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更新日:2019.01.27 / 掲載日:2017.11.30

VIPカー頂上対決 日産シーマvsレクサスLS600hL

新型に生まれ変わった

日産シーマvsレクサスLS600hL

日産シーマvsレクサスLS600hL

【本記事は2012年8月にベストカーに掲載された記事となります。】2010年8月4代目のシーマが生産中止となって以来、1年9カ月ぶりに復活。フーガハイブリッドベースの新型に生まれ変わった。ホイールベースとリアドアをそれぞれ150mm拡大したボディは全長5120mmとLS600hLの5180mmに迫るもの。その高級感もLSに匹敵するものなのか? 箱根往復約300kmのテストドライブに出かけた

シーマ復活!

日産シーマvsレクサスLS600hL

日産シーマvsレクサスLS600hL

シーマが復活した。1989年に登場したシーマは、その独特のキャラクターと存在感でシーマ現象という言葉を生みだすほどの人気を博し、一世を風靡した。日本におけるプレミアムサルーンの先駆けである。当時を知るオジさん世代にとってシーマというクルマは、ある種の懐かしさと期待感を与えてくれるのである。新型シーマはワクワク感と期待感を復活させた。シーマは、フーガのシャシーをベースにボディを75mm、ホイールベースを150mm延長。よりラグジュアリーなセダンにする一方、パワーユニットにはVQ35HR型の3.5L V6+ハイブリッドエンジンを搭載する。駆動方式はFRとなっている。そんなシーマをトヨタのプレミアムサルーンの最高峰、レクサスLSシリーズのレクサスLS600hLと比べ、その作りや性能を見てみよう。外見上、2台のデザインは対照的ともいえ、レクサスがガチッとした直線基調のデザインであるのに対し、シーマは張りのある起伏を取り入れたものとなっている。印象としては、ショーファー的なにおいの強いレクサスに対して、シーマはドライバーズカー的な雰囲気を備えている。試乗してみてもその印象は変わらない。レクサスは4WDで圧倒的な安定性、安定感を備えている。パワートレーン系がきちんと各タイヤに駆動トルクを与え、サスペンションが機能してタイヤを路面に接地させてくれているのだが、ステアリングに伝わる手応えは希薄だし、旋回感も単に速いスピードで曲がれるだけで(曲がれること自体ボディサイズを考えればすごいことなのだが)、前後のサスがバラバラに動いているような印象は否めない。つまりドライバーズカーとしてはあまり楽しさの要素を持っていない。

気持ちよくクルマが走る

シャープなLS600hLに対して柔らかい曲線のシーマとリアビューも好対照だ

シャープなLS600hLに対して柔らかい曲線のシーマとリアビューも好対照だ

シーマは、走りだすと低速域で全体に足回りがソフトな味付けで、ちょっとフワフワした印象がある。これでカーブを安定して走れるのだろうか? と不安になるほどだが、いざペースを上げて走りだすと不思議なくらいクルマのフワつきが消え、ピタッと路面に吸いつくように抜群のバランスでコーナリングできるのだ。もちろんこの手のクルマのオーナーが歯を食いしばってカーブを曲がる、なんてことはないに違いないが、こうした操縦性の違いはハンドルを握ったときの運転の心地よさに関わってくるのだ。このボディサイズ、ホイールベースで気持ちよくクルマが走るというのは、じつはかなりすごいことで、この点に関しては世界的なプレミアムサルーンに匹敵するレベルにまで到達している。やはりドライバーズカーとしての面白さ、クルマの本質的な性能である走りのよさをちゃんと作り上げているところが日産らしい。レクサスは、選んだのが600hLのバージョンUZ(ロングボディの4人乗り)なので、余計にショーファーカー的な乗り味になっていたのかもしれない。もちろんリアシートに座ったときの心地よさは抜群。ロングボディだけに足元がとても広くゆったりしている。個人的にはもう少しクッションのソフトなタッチを抑えてソファー的な触感をなくしたほうが好みだが、ホールド性はいいし、背もたれ半ばから別に稼働するリアのシートバックはうまい具合に体を包み込んでくれ、快適性とホールド性をうまく両立させている。どっしりした安心感がリアシートに座っていても感じ取れる。その意味で後席に乗る人にとって快適で安心感のあるクルマに仕上がっている。シーマはどうかというと、足元は150mmのホイールベース延長が効いていてゆったりとした広さがある。シートはリビングのソファーのように柔らかく、体が落ち着かない。ホールド性のいい形状や、背もたれ半ばから別に稼働するシートバックの角度によって作られるフィット感を減殺してしまっているのが残念。それでいながら、後席に乗っていても体が揺すられず、また後輪駆動であるにもかかわらずドシッとした落ち着きと安心感も(安定性も)ある。ただこれはクルマの素質としてのスタビリティの高さであり、シーマに乗っていると軸足はドライバーにあるように感じる。プレミアムパーソナルサルーン。それがシーマの立ち位置だ。次に個別に性能を採点した。

