中古車購入
更新日:2020.01.08 / 掲載日:2019.10.29
【ホンダ】先進の安全運転支援システム「Honda SENSING」(ホンダセンシング)とは

グーネット編集チーム
車という便利な乗り物が開発されて以来、スピードや乗り心地などの基本性能を磨く一方、安全性についても絶えず進化が続けられてきました。
コンピュータやセンサーによる高度な制御で人の手によらない安全を手に入れようとしているのが、アメリカのGoogleやテスラなどの先進IT企業による自動運転車で、アメリカでは既に公道でのテストや一部運用が始まっています。
一方、日本ではレーダーやセンサー、カメラなどを使い、コンピュータにより緻密に制御される安全運転支援システムが開発され実用化されています。
トヨタの「Toyota Safety Sense」や日産の「全方位運転支援システム」、スバルの「アイサイト」などが様々な自動やメーカーが独自のシステムを実用化していますが、ここでは、ホンダが開発した「Honda SENSING」(ホンダセンシング)について紹介します。
Honda SENSING(ホンダセンシング)とは
Honda SENSING(ホンダセンシング)とは、ホンダが2014年10月に発表した先進の安全運転支援システムのことです。2015年2月に発売された5代目レジェンドから採用が始まったこのシステムは、発売当時において世界初となる、歩行者への衝突回避を支援する「歩行者事故低減ステアリング」という機能を備えていました。
Honda SENSING(ホンダセンシング)を採用するモデルは年々増えており、ホンダ車の新しいスタンダードになりつつあります。
仕組みを簡単に説明すると、このシステムは、ミリ波レーダーと単眼カメラという2種類のセンサーを組み合わせて構成されています。
まず、フロントグリル内に設置されたミリ波レーダーは、対象物体の位置・速度を認識することができます。これまで電波の反射率が低くて検知が難しかった歩行者も検知できるように性能が向上しており、前走車や対向車など、ある程度離れた距離の物体を検知できることが大きな特徴です。
一方のフロントウインドウ内上部に設置された単眼カメラは、ミリ波レーダーとは異なり、車両前方約60mまでの歩行者や対象物体属性をはじめ、大きさや形状などを識別できます。カメラであるため、歩行者や標識などを認識できることが大きな特徴です。
Honda SENSING(ホンダセンシング)は、このような仕組みによって、衝突を予測してブレーキをかけたり、車線の真ん中を走れるようにサポートしたり、誤って後ろへ急発進するのを抑えたりできる、安心・快適機能を搭載した安全運転支援システムのことなのです。
Honda SENSINGが誕生するまでの取り組み
ホンダの安全に対する考え方は、「Safety for Everyone」という安全思想のもと、運転者も歩行者も道を使う人すべての人が安心して暮らせる、「事故に遭わない社会」を目指しています。
ホンダではその夢をかなえるため、「予防安全技術」と「プリクラッシュセーフティ技術」の両技術を磨いてきました。
事故を未然に防ぐ「予防安全技術」については、1982年に国産車初となるABSを2 代目プレリュードで実用化し、2002年にはカメラを用いて車線の真中を走行できる「LKAS〈車線維持支援機能〉」と、レーダーによる車間/車速制御機能による高速道路運転支援システム[HiDS]をアコードに搭載し実用化しました。
また、車両や歩行者への衝突を避けられない場合、ダメージをできるだけ軽減する「プリクラッシュセーフティ技術」では、1980年代から独自研究を推進し、2003年には世界初となる、ミリ波レーダーを用いた「追突軽減ブレーキ〈CMS〉」をインスパイアに搭載し実用化しています。
そして、これらの技術を研究と開発によって進化させ、高機能化した安全運転支援システムが「Honda SENSING(ホンダ センシング)」なのです。
機能を実現するためのミリ波レーダーと単眼カメラ

グーネット編集チーム
Honda SENSINGの機能は、「ミリ波レーダー」と「単眼カメラ」の2種類のセンサーと、コントロールユニットにて構成されています。
対象物体(歩行者や車両、障害物など)の、位置や速度を認識する「ミリ波レーダー」と、対象物体の形状や大きさを認識する「単眼カメラ」の2つで検知した情報を組み合わせ、より精度を高い認識を可能にしました。
また、センサーからの情報をもとに、ドライバーの意志と車両の状態を認識する「コントロールユニット」によって、体感警報での注意やブレーキ・ステアリングの協調制御など、適切な運転操作を支援します。
これらのセンサーとコントロールユニットが協調制御することで、通常走行時から緊急時のリスク回避まで可能な運転支援が実現しています。
Honda SENSINGの8つの先進機能
安全運転支援システム「Honda SENSING」の機能には、「事故を防ぐ」「ドライバーの運転負荷を軽減する」という2つの柱があり、8つの先進機能が備わっています。
