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更新日:2019.01.27 / 掲載日:2017.11.30

2790万円600ps!! マクラーレンMP4-12C超速試乗

「本物の味」

【本記事は2012年6月にベストカーに掲載された記事となります。】ロン・デニス会長によれば、MP4-12Cはどこのサーキットで走らせても、当時1億円という価格だった『マクラーレンF1』より速いのだという。今回ハンドルを握って「そうかもしれませんね」と納得す。今年に入ってフェラーリ458イタリアをはじめ、ニュルで市販車最速タイムを出したLFAニュルブルクリンクパッケージや、647ps/83.5kgmという怪力コルベットZR1の全開試乗をしたけれど、MP4-12Cの凄さときたら格別だ。なにしろ「走り」に関しちゃ弱点を見つけられない。LFAニュルブルクリンクパッケージのしなやかな足と、ZR1の広いトルクバンドを持つパワフルなエンジン、そして458イタリアのすばらしい駆動系を組み合わせた感じ。詳細レポートは後でジックリ読んでいたくとして、マクラーレンF1を凌ぐMP4-12Cがどんなクルマなのか、紹介してみたい。まず車体から。1301kgという驚くほど軽い車重を実現できたのは、重量わずか75kgのカーボン製モノコックを採用しているためだ。しかも強度が必要な部分だけカーボンとしており、バンパーを取り付けるためのインナーなどはアルミのフレームで構成されている。したがってモノコックまでダメージが及ばないクラッシュなら、簡単に修復できてしまう。ロードカーにとってメインテナンス性は重要なこと。サスペンションもユニーク。イメージとしてはトヨタなどが採用していた『リアス』である。スタビライザーを使わず、4つのショックアブソーバーをパイプで繋ぎ、車体の姿勢コントロールなどを行なうというもの。リアスにもいえることながら、乗り心地とハンドリングのバランスを極めて高い次元で両立できるという特徴を持つ。MP4-12Cのハンドルを握ると乗り心地のよさに驚く。実際、MP4-12C最大の凄さが足回りだと思う。わかりやすく表現すれば、動物の足のコンセプト。4つのタイヤで荷重を最適に分担。スタビライザーに代表されるフリクションの発生源もないため、めちゃくちゃしなやか。試乗時は生憎のウェットコンディションだったものの、この手のクルマにありがちな「限界まで頑張り、そこからイッキにコントロール困難になりそう」という気配まったくなし!搭載されるエンジンは『リカルド』というレース用エンジンで有名なイギリスのメーカーが生産する3.8L、V8のツインターボ。以前、日産もリカルドのエンジンを使っていたため、一部でMP4-12Cのパワーユニットが日産製だという情報も流れているようだけれど、間違い。かつてのDFVのようなエンジンだと思えばいい。カスタマーによって専用のチューニングが行なわれる。マクラーレンは自社の開発チームを送り込み、600ps/61.2kgmというスペックに仕立てた。基本設計からしてレーシングエンジンなので、比較的余裕を持たせた、ということなんだと思う。ブースト圧も0.7kg以下のようだ。参考までに書いておくと、日産GT-Rの3.8L、V8は550ps/64.5kgm。MP4-12Cのほうが車重は429kg軽いですけど。ミッションはフェラーリにも採用されているグラチアーノ製の7速ツインクラッチを採用している。こいつに「プリコグ」という機能が付く。ツインクラッチで4速に入っている場合、片側のミッションは、3速か5速で待機してます。3速で待機していたのにシフトアップの操作をされたら、一瞬ながらタイムラグが生じる。パドルを半分だけシフトアップ側に操作しておくと、5速待機になり瞬時に変速するという寸法。しかも変速ショックを徹底的に少なくしている。大出力エンジン搭載モデルは変速の瞬間にトラクションを失う傾向。MP4-12Cときたらウェットの変速も怖くない。足回りを含め、徹底的に滑らかなのだ。マクラーレンってセナやプロストをはじめ、近年ではアロンソやハミルトンのリクエストに応えるクルマ作りをしてきた。MP4-12Cのハンドル握ると「本物の味」がします。

