銀座が似合う高級車クラウンマジェスタ

【本記事は2009年5月にベストカーに掲載された記事となります。】銀座のホステスさんの間でクラウンマジェスタが「マジェ」と呼ばれて人気があることは、ベストカーで何度か紹介してきたエピソード。それ以来、街でマジェスタを見るたびにどんな人が乗っているのか気になってしようがなくなった担当は、化粧濃いめの妙齢の女性が運転していると、「なるほど」とひとり納得する日々が続いている。アホです。「マジェ」は高級で静かで室内が広く、しかもクラウンほどにはオジサンくさくないのもポイントが高いもよう。そう考えると「いい線ついてる高級車」だといえる。セルシオがレクサスLSになった今、トヨタブランドの最高級車はセンチュリーを別格とすればクラウンがその座に就いているわけだが、クラウンマジェスタはそのさらに上という位置づけ。今回ニューモデルが登場することで、マジェスタはトヨタブランドの最高級車としての地位を確立したといっていい。狙うはセルシオの後釜である。

■パワーも広さも大幅アップニューマジェスタはレクサスLS460と同じV8、4.6Lと8速ATを搭載。エンジンスペックは347ps／46.9kgmとLS460の385ps／51.0kgmに一歩譲るものの、そもそもこれだけのパワー、トルクがあれば充分。誰も不満を感じることなどないはずだ。

北米市場をメインとして作られているレクサスLSと異なり、マジェスタは日本国内専用車だ。日本での使い勝手を重視し、全長を5m以内に抑えることは必須条件だったという。そのサイズは全長4995×全幅1810×全高1475mm、ホイールベースは旧型よりも75mm長い2925mmである。この長いホイールベースにより室内の居住性、特にリアシートの広さは大幅に向上している。前後席間距離は旧型よりも75mmアップで、ホイールベースの延長分がそのまま後席の広さにつながっていることがわかる。また、フロントのドアトリムの見切り線を左右20mmずつ外に出すことで、座った時に感じる広さを向上させている。シート自体も骨格細部を見直し、包み込まれるような柔らかな座り心地を実現している。旧型のシートに対し、厚みはフロントで15mm、リアで13mm増しており、クッション長もフロント、リアともに19mm長くなっている。

■贅を尽くしたインテリアグレードは下からAタイプ、AタイプLパッケージ、Cタイプ、Gタイプ、GタイプFパッケージ、それと4WDのi-Four。AタイプLパッケージは専用デザインの17インチホイール、VGRS（ギア比可変ステアリング）、電動ムーンルーフなどを装備したドライバー重視の仕様。GタイプFパッケージは後席助手席側オットマン、世界初の後席センターエアバッグなど、後席の快適性を極めたパッケージで、後席はセパレートタイプの4名乗車となっている。なお、i-Fourのみ旧型からのキャリーオーバーとなるV8、4.3Lエンジン（280ps／438kgm）と6速ATとなる。

全車に設定される木目パネルは高級なウォールナットを採用。GタイプとGタイプFパッケージには国産牛の質の高い皮のみを使用したプレミアム本革シートが奢られる。サスペンションは全車電子制御エアサスペンション。フロントがダブルウィッシュボーンで、リアがマルチリンクで、トヨタブランドの最高峰にふさわしい快適な乗り心地を提供してくれる。

■LS460よりお買い得販売マニュアルを見ると、ニュークラウンマジェスタのユーザーメインターゲットは既存のセルシオオーナーとなっている。「LSではサイズが大きすぎる」「レクサスは対外的な目もあるし、乗るのは抵抗がある」「つき合いの長いスタッフのいるトヨタ店で次も買いたい」というお客さんが確実に存在するとアピール。レクサスLSに対しては「引けを取らない上質な室内」「広々としたパッケージ」「世界トップレベルの安全装備」で対抗できるとしている。実際、前側方プリクラッシュセーフティや後席センターエアバッグなどはレクサスLSにもない最先端の安全装備。クラウンマジェスタは、常に最新装備を一番に搭載するクルマだったが、その伝統はこの5代目にも続いているのである。

レクサスLS460とは価格差もかなり大きい。LS460は773万円からでマジェスタは最も安いAタイプが610万円。豪華で快適な後席セパレートシート同士でいうと、マジェスタGタイプFパッケージが790万円で、レクサスLS460はロングボディにしかなく、価格は1183万円。このあたりもホステスさんに人気がある理由かも？スタイリングは完全にキープコンセプトで新鮮味に欠ける面もあるが、渡辺捷昭社長は「当初は2000台の受注を目指す」と強気のコメント（月販目標は1000台）。思えば、これまでのマジェスタはクラウンとセルシオの間にはさまれ、中途半端なポジションだったが、この5代目はトヨタブランドの最高峰と明確。日本市場専売で「銀座が似合う高級車」にさらに磨きをかけてきた。なお、全車、4月からの新エコカー税制の対象にはならない。

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