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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.30
おっ、このクルマならビジネスでもホビーでもいい相棒になれそうだ 日産NV350キャラバン&NV350キャラバンワゴン超進化!!
打倒ハイエース!

【本記事は2012年7月にベストカーに掲載された記事となります。】「打倒ハイエース」。11年ぶりにフルモデルチェンジした日産キャラバンの開発主査、八木紀彦氏ははばかることなくライバル車の名前を口にした。ワンボックス型の商用車市場は、キャラバンとハイエースが事実上の一騎打ち。当然比較されることも多くなるが、販売実績は、ライバルとは呼べないほど大差がついてしまった。新型開発にあたっては、スタッフの誰もが、ライバルへの競争心をあらわにしていたに違いない。最近の日産は、商用車のネーミングに車両総重量を入れている。この新型も「NV350キャラバン」が正式名称だ。開発に当たっては、徹底的にライバルを研究することから始まった。八木主査は、足を棒にして現場を歩きまわり、ユーザーの要望を聞き、実際の使われ方を調べ上げた。そのうえで、ハイエースとキャラバンの違いを突き詰めていったという。とはいえ、新型キャラバンの独自性も重視した。クルマ作りは「デザインありきでスタートしました。商用車で、プライベートで使っていただいた時に楽しくなるデザインがクルマの魅力なのです」と話す。
そのデザインはどうなんだ?

直線基調で力強さを感じるリアデザイン。ホイールベースの長さも特徴
■そのデザインはどうなんだ?もちろん、実用性が最優先の実用車だから、デザインの自由度は狭いが、新型キャラバンのスタイリングは、インパクトがある。昨年暮れのモーターショーに展示された時も、カッコいいと話題を呼んだ。ボディサイズは、4ナンバー枠フルスケール。できるだけ荷物を積みたい使用用途を考えると譲れないところ。そのなかでも、ホイールベースを延ばすなどの工夫を積み重ねて、室内空間を確保、最大室内長は4ナンバー商用車でトップの3050mmとした。現行ハイエースが、室内長3000mmと3メートルの大台に乗せた時の衝撃は大きかった。それを意地で50mm上回ったところが、新型キャラバンの真骨頂だろう
クラストップの燃費を実現

エンジンは3タイプ QR20DE/QR25DE:ガソリンエンジンは2Lと2.5Lをラインアップ。2.5Lは147psを発揮
■クラストップの燃費を実現収納力のある大型のセンターコンソールは使い勝手もいいアイテムだが、引き出し式のボードが組み込まれている。フルに引き出しても、なんてことないスペースだが、「マクドナルドのハンバーガーとドリンクを置けるスペース」(八木主査)。これはひとつの例で、商用車初のプッシュスターター、インテリジェントキー、中央部に車両情報を集約して使いやすさを高めたメーターパネルなどなど、きめ細かい設計が見られる。そして新型キャラバンの最大のセールスポイントが燃費だ。新開発のディーゼルエンジンは、クリーンディーゼルテクノロジーを注入、JC08モードで12.2km/Lを達成した。いっぽう、キャリーオーバーとなるガソリンエンジンも、フリクションロスの低減など基本的な対策の積み重ねで2Lで9.9km/Lまで引き上げている。車種ラインアップも、価格もハイエースとほぼ同等だけに、燃費のよさでどこまでライバルに迫れるか、注目したい。
新型キャラバンの登場で国内商用車市場はどう変わるのか?