レクサスLFAと徹底比較

LEXUS LFA:限定500台のうちニュルは50台ですべて売約ずみ

LEXUS LFA:限定500台のうちニュルは50台ですべて売約ずみ

3750万円(標準)&4450万円(ニュル) レクサスLFAと徹底比較TEXT/国沢光宏年間1000台の生産を見込んでいるマラーレンMP4-12C、世界限定500台のLFA。発表されたのはMP4-12Cが’10年3月、レクサスLFAが’09年10月と、奇しくもほぼ同時期にデビューした2台。日本での価格はMP4-12Cが2790万円に対し、LFAは3750万円。この約1000万円の差をどう見るか?そこで今回超速試乗でステアリングを握った国沢氏が両車を徹底比較。本誌5月26号の『私のナンバーワン日本車』の企画でLFAを挙げていた国沢光宏氏がどんな評価を下すか?2790万円のマクラーレンMP4-12Cは、ニュルでの市販車世界最速記録を持つレクサスLFAニュルブルクリンクパッケージ(4450万円)と比べたらどうか? 全国5000万人のベストカー読者のため、懇切丁寧なバイヤーズガイドをお届けしたい。どちらを買おうか迷っている人も、最後まで読んでいただければ悩みを解消できると思う。ちなみにノーマルのLFAだと、乗った瞬間から「厳しいですね」。ニュルブルクリンクパッケージは別格の仕上がりです。

エンジン 動力性能 サスペンション

レーシングエンジンで有名なリカルド社と共同開発した3.8L、V8ツインターボエンジンは600ps/61.2kgmをマーク。

レーシングエンジンで有名なリカルド社と共同開発した3.8L、V8ツインターボエンジンは600ps/61.2kgmをマーク。

■エンジンスペックを比べると、ターボ過給のマクラーレン優勢。何より3000回転~7000回転まで61.2kgmという6L NAエンジンに匹敵するトルクを出し続ける。さらにレッドゾーンは8500回転から。7速クロスレシオのツインクラッチと合わせ、どんなコーナーでも最適のギアを選ぶことが可能だ。LAFの4.8L、V10も571psという強烈なスペックを持つが、次項の「動力性能」を見ればわかるとおり押され気味。ただエンジン音に代表される『官能評価』は圧倒的にLFAの勝ち。■動力性能0~100km/h加速のデータを見るとLFAの3.7秒に対し、MP4-12Cが3.3秒で圧勝。トルクバンドを含めたエンジン出力の差に加え、シングルクラッチ6速とツインクラッチ7速というミッション、さらに180kg程度の重量差が決定的となった。これだけ違えば、どんな状況で比べてもLFAはMP4-12Cに勝てまい。空気抵抗で決まる最高速を比べると、それぞれ325km/hと330km/hで大差なし。LFAの空力、けっこういい。■サスペンションLFAの標準ショックはKYB独特のピョコピョコ感が出てしまっており論外(その後改良されている可能性あり)。ただニュルブルクリンクパッケージに装着されているショックアブソーバーときたら文句なし! MP4-12Cのサスペンションは『プロアクティブシャシーコントロール』と呼ばれる独特のシステムを持つ。コーナーで外側輪に入力あったら、普通のサスペンションだと外側2輪のバネとショックアブソーバーで対応するが(もちろんスタビも使う)、MP4-12Cは4つの車輪で分担する。さらにすばらしい。

ハンドリング 乗り心地 実用性

コックピットでは非常に凝った形状のステアリングがまず目に入ってくる。ボタン類、スイッチ類はマクラーレンらしくセンターコンソール上に整然と配置されていて操作感抜群。内装のドライカーボンはオプション

