日産ティアナ『デザイン水かけ論』番外編　前澤義雄×清水草一

【本記事は2008年6月にベストカーに掲載された記事となります。】6月2日にモデルチェンジが予定されているティアナ。4月20日には北京モーターショーで世界初公開されるなど、デビューに向けて動きが活発化。さて、新型ティアナはどうなのか！？ デビューまで1カ月を切ったいま、ひと足お先に「デザイン水かけ論」でおなじみの前澤義雄×清水草一両氏に熱く語り合っていただくことにしよう。

清水「前澤さん、新しいティアナがもうすぐ出ますね」前澤「…………」清水「北京モーターショーで世界初公開されましたけど……」前澤「……。現行型のが好きだな」清水「フムフム」前澤「現行型のがシンプルなのだよ……、シンプルというのは、あっさりしていてなにもない、という意味ではない」清水「なるほど」前澤「シンプルというのは、主題が明確で、それをしっかりと出すということ。余計なものを付けていないという意味だな。現行型のティアナは最近のセダンの中ではいい感じだと思っていた」清水「新型はちょっとゴテゴテしていますよね」前澤「そう。東京モーターショーで出したコンセプトカー（インティマ）は、なんかキラキラしていてどうかと思ったんだけど、ま、実際市販モデルになったら上手くまとめてくるだろうと思っていた。でも、こうして新型ティアナを見ると、なんかいろいろと飾り付けちゃって、シンプルなよさが失われてしまったように感じる」清水「現行型はもともと日本専売だったティアナですが、新型は中国でも売るんですよね」前澤「北京で世界初公開したくらいだからな。中国でバンバン売りたいんだろう。販売規模は日本と比べものにならない。中国市場を意識したデザインにせざるを得ない」清水「市場の要求ですからね。現行型は日本専売ということもあり、明確なコンセプトを主張しやすかったんでしょう。ティアナのデビュー時、デザイナーがいってましたけど、青山あたりのお店に買い物に行って、見劣りしないセダンにしたかった、と。新型は豪華な雰囲気を出したかったんでしょうね」前澤「どうにも気になるのがウエストラインのカーブしたキャラクターライン。もともとのプロポーションラインは現行型とそう大きく変わらない直線的なものなので、マッチしない。とってつけたように感じる。せっかくプロポーションは端正なラインなのに、目立たせようとして飾りを付けてしまった」清水「ボクは、新型ティアナの尻下がりのラインはちょっと心引かれるんですけどね」前澤「このキャラクターラインを生かすのなら、全体的なプロポーションラインも変わってこなくては違和感がある」清水「前澤さん、インテリアはどうでしょう？」前澤「写真で見るかぎりは悪くない」清水「けど、現行型の寿司屋のカウンター的な個性は薄れているような……」前澤「現行型でトライしているモダンインテリア路線とはちょっと違うと思うけど、まぁ、悪くはない」

新型ティアナは全長4850mm、全幅1795mm、全高1475mmで現行型に対して全長が50mm長くなり、全幅が30mmワイドになっている。全高は変更なし。東京モーターショーに出展されたインティマのデザインコンセプトを盛り込んだデザインが特徴的で、フロントフェンダーからリアフェンダーにかけてラウンドしたキャラクターラインが走っている。エンジンは3.5LのV6は現行型と同じだが、2.3Lが2.5Lに排気量アップされている。3.5Lは252馬力、34.2kgmで燃費は10.0km／L、2.5Lは185馬力、23.7kgmで燃費は12.0km／L。トランスミッションは全車CVTが組み合わされる。価格は、2.5Lが235万円～、3.5Lが360万円～と予測。

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