見た目だけでなく4WDの走行性能は本格派　フォルクスワーゲン　パサートヴァリアント派生のクロスオーバー パサートオールトラック

【本記事は2012年7月にベストカーに掲載された記事となります。】6月21日に発表されたパサートシリーズのパサートオールトラックは、これまでVWがリリースしてきたクロスポロやゴルフシリーズのクロスゴルフなどSUVルックのクロスシリーズとは異なり、本格的な4WDシステムを備えたクロスオーバーモデルである。同門のアウディにはA6やA4のオールロードクワトロがあったが、VWではパサートオールトラックが初となる。

パサートオールトラックは、パサートヴァリアントをベースに、専用バンパーや大きく張り出したホイールハウス、ステンレス調のアンダープロテクションを装備。実用的で堅実なイメージのパサートヴァリアントがオフロードの似合うワイルドなスタイルに生まれ変わっているが、中身も見かけ倒しではない。車高はパサートヴァリアントに対し、30mm上げられ最低地上高は165mm。オフロードでも本格的に走れるようアプローチアングル、デパーチャーアングルも拡大されている。

注目の4WDシステムは4MOTIONと呼ばれるトルクスプリット式のフルタイム4WD。通常走行時には前輪を駆動し、後輪には駆動力の10％が分配されるが、路面の変化に応じて0～100の間で前後駆動力をバリアブルに変化させ駆動力を確保している。さらにオフロード走行時に左右輪の回転差が生じた場合でも瞬時に空転を防ぐオフロードスイッチや前輪の荷重不足を感知するとトラクションを取り戻すXDSなど、VWのSUVと同じ本格的な4WDシステムを備えている。実際にオン・オフ両方を試してみた。一般道や高速道路などではゴルフGTIと同じ2L直4ターボ（211ps／28.6kgm）と6速DSGがもたらす走りは「速くてスムーズ」、相変わらずの秀逸ぶりをみせつけてくれた。泥濘路ではヒヤッとする場面はおろか、タイヤの1輪が空転しそうなぬかるみでも走りきる頼もしさだった。

感心するのはアダプティブクルーズコントロールに加え、30km／h以下で前方の障害物を感知すると自動的にブレーキを作動させるプリクラッシュブレーキシステムを標準装備していること。これで494万円はかなり戦略的な価格設定といえるだろう。輸入車4WDワゴン市場のトップセラーになりそうな気配である。

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