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更新日:2020.01.08 / 掲載日:2017.10.23
【GLM】クルマのデザインが大きく変わる 樹脂製フロントウインドウ
goo-net編集チーム
京都大学発の電気自動車(EV)ベンチャー企業であるGLM(京都市)は、
2017年6月19日、樹脂製のフロントウインドウの搭載を発表しました。
従来に比べて大幅な軽量化を実現し、ガラス製に比べて強度があるため、
フロントガラスとサイドガラスの間のフレーム枠(Aピラー)を必要とせず、
今後の車のデザインが大きく変わる可能性があります。
ここでは、画期的な樹脂製フロントウインドウの製品化に至るまでの背景を解説します。
フロントウインドウ技術の開発の背景
GLMでは、樹脂製のフロントウインドウの開発を、
繊維開発で有名な化学メーカーである帝人と共同で行いました。
国土交通省では2017年7月1日から、自動車保安基準改正を行いました。
今回の改正では、従来のガラス製に加え、
樹脂製のフロントウインドウの搭載も認められるようになったことが背景にあります。
GLMでは同社が開発するスポーツEVカーの「トミーカイラZZ」に、
この技術を採用することを決めています。
2017年秋をめどに販売予定で、
市販車に樹脂製のフロントウインドウが採用されれば世界初の実用化になります。
フロントウインドウの技術の特徴
帝人の発表によると、採用される樹脂製フロントウインドウは、
従来のガラス製に比べてフレーム枠(Aピラー)を含め3割以上の重量軽減に成功、
強度も高くなりました。
フレーム枠(Aピラー)がなくなるため、視認性が向上し、安全運転につながるメリットもあります。
また、視野が広がることで開放感にあふれ、爽快なドライビングフィールをもたらし、
車そのもののデザインにも従来にない新たな可能性が期待されます。
フロントウインドウの主原料は、ポリカーボネート樹脂です。
ポリカーボネート樹脂はフィルムのように、2重のコーティングを施し、
耐摩擦性・耐候性を高めることで、自動車保安基準の対応に成功しました。
ポリカーボネート樹脂は、他にも軽量で耐衝撃性・難燃性などに優れる特徴を持ち、
スーツケースや旅客機の客室窓、オートバイヘルメットなど、
身近なものにもたくさん使われる信頼性の高い素材です。
フロントウインドウ技術の効果
樹脂製フロントウインドウは、車の軽量化や視認性といった実用面での向上の一方で、
車のデザイン性能も高めてくれる可能性を秘めています。
オープンカーの外観デザインは、フロントウインドウによって大きく左右されます。
角度や太さなど、安全性からも制約があるため、オープンカーのデザインを決定する上で、
自由度という面から見るとどうしても足かせになっていることは否定できません。
しかし、樹脂製にすると、遠目からではフロントウインドウが全く目立ちません。
開発した帝人では欧米の自動車メーカーに向けて市場開拓をしていく予定です。
積極的に最新のデザインを採り入れる欧州車にとって、
樹脂製フロントウインドウの技術が生かされる可能性は大いにあるでしょう。
樹脂製フロントウインドウの開発は、
車を楽しむためも車のデザインの進化にとっても画期的な技術と言えるでしょう。
単に爽快感を増すだけでなく、従来のガラス製よりも3割近くの軽量化につながります。
特に車体上部の軽量化は運動性能にも大きく影響を及ぼす要因なので、
スポーツカーに限らずさまざまな車種への応用が期待されます。
国内のベンチャーが今度も車の開発に参入してくれば、
従来の着眼点にない新発想の車が出てきそうです。