本革ステアリングのほか防水シートなどを装備のインテリアパッケージ
新型キャラバンの登場で国内商用車市場はどう変わるのか?TEXT/渡辺陽一郎NV350キャラバンの開発者は、「すべての機能がハイエースを上まわり、商用車のトップブランドにすることを目標に開発した」という。背景にはハイエースとの販売格差がある。本年1~5月の販売累計を見ると、姉妹車のレジアスエースやワゴン仕様を含めれば、ハイエースは2万7272台を売った。対するキャラバンは3732台。モデル末期でもハイエースの14%では少なすぎる。このサイズの商用車は2車種だけだから、開発者が「打倒! ハイエース」と考えたのも当然だ。販売格差の理由は複数あるが、商用車の根本的な課題として、運びたい荷物が荷室に入らなければ絶対に買ってもらえない。そこでキャラバンは荷室の造りを細部まで見直し、積載性をハイエースと同等以上に高めた。バモスホビオのように、荷室に24個のナット(穴)を設けたことも特徴。棚を吊るなど荷室を加工しやすく、穴を開ける手間も省ける。ハイエースにはないキャラバンの優位性だ。装備も充実。従来型のスーパーGXでは、ハイエースのスーパーGLが用意するディスチャージヘッドランプなどを選べず、キャラバンの装備は見劣りした。そこで新型はプレミアムGXに発展させ、インテリジェントキーなどを標準装着している。

YD25DDTi:スムースに回るの新開発の2.5Lディーゼルエンジン。トルクが太い!
エンジン性能は、ガソリンについてはハイエースに少し劣るが、ディーゼルターボの最大トルクは上まわる。燃費も全般的に優れ、価格はキャラバンが若干安い。以上のようにキャラバンは、ハイエースを徹底的に研究して開発された。機能や装備は互角以上になる。ただし売れゆきの予測は難しい。商用車の場合、販売会社の法人に対する営業力が左右するからだ。キャラバンが好調に売れれば、ハイエースも機能や装備を充実させる。代替え需要の数も考慮すると、キャラバンの販売台数がハイエースを超える可能性は低いかもしれない。それでも販売不振からの脱却は可能で、キャラバンの販売比率がハイエースの20%以下に滞ることはない。日産のADバンは、トヨタのプロボックスとサクシードを合計した台数の約60%は売れている。今後のキャラバンで心配な点は、日産の全店が扱うこと。全店が扱えばたくさん売れると思われがちだが、実際は逆に作用することが多い。販売力がセレナ、モコ、ルークスなどの人気車に奪われるからだ。ちなみにハイエースを扱うトヨペット店は、売る車種が限られ、今は専売車種のマークXやプレミオが低調。好調なのはプリウスとアクアだけなので、ハイエースの販売に力が入る。要は販売会社の「本気度」で、明暗も分かれるわけだ。
オーテックからこだわりの2バージョン

本革ステアリングのほか防水シートなどを装備のインテリアパッケージ
オーテックからこだわりの2バージョンライダー インテリアパッケージオーテックジャパンが手を入れたカスタム仕様のライダーが前モデル同様、ラインアップされる。専用のフロントグリル&プロテクターのほか、フロントバンパーには光輝モールを採用、精悍な顔つきになった。価格はベース車の約15万円アップ。本革ステアリングなどを装備したインテリアパッケージもある。
アンシャンテ 10人乗り送迎タイプ

なにやら不穏な人々が集まっているようだが……。10人乗り心地チェック。日産の皆さん。ありがとう!
アンシャンテ 10人乗り送迎タイプ10人が両手を広げて「10」をアピール。これは、同じくオーテックジャパンのライフケアビークルのアンシャンティ。福祉施設などの送迎用車として、乗降性を高めたモデル。10人乗りのワゴンベースだから、10人がラクに乗れるか実験してみた。大人数だとワイワイ乗れて楽しさ満点。福祉と限定せず売り出してもいいのでは、なんて思いました。
弟分もライバル NV200バネット改良

NYタクシー採用で話題になった
弟分もライバル NV200バネット改良キャラバンとは成り立ちが異なる。マーチから発展した「Bプラットフォーム」を使うので、背の高い商用車では珍しい前輪駆動だ。積載時の雪道における坂道発進で不利をともなうが、4WDは選べない。最大積載量も600kgにとどまる。そこで今でもボンゴをベースにしたOEM車のバネット4WDが継続販売され、最大積載量は950kg。ハードな使用が不得意なNV200バネットの欠点を補う。その代わりNV200バネットは運転感覚がミニバンに近く、乗降性も優れている。なお、バネットは法規対応でスライドドアの強度を高め、ワゴンの2列目中央席にも3点式シートベルトを付けた。