中古車購入
更新日:2020.01.07 / 掲載日:2017.07.24
【ホンダ】マスキー法をクリアしたホンダの低公害エンジン技術CVCCとは

goo-net編集チーム
今でも「名機」と語り続けられるホンダ シビックに搭載された低公害エンジン技術が、CVCC(Compound Vortex Controlled Combustion)です。
なぜ、CVCCエンジンが「名機」と呼ばれ、当時不可能と言われた排気ガス規制をクリアできたのでしょうか?
この CVCCエンジンがなぜ開発されたのか、時代背景とともにお話しましょう。
CVCCエンジン誕生の背景
1970年、米国から「マスキー法」という排気ガス規制法が施行され、この法規制をクリアしない車は米国で販売できなくなりました。
マスキー法内容は、
・1975年以降に製造する自動車の排気ガス中の一酸化炭素(CO)炭化水素(HC)の排出量を、 1970-1971年型の1/10以下にする。
・1976年以降に製造する自動車の排気ガス中の窒素酸化物(NOx)の排出量を、 1970-1971年型の1/10以下にする。
という厳しいものでした。
当時、この法律に対応する技術はまだ世界中で確立しておらず、その影響で日本車は米国へ輸出できず、かつ販売も許されない状況でした。
また日本国内でも、昭和50年排出ガス規制、昭和51年排出ガス規制という規制が続く中で、自動車各社はこの規制に対応したクリーンなエンジンの開発に迫られていました。
マスキー法をクリアしたホンダCVCCエンジン
CVCCは、リーンバーン(希薄燃焼)させることで排出ガス中の有害物質を少なくする技術です。
ガソリンと空気を混ぜた状態(混合気)でその混合気を薄くしていくことで、排出ガス中の有害物質を低減します。
しかし薄い混合気では、不完全燃焼により排出される生ガスで、有害物質が空気中に排出されてしまう危険も増加します。
この混合気を完全燃焼させることが規制をクリアすることにつながるために、どうしても開発しなければならない問題でした。
そこでホンダは副燃焼室専用の吸気バルブ、専用のインテークマニホールド、専用のキャブレターを開発しました。
副燃焼室に通常より濃い混合気を導入し、そこに点火プラグで確実に混合気を着火させ、トーチ孔からの燃焼火炎で主燃焼室のリーン混合気を燃焼させることを考えました。
これにより排出ガス中の有害物質が低減され、世界初となるマスキー法をクリアしたエンジンの誕生に至りました。
この副燃焼室式の考え方は、燃料供給や着火方法こそ異なりますが、予燃焼室式や過流室式といった当時完成されていたディーゼルエンジン技術の応用でした。
当時本田技研の社長であった本田宗一郎氏はこのエンジン開発の功績から、エンジニアならぬ「エンジン屋」と称されていました。
また、その功績によりSAE(米国自動車技術者協会)の月刊機関誌において、20世紀優秀技術車の、1970年代優秀技術賞に選出されました。