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更新日:2020.01.08 / 掲載日:2019.10.18
【スバル】低重心・低振動の水平対向エンジン(ボクサーエンジン)のメリット・デメリットとは

グーネット編集チーム
2017年4月1日付で、社名を「富士重工業」から「SUBARU」に変更した、歴史ある自動車メーカーである同社の代名詞とも言うべきエンジン型式に、「水平対向BOXER(ボクサー)エンジン」があります。
すでに誕生から50年を超えたBOXERエンジンですが、なぜこんなに長く人々に愛されてきたのでしょうか。ここでは、水平対向BOXERエンジンのメリット、デメリットを見ていきましょう。
水平対向エンジンとは
一般に多く採用される直列エンジンは縦方向に配置されピストンが上下に動きますが、水平対向エンジンはその名の通り、ピストンを左右に水平方向に配置し、そのピストンの動きが水平にまるでボクサーが互いにパンチを繰り出しているかのように、見えるところから「ボクサーエンジン」と名づけられました。
4気筒なら左右に2気筒ずつ、6気筒なら左右に3気筒ずつ並んでピストンを動かしているわけです。
スバルの水平対向エンジン(ボクサーエンジン)の歴史
スバルの水平対向エンジン(ボクサーエンジン)は、1966年デビューのスバル1000から、その歴史が始まりました。スバル1000は、名車として知られるスバル360の後継として開発されたモデルです。当時としては珍しいFFの駆動方式には、振動が少なく、走行安定性に優れ、広い室内空間を取れる縦置き水平対向エンジンがベストマッチだったのです。この第1世代のOHV 2バルブのエンジン(EA系)は、1994年にレオーネの生産が終了するまで継続して採用されていきます。
1989年にデビューした初代レガシィには、第2世代といえるDOHC 4バルブにターボが組み合わされたEJ系のボクサーエンジンが採用されました。スバルといえば水平対向エンジン(ボクサーエンジン)というイメージが定着したのもこの時代であり、いまだにモータースポーツの世界ではファンが多いエンジンでもあります。
2010年には、第3世代のFB型エンジンが、2012年にFA型エンジンがデビューしています。これらは、軽量コンパクトで燃費性能や環境性能に優れたエンジンであり、FRのモデルに搭載したり、直噴ターボやハイブリッドシステムなどの先進テクノロジーと組み合わせたりと、新たなチャレンジが続いています。
水平対向エンジン(ボクサーエンジン)のメリット

グーネット編集チーム
まずメリットとして挙げられることが、その動きが安定していてフラットなエンジン特性から運転しやすいということです。
一般的な直列エンジンやV型エンジンが上下の縦方向にピストンを往復させ、その振動がシャシーを通じて上下に微震動を伝えるのに対して、水平対向エンジンは向かい合うピストンが水平方向に往復するため、互いの振動を打ち消しあうような構造のためエンジンの振動が少なく、気持ちの良い独特なエンジンフィールと走行安定性を可能にします。
さらに、その構造から低重心が可能となり、併せて優れた走行安定性が望めます。
また水平対向エンジンはそのエンジン自体の全高が低いため、仮に前面が衝突したときにはエンジンがフロアの下にもぐり込みやすい構造です。
そのためエンジンが室内(キャビン)に影響しにくく、乗員に与えるダメージを低減してくれる特徴を持っています。これらが、スバルの誇る「高い衝突安全性能」を支える、BOXERエンジンならではのメリットと言えるでしょう。
水平対向エンジン(ボクサーエンジン)デメリット
水平対向エンジンはその形状ゆえ、エンジン自体の横幅が大きくなるために、ロングストローク化が難しく、どうしてもショートストロークになってしまいます。
そのショートストロークのおかげで高回転域は得意なものの、トルク特性がやや劣り、冷却による損失が増えるといったようなデメリットも出てきます。
ただし新世代の水平対向BOXERエンジンではロングストローク化が可能になり、従来やや不利と言われていたデメリットはある程度解消されつつあります。
スバルで水平対向エンジン(ボクサーエンジン)が搭載されている車種
それでは、スバルで水平対向エンジン(ボクサーエンジン)が搭載されている車種の特徴を解説していきます。
レヴォーグ
「革新スポーツツアラー」をコンセプトとして、2014年4月に発表された次世代のワゴンモデルがレヴォーグです。
スバルは長年レガシーツーリングワゴンというワゴンモデルをラインナップしてきましたが、レガシーがセダン専用モデルとなることで、より一層ワゴンの魅力を追求した1台といえます。
エンジンとしては、1.6LインテリジェントDITと2.0LハイパフォーマンスDITの2種類の設定となります。
BRZ
水平対向エンジンとして、初めてFRレイアウトに採用されたのがBRZです。
このモデルは、トヨタ自動車との共同開発車ですが、エンジンはトヨタの直噴技術 D-4S(燃料噴射システム)を取り入れることで、1リッターあたり100psという高出力を達成したFA20型のボクサーエンジンが搭載されています。上下方向がコンパクトである水平対向エンジンの特性を生かし、車両のより低くより中心に近い後方に搭載することで、超低重心パッケージングを実現しました。
インプレッサ
レガシィと並んでスバルの代表的なモデルがインプレッサです。
2016年10月に発売された5代目インプレッサは、新開発2.0L直噴NAエンジンと、1.6L NAエンジンを採用されており、5ドアハッチバックの「SPORT」と4ドアセダン「G4」の2タイプがラインナップしています。
フォレスター
車高が低いモデルが多いスバル車において、伝統的に車高が高いSUVとして多くのファンを持つのがフォレスターです。
2018年6月に発売された5代目では、水平対向エンジンと電動技術を組み合わせた「e-BOXER」というモデルもラインナップされており、ボクサーエンジンの新たな可能性を示した1台といえます。
独特な低音のエンジンサウンド「BOXERサウンド」と切れの良いエンジンフィールからも、多くの愛好者から長年支えられている、スバルの水平対向エンジンです。新世代の水平対向BOXERになっても、「BOXERサウンド」は健在です。
今後も熱烈な「スバリスト」に限らず、多くの人々から支持されるユニークなエンジンとして進化し続けるでしょう。