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更新日:2020.01.08 / 掲載日:2019.10.29
ラダーフレームの特徴と機能、故障時の修理費用について解説

グーネット編集チーム
トヨタの「ラダーフレーム」は、ランドクルーザーの初代モデルから長きにわたり採用しているシャシー構造です。数万キロにも及ぶ悪路走行において、しっかり車体を支える耐久性・剛性に優れるフレーム構造です。
世界中のあらゆるフィールドで使用されるランドクルーザーにとって、信頼性の高いシャシーを採用することはとても重要な要素と言えるでしょう。
ここでは、トヨタがランドクルーザーに採用するラダーフレームの拘りを解説します。
ラダーフレームの特徴とは?
ラダーフレームは、トヨタ車の本格的4WD機構を持つ高級SUVモデル「ランドクルーザー」にとって欠かせない、確かな安全性・信頼性をもたらしてくれるシャシー技術となっています。
現在の乗用車や多くのSUV車は、フレームとボディの一体化で、車全体で強度や剛性を確保しやすい生産性に優れるモノコック構造のボディの主流です。しかし、そのモノコック構造のボディより高いレベルの強度や剛性・耐久性を持ち、バランスに優れるのがラダーフレーム構造のボディとなっています。
岩場や深雪走行では、常に足元が安定しません。このため、一般的なモノコック構造では、車体の強度や剛性の確保が難しく、確実な駆動力を発揮するのが難しいと言われています。姿かたちがSUVで同じ4輪駆動車でも、本格SUVと呼ばれる車種かそうでないかの違いが、このモノコック構造かラダーフレームかの違いにあります。
ラダーフレームを採用するランドクルーザーは、際立った耐久性・信頼性・ステイタスの高さから世界中で広く愛用されていますが、中東のエグゼクティブに絶大な人気を誇る要因として、ラダーフレームによる走破性の高さもあると言えるでしょう。
ラダーフレームとモノコック構造の違いとは?

グーネット編集チーム
ラダーフレームとモノコック構造は、違いが乗り心地や強さの違いとなって目に見える形で表れてきます。
乗り心地の違い
乗り心地については、日常的な使用ではラダーフレームとモノコック構造の間で大きな優劣はありません。
しかし、モノコック構造はボディとフレームが一体化した軽量な構造なので、サスペンションのセッティングがラダーフレームに比べて容易になっています。
一方のラダーフレームは、サスペンションのセッティングは難しいものの、フレーム側にも重量があるので低重心で走行安定性が高くなることや、路面からの衝撃をフレームそのもので吸収してくれるため、未舗装路を長期間走行するよう場面では、ラダーフレームの方がモノコック構造に比べて有利になるなどのメリットがあります。
車内の広さの違い
車内の広さだけで見れば、ボディフロア自体が構造の一部となっているモノコック構造の方がラダーフレームに比べて有利となります。ボディサイズを抑えながら、車内のスペース効率を最適化しようとすれば、モノコック構造の方がフロアを低くでき、より広く作ることができるのです。
堅牢さを主眼に作られているラダーフレームは、分厚い鋼板を筒状に溶接して製作されており、そこにサスペンション、エンジンとトランスミッションが搭載され、ボディが載せられる仕組みとなります。
そのため、ボディサイズから見た車内の広さは、同じ大きさのモノコック構造の車両と比べると狭くなる傾向にあります。
価格の違い
舗装路が一般化した現代ではボディに対してそこまでの強度を求められることが多くないため、モノコック構造の車両が主流となっており、一部のオフロードモデルの車両がラダーフレームを採用しています。
ラダーフレームは、頑丈なはしご状のフレームとボディの2つをそれぞれ製作する必要がありますが、モノコック構造は、キャビンとフレームの両方の役割をボディ1つでこなすため、原材料や製造工程の観点で見てもコストを抑えることができます。
強さの違い
モノコック構造で長期間未舗装路を走行すると、振動によって負荷がかかり、ボディが歪んでしまうことがあります。
その点、ラダーフレームであれば、頑丈なフレーム自体が振動や衝撃をいなす役割を担っており、ボディの劣化を防いでくれます。ボディとフレームが全くの別物なので、ボディが少しくらいダメージを受けていても、フレームさえ無事であれば走行できるという点もメリットと言えます。