【事故を防ぐ】6つの機能
1.単眼カメラとミリ波レーダーで前走車、対向車、歩行者を検知して衝突の回避を支援する「衝突軽減ブレーキ〈CMBS〉」
2.単眼カメラとミリ波レーダーで路側帯の歩行者や車線などを検知して、衝突回避を支援する「歩行者事故低減ステアリング」
3.単眼カメラで車線を検知し、車線を逸脱しそうな場合に、ディスプレイ内の表示とステアリングの振動で警告する「路外逸脱抑制機能」
4.停車時、約10km以下の低速時に、ミリ波レーダーで前方の障害物を検知し、急発進による事故を抑制する「誤発進抑制機能」
5.先行車が発進したことを知らせる「先行車発進お知らせ機能」
6.単眼カメラで道路標識を認識し、「一時停止」「進入禁止」「はみ出し通行禁止」「最高速度」などディスプレイに表示する「標識認識機能」
【ドライバーの運転負荷を軽減する】2つの機能
7.単眼カメラとミリ波レーダーで前走車との速度差を検知し、適切な車間距離を保ちつつアクセルとブレーキの制御を行って、前走車を追従する「ACC〈アダプティブ・クルーズ・コントロール〉」
8.単眼カメラで車線を検知し、細かいステアリング操作を支援して車線の中央を維持できるようにし、主に高速道路での運転雨負荷軽減を図る「LKAS〈車線維持支援システム〉」
Honda SENSING搭載車一覧(2017年7月現在)
現在、「Honda SENSING」の全機能を搭載しているのは、オプション、仕様などによっても異なりますが、「レジェンド」「アコード」「オデッセイ」「ヴェゼル」「フリード」「フィット」「グレイス」の7車種です。
また、「ジェイド」「ステップワゴン」は、歩行者事故低減ステアリング以外の7つの機能を搭載しています。
事故を未然に防いでくれる機能に加え、ドライバーにかかる運転の負荷の軽減もしてくれる「Honda SENSING」は、搭載車も増え、これからはホンダ車にとってスタンダードな安全運転支援システムとして、今後も進化と改良が期待される機能です。
Honda SENSINGとトヨタ、日産、スバルの自動車安全技術の比較
国内各メーカーは、独自の先進の安全運転支援システムを開発しています。機能面では似ている点も多いですが、細かい仕組みを見ていくと、それぞれに特徴が出てきます。
トヨタのToyota Safety Sense
トヨタのToyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)は、死亡事故の主な原因である「歩行者事故」、「正面衝突・車線逸脱」、「追突」が起こりやすい状況を、予防することを主眼に開発された安全パッケージのことです。
機能面では、単眼カメラとレーザーレーダーを組み合わせて、運転中に歩行者や車両、自転車にぶつからないようにサポートする自動(被害軽減)ブレーキ「プリクラッシュセーフティ」や、車線からのはみ出しを警告する「レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御機能付)」、「オートマチックハイビーム」、「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」などが含まれています。
日産のサポカーS
「サポカーS(セーフティ・サポートカー)」とは、衝突被害軽減ブレーキはもちろんのこと、ペダル踏み間違い時加速抑制装置等を搭載した車の愛称であり、その中でも衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、車線逸脱警報、先進ライトが備わるパッケージを「サポカーS ワイド」と呼んでいます。
サポカーSのワイドに対応する日産の機能としては、「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」、「踏み間違い衝突防止アシスト」、「LDW(車線逸脱警報)」、「ハイビームアシスト」、「アダプティブLEDヘッドライトシステム」となります。
スバルのアイサイト(EyeSight)ver.3
スバルの「アイサイト(EyeSight)ver.3」とは、スバルが独自に開発した先進の安全運転支援システムです。アイサイトの大きな特徴としては、多くのメーカーで採用されている単眼カメラではなく、視野角が広いステレオカメラを採用した点です。
アイサイト(EyeSight)ver.3には、プリクラッシュブレーキ、全車速追従機能付クルーズコントロール、アクティブレーンキープ、AT誤発進抑制制御&AT誤後進抑制制御などが機能に含まれています。
まとめ
今回は、ホンダの安全運転支援システム「Honda SENSING」(ホンダセンシング)について、その歴史や仕組み、機能について詳しく解説してきました。
優れたシステムであることは間違いありませんが、あくまでドライバーをサポートするための機能であることを認識し、安全運転を心がけましょう。