コックピットでは非常に凝った形状のステアリングがまず目に入ってくる。ボタン類、スイッチ類はマクラーレンらしくセンターコンソール上に整然と配置されていて操作感抜群。内装のドライカーボンはオプション

■ハンドリングLFAについていえば限界特性最高! じゃなければニュルでタイムなんか出ないと思う。性能を使い切れる味付け、と言い換えてもよかろう。MP4-12Cはドライ路面で全開走行していないけれど、ウェット用のセッティングをしたターマック用のラリー車みたいなハンドリングである。サスペンションの動き始めから減衰力を出しているため、荷重はジンワリとかかっていく。結果、唐突な挙動にならない。究極のネコ足です。機会あればドライ路面で乗ってみたい。■乗り心地速い競技車両に共通することながら、LFAもMP4-12Cも乗り心地は極上である。乗り心地が悪いということはタイヤと路面の接地圧変化大きいということ。グリップを追求すると、乗り心地のよさまで付いてきます。MP4-12Cの凄さは、可変サスペンションを『スポーツ』や『トラック』(サーキット)にしても安っぽくならない点。もちろん減衰力を高めるため、車体の動きは抑制される。けれど「しなやか」が続く。どんな領域でも滑らかに動く、ということを重視しているんだと思う。■実用性MP4-12Cで一番感心したのがこの点だ。おそらくロン・デニスは通勤の足としても使えるスポーツカーを作りたかったんだと思う。サスペンションとエンジンコントロールをノーマル状態とし、ミッションはATモードを選ぶと、ベンツBMWと同等のマイルドさになる。静かな室内で上質のオーディオを楽しむことだって可能。LFAもマイルドなスポーツカーながら、ギアチェンジひとつとっても看過できない前後Gを出してしまう。というかミッションはLFAの大きな弱点だ。実用性の高さでいえば、MP4-12Cは標準のポルシェ911に匹敵するほど。

内外装の質感 カリスマ性

フルカーボンのバケットシートは座面が大きくサイドサポートはしっかりとしているがタイトではない。このシートなら長距離ドライブも楽々こなせる。サイドシルはこの手の車としては低く幅もないので乗降性も良好

フルカーボンのバケットシートは座面が大きくサイドサポートはしっかりとしているがタイトではない。このシートなら長距離ドライブも楽々こなせる。サイドシルはこの手の車としては低く幅もないので乗降性も良好

■内外装の質感今回試乗したMP4-12Cは「ライトウエイトバージョン」ということで、インテリアにドライカーボンを多用してあった。という点からすれば、LFAのニュルブルクリンクパッケージも同じレベル。日本勢がニガ手とするシートについちゃレカロのフルバケットを採用しており、互角。しかしエクステリアを比べたら「う~ん」。どんな評価軸であってもMP4-12Cのほうを支持したい。フェラーリ458イタリアに少し似てる、という意見もあるけれど、素直にカッコいいと思います。■カリスマ性やはり長い間F1でトップクラスの速さを見せてきたというブランドイメージは圧倒的に強い。しかもマクラーレンって、いろんなエンジンを使いながら勝ってきた。シャシー技術上等のコンストラクターなのだ。MP4-12Cもエンジンは単なるパワーユニットという位置づけ。クルマそのもののコンセプトや、シャシー性能が強烈に光る。片やトヨタはスーパーカーを初めて作った新興勢力だ。世界のお金持ちにアピールできるほどのカリスマ性を持っていない。それを一番認識してるのがトヨタだと思う。