ただし、長期間の衝撃ではなく、衝突時などの一度に衝撃が加わる場合などではモノコック構造が全体に衝撃を分散できるので、ラダーフレームよりもモノコック構造が優れていると言えます。
ラダーフレームの機能
ラダーフレームの構造は、その名の通り、フレームがはしご状になっています。前後に堅牢なサイドレール、横方向にクロスメンバーを配しており、シンプルながら非常に頑丈な構造です。
住宅を例にとると、フレームの柱の間に筋交いを入れて補強するケースに似ています。路面がデコボコした悪路では4輪の地面の接地が不安定であり、車体のねじれや歪みを防止するため、走破性を高めるためにも効果的な構造です。
ラダーフレームは、フレームとボディを結合する部分にマウントがあり、これにボディを乗せて連結させます。フレームとボディが別体構造でそれぞれ独立しており、これが快適性と安全性に優れている理由になります。
ラダーフレームの特徴的な効果は以下の通りです。
・曲げやねじれに対して高い強度と剛性を確保し、耐久性に優れている
・路面や駆動系から生じる振動や騒音がボディに伝わりにくいため乗り心地に優れる
・走行中の衝突や転倒でボディに衝撃を受けても、ダメージがフレームに伝わりにくい
・フレームにダメージを受けても、修理や交換などメンテナンス性に優れる
ラダーフレームの修理にかかる費用について
ボディが大きなダメージを受けると廃車にせざるをえないモノコック構造と比べ、フレーム単体で交換ができるという点において、ラダーフレームの車は長く乗り続けることが可能です。そこで、ラダーフレームを採用した車で交通事故にあい、ボディだけでなくラダーフレームの交換が必要になった場合の費用について説明していきます。
ラダーフレームを採用している、軽自動車のジムニーの場合の修理費用を例に挙げると、フレーム自体の値段がおよそ20万円といわれています。
これはフレーム単体の値段であり、実際には、事故にあった車からボディやエンジン、補器類などをラダーフレームから取り外し、再度載せかえるための工賃や諸経費もかかります。それらの費用をすべて含めるとラダーフレームの交換には40~50万円の修理費用が必要になってくると考えられます。
他の車種では具体的な金額が公開されてはいませんが、より大型で高機能の車種になれば、それだけフレームの価格や工賃などもさらに高くなることが考えられます。このように、ラダーフレームの交換は、非常に高額な修理となるため、費用対効果を含めて実施を検討することが必要です。
ラダーフレームを採用した車種一覧
ラダーフレームを採用した車種は以下の通りです。
トヨタ ランドクルーザー(ランドクルーザー プラド)
ランドクルーザーは、1951年の発売以来、トヨタが世界に誇る最上級SUVとしての地位を確立したモデルです。ボディを少しコンパクトに抑えた弟分のランドクルーザープラドもラインアップしています。
トヨタ FJクルーザー
ランドクルーザープラドのフレームにレトロチックなボディを載せたのがFJクルーザーです。当初は北米のみの販売でしたが、日本でも販売され、遊び心満載の本格4WD車として、アウトドアを趣味とするユーザーに人気があります。
スズキ ジムニー
1970年に軽自動車で唯一の4WDとして発売され、世界でも類を見ないコンパクトサイズの超本格派4WDとして知られているモデルです。少しだけボディサイズを大きくして1.5Lエンジンを搭載したジムニーシエラもラインアップされています。
メルセデスベンツ Gクラス
1979年の誕生以来、基本構造やデザインを変えずに進化してきた伝説的なモデルがメルセデスベンツ・Gクラスです。車の性能は進化を続けても、ラダーフレームを踏襲するコンセプトは不変です。
クライスラー・ジープラングラー
ジープは、第二次世界大戦中にアメリカ軍の軍用車両として開発され、走破性や耐久性に優れています。ジープの誕生から70年以上経っている現在も、世界でトップレベルの頑丈さです。
まとめ
耐久性や悪路の走破性能、悪路での快適な乗り心地など、ラダーフレームを採用するメリットは多く挙げられます。
中でも世界中のどんなに厳しい走行環境であっても、必ず帰ってこれる車として例えられるほどのヘビーデューティユースの信頼性の高さが、ランドクルーザーを語る上で重要な優位性と言われており、ラダーフレームへ拘りを持つことが、世界中で広く支持される要因となっています。
今後もトヨタのラダーフレームの拘りは、ランドクルーザーの進化とともに続くことでしょう。