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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.30
STIコンプリートカー「エクシーガtS」限定300台で販売! 走りを究める名匠の仕事
最近のスバル車はおもしろくない!?

エクステリアではフロントアンダースポイラー、リアアンダースポイラ?を装着。大人が乗るにはこれくらい控えめなほうがいいのかもしれない。見た目の質感は高い
【本記事は2012年8月にベストカーに掲載された記事となります。】「最近のスバル車はぜんぜんおもしろくない!」と思っている人って多いんじゃなかろうか。だからこそ300psの2Lターボエンジンを搭載した久しぶりのハイパワーモデルであるレガシィ2.0GT DITの売れゆきが好調なのだった。スバル魂を「走りのよさ」だと考えている人からすれば、確かにもの足りないかもしれない。ただ世の中の技術的な流れは燃費や安全性。スバル本体はソチラを追求すべきだと考える。かといって走りのよさを望むスバルファンの声も聞き入れたい。そんなことからスバルに代わり、STIが走りの味を磨き込んだ『tS』シリーズをラインアップし始めた。今回試乗した『エクシーガtS』で4作目となる。150万円相当の特別装備を施して走行性能を高めながら、ベース車両2.0GTの約80万円高に抑え価格は374万8500円。今年10月28日受注分までの限定300台となる。
試乗開始!

スバルらしいエキゾーストノートを奏でる100φのマフラー
さっそく試乗開始。Dレンジをセレクトしてアクセルを踏むと「バロロロローッ!」思わずニンマリ! 2本のSTI製スポーツマフラー(100φ。絶対的な音量は大きくないけれど正統派スバルサウンドだ)から出てくるエキゾーストサウンドからしてボクサーらしさ全開! 新しい世代の水平対向はすべて滑らかな等長等爆になった。
「細かい走りの味を追求するための努力」

フロントは倒立式ストラットにSTI製コイルスプリング
乗り心地は長い間スバルが目指していた欧州車の領域にキッチリ入っている。大きめのギャップを通過した時のみボディ設計の絶対的な古さからくる「ドシン」という取り切れない入力を感じるものの、通常の路面であればすばらしく滑らか。専用チューンの倒立式ショーワ製ショックアブソーバは、ビルシュタイン製のショックアブソーバと同じくらいい仕事。STI得意のボディ補強やサスペンションの動きをスムーズにするピロボール入りブッシュが利いてるんだろう。具体的に書くと、フロントサスの左右をつなぐタワーバーやスティフナーで基本的な剛性を確保。いろんな意味で最近の日本車が失いつつある「細かい走りの味を追求するための努力」が随所に見られるのだった。
味付けは『GT』

215/45R18タイヤとSTI製7.5J×18インチのアルミホイールで足元をキメている。鋳造だがいかにも精度が高そうで見た目も美しい
味付けは『GT』。開発にあたり「もっと明確なスポーツ感を出すべきではないか」という意見も出たという。されど3列シートを持つエクシーガのよさを引き出すべく、ロングツーリング時の快適性を追求したほうが好ましいということになったらしい。そのとおりだと思う。結果、スポーティな走りも楽しめ、それでいて質感の高い乗り心地を持つという、バランスの高いクルマに仕上がった。
STIの仕事は凄いのひと言

ブレンボ製ブレーキを装着。フロントは17インチ対向4ポット、リアは17インチ対向2ポットとミニバンらしくない豪華仕様
STIの仕事は凄いのひと言ワインディングロードを走ってみたら「おお!」。クルマ全体の雰囲気がBMWやアウディをライバルに開発した先代レガシィに似ているのだ。というか先代レガシィの正常進化バージョンというイメージ。ちなみに現行レガシィの乗り味、ボディの大型化と対照的に「軽い」。エクシーガtSは小柄だけれどステアリングフィールからして濃密でドッシリしている。これまた「スバルらしい」。もうひとつの「いいね!」がブレンボのブレーキ。エクシーガの数少ない弱点は、車重を考えると容量不足気味だったブレーキである。ワインディングロードで飛ばす人なんか少なくなったから問題ないとはいえ、タッチや効きのコントロール性で高い評価などできず。tSに標準装備されているブレンボならフル乗車時のハードブレーキにもキッチリ耐えてくれる。最近日本車といえばエコカーばかり。エクシーガtSのハンドルを握りながら「久々に走りを語れる日本車が出てきましたね!」86/BRZの次となるトヨタとのプロジェクトに『プリウスtS』なんかあればいいのにと真剣に考えてしまった。やっぱり楽しいクルマは楽しい。この味を忘れちゃアカンと思う。