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更新日:2020.01.08 / 掲載日:2017.07.26
【トヨタ】世界初の量産ハイブリッドカー「プリウス」の特徴とは

goo-net編集チーム
「人と地球にとって快適であること」というコンセプトのもとに、トヨタ自動車がガソリンエンジンとモーターを併用した、低燃費走行を目的とした世界初の量産ハイブリッドカー「プリウス」が1997年12月誕生しました。
プリウス開発の背景
「21世紀に間に合いました。」のキャッチフレーズに相応しい、まさに21世紀の次世代の新たな幕開けに相応しい革新的な技術を満載した、エポックメイキングな車の誕生です。
初代から現在の4代目まで、ハイブリットカーと言えばプリウスというほど高い人気を誇ります。
1993年、「中長期的に車のことを考える」ことをテーマに「G21」プロジェクトは始まりました。
この「G」は地球を意味する「Globe」、そして「21」は文字通り「21世紀」を象徴するコードネームでした。
そして翌年1994年、プロジェクトから正式にミッションとしてG21は開発をスタートさせます。
シャシー、ボディー、エンジン、駆動系に加えて、生産技術のエンジニアも参加して、研究から生産までを担当するチームの完成です。
初期プロジェクトでは車のコンセプトを、「小型で室内が広く、燃費のいいクルマ」としていましたが、方向性が決まらない中、「次世代のパワートレーン」という言葉だけの模索状態が続きました。
当時はまだハイブリッドというものは研究段階レベルであり、技術としてはトヨタをはじめどこの自動車メーカーも確立できておらず、量産化は難しい、というのが社内の大半の意見でした。
それが一転、1995年の東京モーターショーでハイブリッドのコンセプトカーを発表する、という課題がG21に出たのです。
モーターショーまで1年しかないという切羽詰まった状態でコンセプトカーの開発に邁進します。
開発できなければチームは解散という状況の中、「燃費を従来の2倍にする」という命題を会社から言い渡され、ハイブリッドカーを開発するという大目標を前に、ハイブリッドシステム開発チーム、さらにはEV(電気自動車)開発チームと3チーム合同で新しい車の開発に着手しました。
そして「THS(トヨタハイブリッドシステム)」の誕生へと繋がります。
先進のハイブリッドシステム技術の機能
「THS(トヨタハイブリッドシステム)」はさまざまな新技術の集合体です。
ただ、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたら燃費の良い車が出来た、という簡単なことではありません。
それではどのような点がTHSの基幹技術なのか見ていきましょう。
そのひとつが「ガソリン直噴エンジン」です。
通常のガソリンエンジンは副燃焼室を持っていて、そこに混合気を噴出してスパークプラグにより着火させ、その燃焼をシリンダー内に移してピストンを動かすわけですが、直噴とは最適な混合気を直接シリンダー内に噴射する高効率燃焼技術です。
またハイブリッドシステムのいくつかの形式の中から、エンジンとモーターの長所が活かせ、将来性のある「シリーズパラレル方式」のハイブリッドという方式を採用します。
これはエンジンに加えてモーターを二つ組み合わせる方式で、駆動用モーターはエンジンの出力を補助しながら、減速する時には発電機の役割を果たしてバッテリーにも充電(回生)します。
もうひとつのモーターはエンジンからの動力を使って発電して、変速システムの制御機能を持ちます。
そしてスターターモーターとしても使用されます。
そこに二つのモーターとエンジンを繋ぎ、エンジン・モーター・発電機に出力を振り分ける、「プラネタリーギア」を使った動力分割機構がハイブリッドシステムの仕組みです。
ハイブリッドシステムのメリット
ハイブリッドシステムは、優れた燃費性能と排出ガスのクリーン化により高い環境性能を実現しました。
そして電気モーターを使用しているため排気音を抑え、高い静粛性もメリットと言えるでしょう。
また環境性能に優れていることの副産物として、「エコカー減税」という税の優遇措置を誕生させるきっかけにもなっています。
ハイブリッドシステムのデメリット
ハイブリッドシステム搭載車は、特殊な機構・専用バッテリーを搭載しており、概して車両本体価格が同クラスのガソリンエンジン搭載車より割高となっています。
また、技術の進歩でバッテリー交換のサイクルはかなり伸びていますが、交換の際の費用も割高と言えるでしょう。
しかしながら、量産効果やバッテリーの進化により、バッテリーの交換費用も初代から比べるとだいぶ下がってきています。
ハイブリッドシステムの未来
ハイブリッドカーも色々な特徴を持ったタイプへ急速に拡大しています。
減速時のエネルギーを利用して発電、加速時にその電力を使ってエンジンをアシストする簡易的な「マイルドハイブリッド」や、本来のエコカーの進化とは異なる、全域に亘りパワフルにエンジンをアシストする「スポーツハイブリッド」など、新たなハイブリッドシステムを搭載したモデルが登場しています。
さらに家庭のコンセントから充電可能な、「プラグインハイブリッド車」という車両が次世代の車として期待されています。
今後も航続距離・充電時間の短縮・走行性能の進化はもとより、ベーシックなタイプから高級車、スポーツカーに至るまで、さまざまなハイブリッドシステムを搭載する車が誕生することでしょう。