総合

スタビリティの高さは驚異的 600ps/61.2kgmの大パワー&トルクだが、ウェット路面でのコントロール性、スタビリティの高さは驚異的。ATモードも快適

スタビリティの高さは驚異的 600ps/61.2kgmの大パワー&トルクだが、ウェット路面でのコントロール性、スタビリティの高さは驚異的。ATモードも快適

■総合なぜMP4-12Cはニュルでタイムアタックしないのか不思議だけれど、強烈なスペックを考えればLFAの7分14秒より速いこと間違いなし。0~400m加速10秒9で、ニュルを7分19秒で走ったコルベットの11秒3を軽く凌ぐ。書き遅れたがブレーキング時にそびえ立つリアスポイラーも速度域の高いニュルのコースだとタイム短縮に直結する。エンジンの気持ちよさを除くすべてでMP4-12Cに軍配を上げておきます。とはいえ3000万円を超える高額車になると、ユーザーだって標準スペックじゃない。意地や精神論も入ってくる。「速ければいい」だけじゃ満足しない世界もあるのだった。LFAのニュルブルクリンクパッケージだと限定50台/4500万円というスペックもステータスになってくるから面白い。いずれにしろ買える人が恵まれていることは間違いありません。読者諸兄ならどちらを選びますか?

日本で一番マクラーレンに詳しい博士 西川淳のMP4-12Cトリビア

マクラーレンMP4-12C

マクラーレンMP4-12C

日本で一番マクラーレンに詳しい博士 西川淳のMP4-12CトリビアTEXT/西川 淳世界のスーパースポーツを知り尽くし、MP4-12Cの誕生前から実車を見てきた西川淳氏がマニアックな視点で斬る。伝説よ、もう一度……。スーパーカーの最高傑作“F1”を残したF1グランプリ界の名門チームによる、新たなスーパーカー伝説が、今まさに始まろうとしている。ようやく日本上陸を果たしたMP4-12C。他メーカーからのパーツ流用などいっさいなし。妥協なき真性マクラーレンカーの誕生である。F1GPファンならば、その名前の由来にも、大いにしびれるだろう。MP4とは、チーム・マクラーレンとロン・デニスのプロジェクト4が結合して生まれたネーミングであり、’81年以降のすべてのマクラーレンF1GPマシン(ちなみにこの年、初めてカーボンを使った)に与えられているものだ。これに、最高の性能指標を意味する12が続き、最後のCはこのクルマのパフォーマンスとデザインの真髄というべきカーボンファイバーテクノロジーのイニシャルである。込められた想いはただひとつ。スーパースポーツカー界の革命児たれ。そのため、これまで5000万円超級のウルトラスーパースポーツ用でしか使われてこなかった炭素繊維強化樹脂(CFRP)製のモノコックボディ“モノセル”を、3000万円以下級というスーパーカーの最も“コア”なゾーンで採用するなど、軽量化には徹底的にこだわった。それは、F1カーとスーパーカーにおいて初めてカーボンファイバーを使った名門の意地である。マクラーレンは’81年以降、金属マテリアルで車両のボディ骨格を作ったことはなかった!もちろん、コストダウンのヒミツはある。マクラーレンがモノセルに採用した成型方法は、従来のオートクレーブによるプリプレグ法ではなく、RTM法という比較的新しい技術。パフォーマンスではプリプレグにやや劣るが、それでも金属よりはるかに硬く軽いという特性を持つ。アヴェンタドールのモノコックボディもRTM法だ。わずか75kgというモノセル軽量シャシーのフロントにはダブルウィッシュボーンサスが直接結合し、リアにもエンジン、ミッション、Wウィッシュボーンサスからなるユニットが直づけされている。これに前後のアルミニウム製衝撃吸収フレームが付帯するのみで、見るからに非常にシンプルな形状&構造。だから、軽いというわけなのだ。

