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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.06
ダイハツ ブーンX4 その走り徹底チェック 超~、楽しい!! 街中から山道までどこでも全開!!
直4、1Lに本格的ターボ&組み合わせた本気のホットハッチがブーンX4なのだ

今回試乗したのはストリートバージョンともいえる「ハイグレードパッケージ」。外観ではアルミホイールが標準装着となるほか、ドアミラーとドアノブがボディ同色、Bピラーがブラックアウトされているのがベースモデルとの違いとなる。装備類ではMOMOステアリング、エアコン、キーレスエントリー、電動格納ドアミラーなどが標準装備となっている。ボディカラーはベースモデル、ハイグレードパックともホワイトのみの設定となっており、つまり、ブーンX4は白しかない、ということになる。ボディ自体はワイド間を強調した、迫力のブーンカスタムがベースとなっており、ノーマルのブーンとはまったくベツモノの雰囲気。ボンネット上で口を開けるインタークーラーのエアインテークがただ者ではない雰囲気をアピールする
【本記事は2006年5月にベストカーに掲載された記事となります。】直4、1Lに本格的ターボ&組み合わせた本気のホットハッチがブーンX4なのだストリーアにもX4(クロスフォーと読むのだ)があったけれど、あれは完全にモータースポーツ用のベースモデルという位置づけで、街乗りにはまったく適していないクルマだった。なにしろエアコンは付かない(ディーラーオプション品を装着した例はあるようだが)、パワーウィンドウがなかったりと、やっぱり普通に街乗りに使うのはしんどかった。だが、ブーンのX4はちょっと事情が違うのであった。もちろん、X4が生まれた経緯はストーリアX4と同様、モータースポーツ、ラリーやダートラ参戦がターゲットなのだが、「ベースモデル」(183万7500円)のほかに「ハイグレードパック」(204万7500円)なるグレードが用意されているのがミソ。このハイグレードパックにはエアコン、キーレスエントリー、モモ製革巻きステアリング、アルミホイール、電動格納ドアミラー、パワーウィンドウなどが標準装備となっているのだ。そう、ハイグレードパックはストリートバージョンなのである。
936cc直4ターボは133馬力、13.5kgmを発揮!!

搭載されるエンジンは排気量936ccの直列4気筒ターボ。エンジン本体はコペンに搭載される660cc直4をベースに排気量アップしたものだ。最高出力133馬力、最大トルク13.5kgmを発揮する
・936cc直4ターボは133馬力、13.5kgmを発揮!!エンジンはベースモデルもハイグレードパックも同じ。もともとコペンに搭載されている直列4気筒エンジンをベースに排気量を936ccに拡大して大型タービンを組み合わせている。この排気量は、ラリー、ダートラのレギュレーションでターボ係数の1.7をかけた際に1591.2ccとなり、今年から新設された1400~1600ccクラスの全日本ラリーに合わせたもの。このエンジンがまた、昔懐かしの「ドッカンターボ」なのだった。アクセルを踏み込んでも、一瞬エンジンは無反応。いや、反応しているんだけど回転があがらない。……。一瞬のタイムラグのあと「バシャシャシャシャ」という派手な過給音とともに一気にエンジンは吹き上がる!! ファイナルギアが5.5という超ローギアードの設定のうえ、クロスギアレシオの5速MTなものだから、一度回転が上がっちゃえばあとはしめたもの。電光石火のシフトアップでエンジン回転を保ってやれば、これが1ターボの走りか!? という激しい、刺激的な走りを見せつけてくれるのだった。
ハッキリ言って乗りこなしにはテクが必要!!

・ハッキリ言って乗りこなしにはテクが必要!!排気量936ccで大型タービンを採用するブーンX4のエンジンを活発に走らせるためには、頻繁にギアチェンジしてエンジン回転を常に5000回転以上に保っておかなくてはならない。最近こんなクルマ、まずないでしょ。X4をそれらしく走らせるためのトルクバンドは、ズバリ5000回転からレッドゾーンの始まる7800回転の間。いやぁ、走らせていて楽しくて楽しくてしかたがなかった。だって、コーナー入り口で減速して、シフトダウンをちょっとサボると立ち上がりでいくらアクセルを踏んでもぜんぜんエンジンはレスポンスしてくれない。3速3000回転からの立ち上がり、なんてかったるくてしょうがないのだからたまらない。キッチリシフトダウンして5000回転あたりまで回転を上げておかなくっちゃあダメなのだ。ランエボやインプレッサもしっかり回転を保ってやることが必要だけど、そうはいってもアチラは2L。ちょっとくらい回転が落ち込んでもなんとかなるだけのトルクはあるのだが、ブーンはアンダー1Lですから……。回転を落としたらほんとスカスカ。久しぶりに真剣になってしまいました。で、5速MTがまたクロスレシオだから加速時は忙しいのなんの。各ギアはあっという間に吹けきっちゃうから、左手はいつもシフトノブ。しょっちゅうガチャガチャギアチェンジしていなくてはならないのだ。ま、それが楽しんだけどね。・ハンドリングにはやや不満が残る結果となったってなわけで、クセのある、乗りこなしがいのあるエンジンを操ってブーンX4を元気に走らせるわけだが、ハンドリングにはハッキリいって不満があった。ちょっとばかり街乗りを意識しすぎてしまっていると思うのだ。具体的には、足がソフトすぎ。本当に普通に買い物にでも行くように街中を流すような走りなら快適でいいんだけど、なにしろX4ですから……。ある程度頑張っちゃうわけですよ。そうするとちょっともの足りないんですな。ロールも大きめだし、切り返しの揺り戻しも大きめ。実は、ハイグレードパックはベースグレードよりも15mm車高が高いのだが、ベースグレード用のローダウンサスのままでもよかったのではなかろうか!? 多分、そちらのほうがX4らしい走りには向いていると思った。せっかくコンパクトなボディでタイトターンが連続するニッポンの山道にはジャストフィットなのだから、そのメリットを生かせる足回りが欲しかった。
高速道路は、割り切りというか覚悟が必要ですぞ

