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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.05
ライバルと多角比較 デリカD:5 C2はいいクルマなのか? 健闘か? 敗北か?

4WDではないということでキャラクターは薄くなったが、マイルドで扱いやすいミニバンとして重宝
【本記事は2007年7月にベストカーに掲載された記事となります。】デリカD:5のFFモデル、C2の走りの実力を、街中、高速道路での試乗を通してライバルと比較してみたい。ライバルとは言うまでもなく2~2.5Lクラスのミニバンで、エスティマ、アルファード、エルグランド、ステップワゴン、セレナ、ノア/ヴォクシー。ただし、ノア/ヴォクシーは6月27日にフルモデルチェンジを迎えるモデル最末期車のため除外。
これは気になる 走りはどうなの?

この一見無骨だが味のあるエクステリアデザインが気に入ったら絶対買いだ!
一般的にクルマは2輪駆動ありきで、それをベースに4WDが開発されるが、デリカD:5は4WDをベースにFFが追加されるというまったく逆の手法をとってきた。その実力たるやいかなるものか、いざ試乗。今回試乗したのは、ノーマルのC2をベースにカスタマイズしたローデスト。ノーマルのC2との違いは、外観などを除けば、タイヤサイズがノーマルの215/60R16に対しローデストは215/55R17となることくらい。ただし、タイヤのハイトが同じなので全高は変わらない。いっぽう4WDは225/55R18インチの大径タイヤを装着。走り始めてまず気づくのは、4WDモデル以上にマイルドなこと。これは街中をクルージングする時でも、ちょっと元気にコーナーを通過するといった時でも同じ傾向。ただ、コーナリングスピードを高めていくと、4WDのスタビリティが高い。これは4WDのトラクション性能が高いのも要因だが、一番はタイヤサイズによる違いだ。動力性能面では、低中速トルクに定評のある2.4L、170psエンジン+CVTのスムーズな加速感が魅力的。エンジンは2.4Lクラスでは、中低速トルクの出方が絶妙で、ライバルを大きく凌駕。街中でとても扱いやすい。高回転域でのパワー感は、エスティマの2.4Lが一番、回転のスムーズさでは唯一のV6であるエルグランドがほかを圧倒しているが、総合力ではデリカC2。街中で重要な0~60km/h加速を手動計測したところ6.2秒。4WDのデータがないので体感的な比較となるが、FF化によって80kg軽くなっているが、加速性能にそれほどの差は感じられなかった。これをライバルと比べるとどうか。2Lクラスのいわゆる格下? のセレナ、ステップワゴン、ノアが6.9~7.1秒だから、加速性能の違いは歴然。いっぽう、同じ2.4Lクラスでは、エスティマが6.3秒とほぼ同じ、アルファード、エルグランドは体感的にもパワーウェイトレシオからもエスティマ、デリカC2よりも遅い。エルグランドは発進時にアクセルをちょっと踏み込んだだけでアクセルを大きめに開けるように電子制御スロットルがセッティングされているため、2tオーバーの大型ボディながら出足は鋭く感じるが、長続きせず。いっぽうアルファードは、デリカC2、エスティマがCVTと組み合わされるのに対し、4AT。無段階変速のCVTに比べると、古さを感じさせ、ミニバン界の皇帝といえども走りの質感は一歩劣る。ハンドリングはどうか。コーナリングのスタビリティに関してデリカのFFと4WDを比較すると、前述のとおりFFよりも4WDのほうが上だが、軽快感はFFとなる。ではFFのC2とライバルを比べると、一番ファンで楽しめるのはステップワゴン。低床フロアを採用することにより重心高が低くなっているのが最大の要因だが、BOXタイプミニバンではピカイチの存在。低中速域から高速域まで全域で楽しいハンドリングを実現。FFながらスタビリティも高い。エスティマもハンドリングのいいミニバンで、足回りのシッカリ感はクラス随一。現行のエスティマを開発するにあたり、乗り心地の向上を主眼に開発が進められたというが、そのため足回りの仕上げがすばらしくハンドリングにも好影響。デリカC2はエスティマと同レベル。いっぽう、大型ミニバンのエルグランド、アルファードは好対照。ともに重心が高くハンドリング面では不利になるが、重心が高いわりにシッカリと走るアルファードに対し、エルグランドは柔らかい足回りが乗り心地に貢献している半面、ワインディングはボディの動きが大きくやや苦手としている感じ。
ここが重要 使い勝手

ユーザーが求める走りと使い勝手、快適性を高次元でバランスさせているデリカC2。4WDより受け入れられやすい
デリカC2とほぼ同サイズながらエスティマの室内長、室内幅はすばらしいレベルにあると言える。ここではセレナ、ステップワゴンは5ナンバーサイズだからサイズだけをピックアップすると格下感は否めない。特に3列目シートの居住性では、5ナンバーミニバンではクラス最長、全長4690mmを誇るセレナでまぁまぁ相手になるかといったレベル。3列目シートの広さ、豪華さではアルファード、エルグランドが圧倒的優位と誰もが思うだろうが、2列目のシートバックから3列目の着座位置までの長さはデリカC2が975mmでナンバーワン。もちろん、アルファードの豪華な3列目シートの居住性はピカイチだが、おざなりにされがちな3列目シートの背もたれの大きさなどデリカはエスティマの比ではなく、快適性もトップにある。逆に2列目の居住性は、エスティマがナンバーワン。これはアルファードをも凌駕。特に7人乗り仕様の場合、外国の要人などからリムジン代わりに重宝されているほどの快適性。いっぽうラゲッジについては、デリカC2は3列目の使用時は割り切ったコンセプトのため、ライバルと比べると見劣りする。最大容量でも2000Lを超えるアルファード、ステップワゴンがライバルに対して大きくリード。いっぽう3列目シートは、エスティマが床下収納であるのを除きそのほかはすべて左右跳ね上げ式を採用。デリカC2は簡単に操作できるが、この点ではセレナのアドバンテージは現在でも大きい。エスティマは唯一の床下収納だから、左右に出っ張りがなく、ラゲッジ使用時に有利になる。それから、ボディの大きなミニバンでユーザーが重視する取り回し性、視界については、最小回転半径が一番短いのはステップワゴンの5.3m、それに5.4mのデリカC2、エスティマ、セレナが続き、エルグランドが5.7m、アルファードにいたっては5.8m!乗降性は、4WDに比べて45mm全高が低くなったことによりステップ高も45mm低くなったデリカの優位性は高く、子供やお年寄りでも楽に乗り降りできるのは、ファミリーユースの多いミニバンでは重要なこと。そして運転席からの視界だが、スクエアなボディデザインのC2は見切りもよく、ウィンドウ面積も大きいため安全面でもひと役買っている。サイドでは、ウィンドウ下側を切り込んだセレナが一番。操作類の使いやすさに関してはどのクルマも研究されているため大きな差はないが、デリカC2、エスティマのシフトレバーは使い勝手がいい。
どうなった? 総合判定

全高が低くなったことで乗降性も格段向上
デリカC2はデリカの真骨頂である4WDではなくFFとしたことでキャラクターとしては少々薄くなったことは否定できないが、採点結果でもわかるとおり、総合力の高さは4WD同様に高く、4WDを必要としない多くのユーザーにとってはライト感覚で乗れる。そして実用性も備えているデリカC2の登場で、ミニバン選びの選択肢が広がったと言えそうだ。