ハンドリング

シーマ:インテリアの質感は好みにもよるが、本革製のインパネを持つLS600hLのほうがわかりやすい高級感を乗るものに与える。シーマが残念なのは、メーターが180km/hのままであること。

シーマ:インテリアの質感は好みにもよるが、本革製のインパネを持つLS600hLのほうがわかりやすい高級感を乗るものに与える。シーマが残念なのは、メーターが180km/hのままであること。

ハンドリングシーマ 4.5点LS600hL 4点満点5点(以下同)シーマはある程度のスピードで走ると、低速のややフワついた乗り心地がうそのように、ピタッとおさまり、バランスのいいFRサルーンの操縦性になる。大柄でホイールベースの長いボディなのに、コーナーではとても自然に、素直に曲がってくれる。安定性も高く、300psを優に超えるシステム出力を楽々受け止める性能を持っている。

加速性能

シーマ:シーマはV6 DOHC3.5L 306psに68psを発生するHM34モーターを組み合わせている。

シーマ:シーマはV6 DOHC3.5L 306psに68psを発生するHM34モーターを組み合わせている。

加速性能シーマ 4点LS600hL 4.5点シーマは3.5Lのスーパーチャージャーといった印象のエンジン。モーターアシストが加速の手助けをしてくれるのだが、加速性能をむやみに高めようとせず、重いボディを軽々と走らせるためにモーターのトルクを上手に使っているといった印象。ただし、アクセル操作に対するスロットルの開き方が大げさで、特に発進時の微妙な操作にスロットルが雑に反応する感覚がある。

居住性

後席は3050mmのホイールベースのおかげで、広大なレッグスペースを確保。

後席は3050mmのホイールベースのおかげで、広大なレッグスペースを確保。

居住性シーマ 4点LS600hL 5点広さは両車充分。シーマはシートクッションが柔らかい点が作りのよさを減殺してしまっているのが残念。シートのホールド性や基本的な形状は悪くないと思うのだが、腰がなく沈み込んでしまうクッションが尻の位置を落ち着かせず、ポジションが取りにくい。また前席シートバックの高さが低いのも大きな不満点の一つ。

乗り心地

ご覧のようにエクステリアデザインではLSに負けていない。全高が35mm高くグリル面積が大きいのが特徴。威圧感のあるスタイリングだ

ご覧のようにエクステリアデザインではLSに負けていない。全高が35mm高くグリル面積が大きいのが特徴。威圧感のあるスタイリングだ

乗り心地シーマ 4.5点LS600hL 4.5点シーマは高速道路やある程度のスピードで走るワインディングロードはこれがプレミアムセダンか? と言いたくなるほど操縦性がよく、クルマの姿勢が安定している。クルマがピタッとフラットに走ってくれるので、乗り心地もとてもいい。ただ低速のフワつく乗り心地はボディごと上下に揺れてしまっているため、後席の乗り心地という点から見ても誉められない。

装備

7速ATによってダイレクト感のある走りを見せる

7速ATによってダイレクト感のある走りを見せる

装備シーマ 4点LS600hL 4.5点シーマの装備に関しては不満はなくむしろ過剰なほど装備が充実している。だが、豪華になるといろんな装備がてんこ盛りになる、というのをそろそろやめてはどうか、とも思えてくる。クルマは走って移動するものという本質的な機能さえ見失われてしまいそうだ。

結論

箱根往復10.2km/L 燃費のよさはVIPカーの常識をくつがえすもの

箱根往復10.2km/L 燃費のよさはVIPカーの常識をくつがえすもの

結論シーマはLS600hLに比べると、走りが楽しめ、燃費もいいからVIPカーの新勢力になりえる存在だ。

シーマのこだわり

後席は3050mmのホイールベースのおかげで、広大なレッグスペースを確保。

後席は3050mmのホイールベースのおかげで、広大なレッグスペースを確保。

シーマのこだわり後席は3050mmのホイールベースのおかげで、広大なレッグスペースを確保。セミアニリン本革シートや職人が純銀粉を手ですり込む特殊加工で、木目を際立たせた銀粉本木目フィニッシャーなどこだわりのインテリアが魅力的。ボディの塗装も専用の特別室で熟練した塗装の匠が一台一台手磨きしてから上塗りし、仕上げるなど内外装へのこだわりが、随所に見られる。なお前席ヘッドレストに高精細7インチVGAディスプレイを搭載し、モニターは計3つとなる。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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