マクラーレンMP4-12C:V8ツインターボはトルクバンドが広く、あらゆる回転域から鋭い加速を見せる

マクラーレンMP4-12C:V8ツインターボはトルクバンドが広く、あらゆる回転域から鋭い加速を見せる

注目のエンジンとドライブトレインは、いずれも専用開発品。M838Tと呼ばれるエンジンは、ドライサンプ式、フラットプレーン型クランクシャフトの3.8L、V8ツインターボで、最高出力600ps、最大トルク61.2kgmを発生。レブリミットは8500回転で、2000回転以下から最大トルクの8割が溢れ出る。出力/CO2のレシオでは内燃機関のなかで世界最高水準にある。トランスミッションには、通常のコラム付けパドルシフトタイプとは異なった、F1タイプのロッカーシフト式7速ダブルクラッチシステムを採用した。ダイナミック性能だけでなく、軽量化のためにも3ペダルの用意はない。3ペダル用を用意することは、より幅広のフロアを使うということ。それは=重量増に繋がる。だから、2ペダル専用としたというわけだ。ステアリングホイールから(F1と同様に)25.1mm離してステアリングセンターと一体化した、ロッカーアーム式バーを通じて変速を行なう。押しても引いても変速が可能で、しかも“プリコグ”という“軽押し”変速準備装置(オートフォーカスのような感じ)まで備わった。SSGと呼ばれるミッションシステムには、流行のドライビングプログラムも備わる。ノーマル、スポーツ、ハイパフォーマンス、オート、ウインター、ローンチコントロールだ。これらは、センタースタッグの操作ダイヤルにて設定できる。カーボンモノセルを中心とするシンプルだが革新的なこのパッケージングによって、ミドシップスポーツカーとして超一流のハンドリング性能とパフォーマンスのみならず、ライドコンフォートまで手に入れたと、彼らは主張する。事実、12Cに乗って誰もがまず驚くのは、その乗り心地のよさ。ライドコンフォートの目標は、なんとBMW5シリーズ(旧型)だった。スタイリングの話も少し。無駄のない極めて真っ当でマジメ、いかにもイギリス車らしい、ミドシップスポーツカースタイルだ。感覚的には、やはりというべきか、ロータスとよく似ていると思う。“デザインすべてに理由がある”という彼らの信念が、体現されているのだ。特にディへドラルドアやベーンで仕切られたサイドエアインテーク、エアダムやウィングのないエアロダイナミクス、機械式エアブレーキシステム、パイプの重量増を嫌った上方排気のユニークなリア回りデザインなど、すべてに軽量かつ高性能を目指す明確で強い意思と信念が見てとれる。ちなみに、顔つきはこれでも途中で少し“コワモテ”に変更された。英ウォーキングにある本社敷地内に新設された工場にて本格的生産が始まった。今後はスパイダーや、限定の超ハイスペックモデル、さらには“もう少し”安いミドカーの準備もされている。独立系の純スーパーカーメーカーとして新たなスタートを切ったマクラーレンから、今後ますます目が離せない。

欧米ウルトラスポーツ ヒエラルキー

フェラーリ458イタリア:最強のV8フェラーリ。全長4527×全幅1937×全高1213mm、4.5L、V8、570ps/55.1kgm、7速デュアルクラッチ、車両価格2830万円

フェラーリ458イタリア:最強のV8フェラーリ。全長4527×全幅1937×全高1213mm、4.5L、V8、570ps/55.1kgm、7速デュアルクラッチ、車両価格2830万円

