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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.05

日本に新ジャンルを投入するトヨタの挑戦!! ホットな走りを期待するとよくも悪くも裏切られる!? 280馬力でも走りは至極スムーズなブレイド

“オキテ破り”のクルマ

ライバルとなるゴルフR32などと比べると非常におとなしい印象で、標準のブレイドとほとんど変わらないエクステリア。もっと差別化や高性能車としてのアピールが欲しい気もするが、逆に派手さをなくしているのがトヨタらしさでもある

ライバルとなるゴルフR32などと比べると非常におとなしい印象で、標準のブレイドとほとんど変わらないエクステリア。もっと差別化や高性能車としてのアピールが欲しい気もするが、逆に派手さをなくしているのがトヨタらしさでもある

【本記事は2007年10月にベストカーに掲載された記事となります。】トヨタという会社は“車格”に対して分不相応に大きなエンジンを積むのを好まない。カローラは4気筒1.8Lまで、マークXは6気筒3Lまでといった具合に、序列を乱さないことが大事。ただでさえ膨大な車種ヒエラルキーを混乱させるようなクルマは、敢えて作らないようにしているふうに見える。そういう意味では、ブレイドマスターはトヨタとしてはちょっと“オキテ破り”のクルマといっていい。

カローラにV6

3.5L、V6を押し込んだ! パワーウェイトレシオは5.25kg/ps(ゴルフR32は6.16kg/ps ブレイド2.4Lは8.32kg/ps)

3.5L、V6を押し込んだ! パワーウェイトレシオは5.25kg/ps(ゴルフR32は6.16kg/ps ブレイド2.4Lは8.32kg/ps)

ブレイドは基本的にはカローラクラスの5ドアHBだが、コイツになんと3.5LのV6を搭載する。カローラにV6なんて、ひと昔前のトヨタの常識ではまさに暴挙。5L、V8を積むレクサスIS-Fとともに、トヨタのクルマ作りが確実に変化しつつあることを予感させるニューモデルだ。でも、それじゃブレイドマスターがバリバリのスポーティカーなのかというと、ソコがやっぱりトヨタらしいところ。パワフルなスポーツモデルというのはある意味デンジャラスなものなんだけど、そういう部分をまったく感じさせないように仕上げてきている。ブレイドマスターが搭載する2GR-FE型のV6エンジンは280ps/35.1kgmで、車重は1.5t弱。スペック的にはライバルとなるVWゴルフR32やBMW130iなどをしのぐほどのパワーウェイトレシオ(5.25kg/ps)を実現している。欧州勢みたいな“大人のスポーツハッチ”的なクルマを、まずは想像するだろう、普通は。

乗り心地は重厚でドッシリ

ところが、実際にブレイドマスターを走らせてみると、受ける印象はむしろ落ち着いた高級車のテイスト。エンジンはすごくスムーズで静粛だし、乗り心地は重厚でドッシリしているし、「コンパクトカーだと思ったら、まるで高級サルーンみたいじゃん?」というのが率直な感想なのだ。パワーはもちろんイヤというほどある。全長4.3m/車重1.5tを切るコンパクトボディに280psだから、発進時にちょっとアクセルを深く踏み込むだけでドライ路面でもすぐVSCが作動。6速ATの2速に入ったあたりから始まる本格的な加速感は、0~100km/h 7秒そこそこの実力を持つ。しかし、速いことは速いんだけど、ブレイドマスターはそれをほとんど実感させない。

“小さな高級車”

標準との違いはメッシュタイプのフロントグリルとリアエンブレム、そして17インチホイールのみ。このほか、専用チューニングサスや16インチのブレーキディスクが採用される 走りは非常にどっしりしていて、エンジンもスムーズ。小さな高級車という言葉がピッタリ当てはまる

標準との違いはメッシュタイプのフロントグリルとリアエンブレム、そして17インチホイールのみ。このほか、専用チューニングサスや16インチのブレーキディスクが採用される 走りは非常にどっしりしていて、エンジンもスムーズ。小さな高級車という言葉がピッタリ当てはまる

ひとつには、2GR-FEエンジンが約6000rpmのシフトポイントまでほぼ完璧なスムーズさを持続し、静粛性や加速の滑らかさが抜群なこと。もうひとつは、ハンドリングに関しても、操舵レスポンスやロール感がしっとり落ち着いた感覚で、あまりワインディングを攻めようという気分が盛り上がらない味つけであること。つまり、パワフルだしハンドリングのバランスもいいんだけど、そういうスポーティな部分は裏方に回り、高級感のほうを前面に出したキャラクターに仕上げられているのだ。このあたりが、普通に走っててもけっこうスポーティな気分が盛り上がるゴルフR32やBMW130iとは異なるところ。スペックだけ見てブレイドマスターにホットな走りを期待すると、たぶんちょっとガッカリするんじゃないかと思う。まぁ、馬力スペックに目がくらんでスポーティな走りばかり期待せず、コンパクトハッチなのに高級車みたいに快適で、走りはスポーツカーなみに俊足なクルマと理解するのがブレイドマスター本来の持ち味。市場におけるポジショニングとしては、先日フェードアウトした“小さな高級車”を謳っていたプログレの後継モデルと考えたほうがイイのかもしれないよ。

肝心の売れゆきは?

アルカンターラ&本革のシート(パワーシート付き)はマスターGに装備。ホールド性もよく座り心地も快適

アルカンターラ&本革のシート(パワーシート付き)はマスターGに装備。ホールド性もよく座り心地も快適

肝心の売れゆきは?ブレイドマスターの8月の登録台数は382台。ブレイド全体では1641台で、マスターは2割弱の比率となる。グレードは46万2000円も高いマスターGが約8割も占め、購入層はやはりプレミアム性を重視しているのがわかる。なお、マスターGに追加される装備は、本革&アルカンターラのシート、レーダークルーズコントロール、プリクラッシュセーフティなどとなっている。購入年齢層は当然というべきか、50歳代以上が半数を超えているのだが、30歳代、40歳代が39%となっており、意外に若い人に受けているなと感じた。とはいっても、発売から1カ月で382台という数字はちょっと寂しい気もする?

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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