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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.03
個性的なデザインが大注目 セダン戦線に変化のキザシ
個性的なデザインが大注目 セダン戦線に変化のキザシ
キザシのフロントスタイルは、いわゆるスズキ流デザインだが、フラッグシップにふさわしい、質感の高い仕上がりとなっている
【本記事は2009年12月にベストカーに掲載された記事となります。】東京モーターショーにおけるスズキのプレスカンファレンスは、知名度も人気も抜群の鈴木修社長が行なうものと思われたが、会場には現われたものの、意外にも発表は専務取締役の中山隆志氏が行なった。そのカンファレンスで、スズキ初のアッパーミドルセダン「キザシ」が世界に先駆けてまず日本から発売されることが発表された。会場の鈴木修会長が、かつてベストカーの取材に対して、「キザシは反省第1号」と語ったこのセダン。「整理しなければならない」とも語っていたのだが、しっかりと開発は継続されて、無事発売までこぎ着けたのである。
フラッグシップの名に恥じない立派なサイズと高い質感
キザシはリアビューも力強い。立体的な造形のテールランプ、高いSUZUKI KIZASHI リアデッキが印象的だ
この「キザシ」という車名には、スズキが「世界の市場に向け、新しいクルマ作りに挑戦する」という想いを込めているというが、それだけにコンセプトカーも東京モータショーをはじめ、フランクフルトショーやニューヨークショーに3つのタイプが出品されるほど力が入っていた。開発の舞台もワールドワイドだ。北米のフリーウェイから市街地でテストを行ない、欧州ではアウトバーンから郊外の道までを走破。もちろんあのニュルブルクリンクでもテストを行ない、チューニングを煮詰めながら走りのクォリティを高め、スポーティなハンドリングと快適な乗り心地の両立を目指したのだ。ボディサイズは、全長4650×全幅1820×全高1480mmというDセグメントサイズ。全幅はトヨタマークXの1795mmより25mm広いが、日産フーガの1845mmよりは25mm狭い。全長はマークXの4730mmに比べれば、80mm短く、フーガの4945mmより295mmも短い。このようにミドルクラスサルーンとしてはワイドだが、全長が短く抑えられていることがわかる。そのワイドなボディが生み出すスタイリングは、SX4セダンと共通のスズキデザインではあるが、より力強いものとなっている。またライトやグリルの質感が高く、高級な印象である。
存在感あるパールホワイトのボディ
世界中のテストで鍛え上げられた足回りは、欧州プレミアムセダンを思わせる、硬めだが快適な乗り心地を実現している
オリジナリティあふれるデザインの18インチアルミホイールを装着した235/45R18タイヤを、大きなアーチを描くフェンダーが囲む。さらにその上を走る力強いショルダーラインは、見るものに大きなインパクトを与える。リアビューはさらに印象的で、サイドだけでなく上面にまで伸びた立体的な造形のテールランプや、中央がややふくらんだトランクリッドのラインは、後ろにつけたクルマに対して強いインパクトを与える造形だ。実際、借り出したキザシでの都内での走行は、高い注目を集めることとなった。ハイエースに乗った職人さんに、「それなんてクルマ?」などと聞かれる場面もあった。原宿や渋谷といったおしゃれな街へ行っても、存在感あるキザシのパールホワイトのボディを通りがかりに振り向く人の姿を見ることができた。
スポーティな走りとくつろげる室内空間
ハンドルには、CVTのパドルシフトに加え、オーディオやクルコンのスイッチが装着され、運転中の負担を軽減
ハンドリングについては、渡辺陽一郎氏に評価してもらった。「欧州型のボディ剛性の高いシャシーによく練り込まれた足回りが組み合わされて、ハンドリングとしてはアコードに近い。ただ、アコードと違うのは、コーナリング中にリアが逃げる設定になっていること。もちろんこれは計算された動きで、よく曲がるスポーティなハンドリングを与えられているから。アコードがVW的だとすると、キザシはスズキが技術提携しているオペルに近い。クルマ好きが喜ぶ走りのよさだ」走り始めればすぐ、優れた静粛性に気がつくことになる。当初から、デザイン、ボディ、エンジン、サスペンションの各開発部門が協調して開発したというだけあって、不快なエンジン音、ロードノイズ、ボディの風切り音といったものは皆無といっていいレベル。キザシはワングレードでFFか電子制御の4WDかを選択できる。組み合わされるミッションは、パドルシフト付きのCVTで、手元ですばやい変速が可能なうえ、燃費にも優れている。
セダン人気回復にひと役買ってくれるに違いない!
エンジンは、188psの2.4Lの直4が搭載される。燃費はFFが12.6km/Lと優秀
エンジンは直4の2.4Lで、エスクードと同じもの。ただし、チューニングが変更されて、最高出力は22psアップの188ps、最大トルクは0.6kmmアップの23.5kgmとなっている。残念ながら3つ★なので、グリーン税制の対象外。ここは、もう一段階の進化を望みたいところだ。燃費は2WDで12.6km/L、4WDが11.4km/Lで、4WDのみ平成22年度基準+5%を達成している。インテリアは黒を基調として、シルバーのトリムが入るシックなデザイン。シートは本革製で、ハンドルなどにも革があしらわれ、高級感を醸し出している。静粛性と相まって、落ち着いた雰囲気を演出。
ドライビングシートは、スポーツ形状だが、ホールドは適度で、体を圧迫するほどではない。10ウェイのパワーシートは、前後、上下はもちろんランバーサポートまで調整できるので、好みのシートポジションが得られ、しかも3とおりのポジションを記憶できる。後席は本革と人工皮革を組み合わせたシートで、こちらもたっぷりしたクッションで座り心地がいい。ワイドなボディサイズということもあって、室内幅は1500mmもあり、3人掛けも苦にならない。キザシの特徴のひとつに、装備の充実というのがある、グレード構成も単一で、オプションもほとんど用意されていない。だが、ディスチャージヘッドライトやクルーズコントロール、ETCにいたるまで標準で付いてくる。エアバッグやESP(電子姿勢制御装置)まで付いてくる。これでFFが278万7750円、4WDが299万7750円なのだから、お買い得だ。セダン人気回復にひと役買ってくれるに違いない!