だってしっかり手入れされているので傷みが少なくピカピカ!
前オーナーに愛情を注がれたか否かを見抜くポイントとして、まずボディ表面のコンディションが挙げられます。古くなったクルマはクリア塗装が剥げ落ち、作るのに失敗したゆで卵の殻を剥いたときのようなボロボロ感が出てしまうのですが、クリア塗装落ちはワックス掛けを怠ったり、洗車機に入れる機会が多かったりすると進行が早まるので、それほど古くないのにクリアが剥げたクルマというのは、オーナーからあまり愛されなかったと推察できます。
あとはタイヤ。高性能車なのに格安なアジアンタイヤを履いていたり、銘柄が前後バラバラだったりすると、前オーナーは経済的に逼迫していた可能性が高いです。さらにタイヤのトレッド面を見て、偏摩耗が激しい場合はアライメントが狂ったまま乗り続けたか、激しい運転をし続けたかのどちらかでしょう。
エンジンルームでは、ゴムや樹脂パーツ部分が異様にベトベトしているクルマも要注意。これは、パーツの劣化をテカリ系のケミカルを塗りまくることによって問題を先送りしてきた人のクルマや、昔よくあった悪徳販売店の展示車によく見られた例です。
明らかに無駄と思えるチューニングパーツが付いているクルマというのも、前オーナーのクルマへの理解力の低さが伺えますし、外装はピカピカなのに室内やエンジンルーム内はドロドロという異様なギャップのあるクルマは販売店の良心を疑いたくなります。
一方で、その販売店の顧客からの買い取り車など、前オーナーの人柄がある程度把握できている物件は安心感が高いといえますね!

  • マリオ高野所有の初代インプレッサWRXは、貧窮により放置された時期もあったが、エンジンだけは妥協せずにメンテを実施し続けたおかげで今も快調!

    マリオ高野所有の初代インプレッサWRXは、貧窮により放置された時期もあったが、エンジンだけは妥協せずにメンテを実施し続けたおかげで今も快調!

  • マリオ高野所有の初代インプレッサWRXは、貧窮により放置された時期もあったが、エンジンだけは妥協せずにメンテを実施し続けたおかげで今も快調!

●エンジンルーム内に異様なテカりがある

エンジンルーム内の樹脂パーツやホース、ベルト類が異様に黒光りして、触るとベトベトしている場合は、光沢系のケミカルが大量に塗布されている。何かをごまかしたい、隠したいという意図がみられ、警戒が必要。

●年式は新しいのに塗装が剥げている

新車登録から10年程度なのにクリア塗装が剥げている場合は前オーナーから愛されなかった可能性が高い。定期的なワックス掛けや鳥のフンの除去などを実施すれば青空駐車でも良好な外装コンディションはキープ可能。

●効果や意味のなさそうなパーツを装着

実用車なのに大げさなエアクリーナーが付いているなど、あまり意味や効果のないチューニングパーツが装着されていると、前オーナーの無知さが疑われる。エンジンなどは無駄な添加剤まみれになっている可能性も。

●車両スペックに相応しくないタイヤを装着

廉価な実用車ならともかく、高性能スポーツカーなのにそれに相応しくないタイヤを履いている場合は、前オーナーが経済的に苦しかった証拠。油脂類交換などのメンテナンスも最低限度以下のレベルだったかもしれない。

●外観と違ってエンジンルームはボロボロ

パッと見はピカピカなのに、ボンネットを開けるとエンジンルームが廃墟のような雰囲気になっているような展示車は販売店の良心を疑う。特に低価格車では要警戒。安いクルマは全体的に汚いほうがまだ安心できる。

●タイヤにあきらかな偏摩耗が見られる

タイヤのトレッド面をみて、あきらかな偏摩耗が見られるクルマはアライメントが狂ったまま乗り続けられた証拠。もしくは乱暴で無茶な運転をしてきた証拠で、見えない部分が傷んだり劣化している可能性が高いといえる。

まとめ

長く乗れる中古車の本当の価値は長く乗った後に初めてわかる

新車と違って中古車に故障のリスクがあるのは否めない(もちろん新車だって故障することはあるが)。そうした部分や価格の面などもひっくるめて中古車であることは事実だが、1台ごとにコンディションが異なるからこそ、より長く乗ることができる良質な物件を選び出したい。今回の特集では、そのための方法論について紹介してきた。これらを参考にすることで“長く乗れる”物件を選び出す確率を上げることはできるが、購入から数年が経った時に初めて、長く乗れるクルマの本当の価値を知ることになるだろう。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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