欧米ウルトラスポーツ ヒエラルキーTEXT/西川 淳世界的にエコカーの注目度が高まっているが、1000万円をはるかに超えるウルトラスポーツは死なず。それどころか、ここ数年はその勢いを増している感すらある。さて、MP4-12Cの実力は? ウルトラスポーツのヒエラルキーを見ていこう!マクラーレンは、スーパーカーのカテゴリーを3つに分けている。中心となるカテゴリーが、今回12Cを投入した3000万円クラスのメイン級で、簡単にいえば、フェラーリV8モデルの牙城だ。そして、フェラーリやランボルギーニの12気筒モデル以上、さらには限定生産のスーパースポーツがたむろするウルトラ級と、もうひとつがメイン級の下、ポルシェターボやアウディR8V10あたりのスタンダード級である。マクラーレンはそうそうに、この3つのセグメントにおいて、スーパーカーの革命を起こす、と宣言しているのだった。まずは、メイン級における12Cのポジションを決めてみよう。ライバルは、フェラーリ458イタリアとランボルギーニガヤルド、M・ベンツSLSAMG、アストンマーチンDB9あたりであるが、例えばサーキットパフォーマンスで12Cのライバルとなるのはミドシップの2台だけ。ガヤルドは、スーパーレジェーラをもってしても、残念ながらモデル末期の哀しさで及ばず。458イタリアも、スクーデリア系が登場すれば事態も変わろうが、今のままではスタートダッシュから12Cの後塵を拝することになる。サーキット性能では、MP4-12Cの優位は動かない。ただし、官能性までを考えるなら、458イタリアに軍配が上がる。あのV8サウンドとNAエンジンフィール、電光石火のシフトチェンジ感覚は、たまらない。ドライバーを挑発する仕草の色艶は、さすがのイタリア生まれだ。ひょっとするとエモーショナル性ではガヤルドにも12Cは負けるか……。街乗りの扱いやすさでは、その小ささと乗り心地のよさで、圧倒的に12Cへ軍配が上がる。残念ながらFRのSLSとDB9では、パフォーマンス面でミドシップ勢に太刀打ちできない。でも、彼らには、フロントエンジン/リア駆動ならではのドライビングファンとエモーショナル性がある。これにスポーツカーらしいスタイルを加えれば、人によってはミドを上回る評価となることもあるだろう。とはいえ、筆者の評価はといえば、総合バランスまで考慮に入れて、メイン級の最新チャンピオンに、マクラーレン12Cを選ぶ。以下、458、ガヤルド、SLS、DB9という順だ。

ランボルギーニアヴェンタドール:最強&最新のランボ。全長4780×全幅2030×全高1236mm、6.5L、V12、700ps/70.4kgm、7速デュアルクラッチ、車両価格4100万2500円

ランボルギーニアヴェンタドール:最強&最新のランボ。全長4780×全幅2030×全高1236mm、6.5L、V12、700ps/70.4kgm、7速デュアルクラッチ、車両価格4100万2500円

では、12Cがウルトラ級を撃破することは可能だろうか? フェラーリF12とランボルギーニアヴェンタドールが相手では、絶対的なパワーが違い過ぎて、苦戦を強いられよう。けれども、テクニカルなレイアウトのコースならば、いい勝負になるかもしれない。F12は未試乗なのでなんともいえないけれども、アヴェンタドールの実力なら知っている。いったん前に出られたら最後、いかにすばしっこい12Cでも抜くのは困難。ライドコンフォートでも近いものがあるし、アヴェンタドールが12Cに負けるとすれば、それはパーキングの面倒さくらいだろうか。相手がさらにその上のブガッティベイロンやパガーニウアイラという話になると、もう勝った負けたの世界ではなくなる。そこはP12(次期型限定マクラーレン)の登場を待とうじゃないか。けれども、相手がアストンマーチンDBSやレクサスLFA、コルベットZR1というのであれば、また展開は面白いことになるだろう。サーキット走行では、12Cの総合パフォーマンスが勝利を収める可能性が高いけれども、なかでもエモーショナルの極致ともいうべきV12&V10のエンジンフィールだけは、できればマクラーレンにそこだけ移植してほしいと思うほどだ。フェラーリ&ランボの12発も含め、このクラスのマルチシリンダーエンジンの官能性に比べれば、いかにスポーツマフラーをおごった12C(撮影車両)とて、その音はハチロク寄りだというほかない。ウルトラ級には、パフォーマンスとは違う部分で、その投資に見合うだけの価値がある。ちなみに、コストパフォーマンスナンバーワンはZR1だ。もう一台、コストパフォーマンスといえば重要なライバルがいた。マクラーレンの現役F1ドライバーもゾッコンと噂の日産GT-Rだ。MY12を持ち込まれると、さすがの12Cもツライだろう……。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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