ファイナルギア比が5.5と超ローギアードな設定のため、エンジンはビンビン吹け上がる。ちなみに100km/h巡航時のエンジン回転は4250回転にもなり、室内はエンジンやデフ、ミッションの音で元気いっぱい!
・高速道路は、割り切りというか覚悟が必要ですぞハイグレードパック車とはいえ、基本はベーシック車と同じなので、遮音材などは最低限に絞られているのだろう。走り出すととにかく室内がにぎやかなのだ。競技車に乗り慣れている人にはなんともないだろうが、普通の乗用車しか乗ったことないと、最初はちょっとビックリするかもしれない。特によく入り込んでくるのがミッション、デフなどが発する「キュイィィィィィィィィ~ン」というノイズ。タイヤの音も盛大に入ってくる。エンジン本体の音も猛々しい。しかもローギアードなため、5速100km/h巡航時のエンジン回転は4250回転!! これで延々長距離移動は正直チト辛いな、と思います。感覚的にあと2速シフトアップしたい感じ。5速じゃなくて3速で巡航しているような感じなのでした。ま、これもワインディングで本領を発揮するためのギア比なので、ガマンガマン。ちなみに、このままアクセルを踏み込んでいると5速レッドゾーン寸前でレブリミッターが作動。この時点でのメーター読みはほぼ180km/hに達するのであった。まだ加速中だったので、ファイナルをもうちょっとハイギアにすれば最高速はまだまだ伸びる。・でも、この感覚が楽しいんだよね!!と、いろいろと突っ込みどころ満載のブーンX4なのだが、じゃあこのクルマはどうなのよ!? といえば、「メチャメチャ楽しい!!」と断言します。気の利いた電子制御なんてのはなくて、クセのあるエンジンをこれまた個性的なギア比のMTを駆使して乗りこなす。最近のクルマでは味わうことのできない、ドライバーがクルマをねじ伏せる楽しさを全身で味わうことができるのだ。クルマ好きならこんなクルマこそ楽しいと感じるはず!!気になる価格だが、ハイグレードパックは204万7500円。決してお安い価格ではなく、あと20万円程度安ければもっと買いやすいと思うのだが。
緊急テスト! 0→30m(信号ダッシュ)ならインプSTiも置き去りだ!

スタートの瞬間は確かにブーンX4が一歩先行するのであった。ボディの軽さがスタート脱脂湯の鋭さにつながっているのだ。そのままちょっとだけブーンが先行
緊急テスト! 0→30m(信号ダッシュ)ならインプSTiも置き去りだ!ブーンX4の4WDはセンターデフ方式のフルタイム4WD。ゼロヨンスタートのような急発進では、エンジン回転をレッドゾーンギリギリまで引き上げといて、やや半クラッチを多めに使いながらエンジン回転を落とさないようにクラッチをミートしてやればいい。荷重の軽くなったフロントタイヤがやや路面をかきむしるものの、パワーロスしてしまうほどのホイールスピンは発生せず、絶妙のスタートが決められた。スパッとクラッチをつないではダメ。フルタイム4WDのトラクションに負けてエンジンが一気にストールしてしまい、スタートを失敗してしまう
ブーンX4は小排気量車

しかし、30mを過ぎたあたりでインプレッサが横に並んだと思ったら、あっさり逆転。あとはもの凄い勢いで引き離されてしまうのであった。ま、これは当然といえば当然なのだが……。ブーンX4のゼロヨンは15秒97、0→100km/hは8秒58であった。タイム的には20年前の2Lターボと同等なの
ここからが忙しい。超ローギアードでしかもクロスギアレシオなので、あっという間にエンジンはレッドゾーン。シフトアップしてもエンジン回転は1000回転程度しか落ちないのですぐにまたレッドゾーンまで吹けてしまう。次々とシフトアップして、400m地点手前ですでに5速に入ってしまうのであった。普通のクルマは4速、大排気量車だと3速で400m地点を通過するクルマもある。ブーンX4は小排気量車なのだな、ということを再認識。ゼロヨンタイムは15秒97で、先日テストしたレクサスGS450hどころかGS430にもかなわないんだけど、目一杯性能を引き出している感覚はブーンX4の勝ち。1Lターボで15秒台は立派だと思う。
ムーブX4モータースポーツ&楽しみかた

雪辱戦となったジムカーナ対決。タイトターン中心のチマチマしたコース設定としたことで、ブーンはインプレッサを抑えて好タイムをマークした。フットワークの軽快感はさすがコンパクトカーである。走っていて楽しくなる!!
◎ムーブX4モータースポーツ&楽しみかたブーンX4の月産台数は50台程度だという。そのうち40台がストリートバージョンのハイグレードパックとなる。この台数だとFIA公認取得の2500台はちょっと現実的ではないけれど、国内モータースポーツはモチロンなんの問題もない。ブーンX4はモータースポーツベース車だから、とにかく交換パーツが豊富。ファイナルギアもギア比を変更するキットがDスポーツより発売予定だし、サスペンションキットもクスコなどから市販予定。これらはもちろんストリートでも使えるので、モータースポーツ派以外にもモータースポーツパーツをチェックしてみてはいかがだろう!? ブーンX4は、ノーマルのまま楽しめるクルマとダイハツは言っているが、そのまま乗るよりも、手を加えることでもっともっと面白くなるクルマなのである。こうした楽しみもまた、最近のクルマでは味わえなくなってきたことだ。ブーンX4でクルマを楽しもう!!