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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.28

マツダ4代目デミオDebutで勢力図は激変するのか!?

PART1 NEWデミオはコンパクトカテゴリーで何位なのか?

デミオ登場で一気に活況を呈してきたコンパクトカーカテゴリーを西村直人氏が一刀両断!

デミオ登場で一気に活況を呈してきたコンパクトカーカテゴリーを西村直人氏が一刀両断!

【本記事は2014年10月にベストカーに掲載された記事となります。】PART1 NEWデミオはコンパクトカテゴリーで何位なのか?デミオ登場で一気に活況を呈してきたコンパクトカーカテゴリーを西村直人氏が一刀両断!コンパクトカーは、セダンやミニバンといった既成概念にとらわれず、ひたすら個性を主張することができる貴重なカテゴリーだ。過去にエントリーモデルであるという認識がそうさせたのかもしれないが、今やその主張領域は車両価格の過半数を占めるパワートレーンにまで及び、その多くが最先端技術の結晶であるダウンサイジングエンジンを搭載するまでになった。さらに今回の新型デミオや、コンパクトと呼ぶには全幅が広いがミニクーパークロスオーバーに至ってはディーゼルも選べる。とはいえ、コンパクトカークラスだ。サイズに始まりなにかと制約がついてまわるこの1台で、ユーザーの欲望すべてを満足させることなどできるのだろうか? そこで今回は新型デミオを筆頭にフィットハイブリッドとスイフトRS、そして先頃マイナーチェンジを行いクラス初の「定速走行・車間距離制御装置」である「ACC」を搭載したVWポロの合計4台で、各車の「走りっぷり」「使い勝手」「オールマイティ度合い」を比較してみることにした。また、同時取材はかなわなかったが、ヴィッツ、アクア、ノート、ミラージュ、フィエスタ、ミニの各車についても別表での順位づけを行った。

走りではダントツのデミオ!

骨太な足回り特性のデミオディーゼルに対し、スイフトRSは運転の基本に忠実な反応を示すハンドリングが武器

骨太な足回り特性のデミオディーゼルに対し、スイフトRSは運転の基本に忠実な反応を示すハンドリングが武器

■走りではダントツのデミオ!まずは注目の走りだが、親愛の情を込め「小さなアクセラ」と呼びたいほどに新型デミオの走りっぷりはダントツにいい。なかでも1.5Lディーゼルは、いわゆる一般道で多用するアクセル開度50%以下の領域でもしっかりとした過給効果が実感できるうえ、その開度領域でも20.0kgmに近いトルクが得られるため、いつでもゆとりたっぷりの走りが堪能できる。ガソリンモデルにしても、このクラスに多いCVTではなく、あえて6速有段AT(しかも新開発!)を搭載してステップ感の強い加速フィールを生み出している。新型デミオの足回り特性をひと言で表現するなら骨太だ。装着タイヤの外径は約630mm(15インチは約624mm)と、ライバル車よりも12~15mm大きくして縦方向のグリップ力を高めつつ、あえてハイグリップタイヤを履かずに、それを支える足回りも適度なロールを許す設定とした。しかし、これらに不足はなく、路面をしっかりとつかむ感覚がアクセラと同じ構造体の前席シートと少し重めのステアリングを通して常に伝わってくるので、どんな路面状況でも安心感が高いのだ。

ライバルも3車3様の個性!

■ライバルも3車3様の個性!しかしながら、今回持ち出したライバル3車の個性にも心惹かれるものがある。ハンドリング性能で際立ったのはスイフトRS(CVT車)だ。デミオ(ガソリン/AT車)よりもさらに30kg軽い1000kgの車両重量(FF車)が功を奏し、運転の基本となる“ゆっくり、かつ連続”して行うアクセル/ブレーキ/ステアリング操作のすべてに対して忠実な反応を示す。これで物足りなければスイフトスポーツが控えているが、RSより横方向の俊敏さが際立つことから1台でマルチに使いこなすにはスイフトRSがほどよいレベル。また、シートのサイドサポート性は今回の4車で一番高く、調整幅の広いチルト&テレスコ機構つきのステアリングと相まってドラポジは身長にかかわらず合わせやすい。

パワフルな走りと低燃費性能

フィットハイブリッドは、有段ギヤ+高出力(29.5ps/16.3kgm)モーターから生み出されるパワフルな走りが印象的。乗用車では世界初のDCT内蔵モーターによるハイブリッドシステムは、システム(エンジン+モーター)出力137psと群を抜く。システムトルクは(SOCにもよるが)わずか1000~5000rpmオーバーまで最大値の17.3kgmを保つことから、7速DCTのすばやい変速操作と連携してスペック以上の連続した加速力を生み出せる。こうした有段ギヤならではのダイレクト感と、DCTの構造的特徴を活用した3速ギヤ(高速域では5速)を中心とする徹底したエネルギー回生、さらには燃料電池車「FCXクラリティ」で培われた電動サーボブレーキの三位一体化により、パワフルな走りと低燃費性能を両立した。

VWポロでは上質な足さばきと高い静粛性に注目。現行型のデビュー当初からするとサスペンションはしなやかさを増し、それこそタイヤひと転がり目からアタリが非常に滑らかだ。これには乗り心地と静粛性を重視したタイヤ「コンチ・プレミアムコンタクト2」を履いていることも影響しているが、それ以上にゆとりあるサイズのシートを採用したことが好印象を抱かせた理由だ。静粛性は、例えばドアの開け閉めひとつとってもわかる。ポロのドアロック構造は前/後/リアゲートともに国産3車とは大きく違い、頑丈なラッチとヒンジ、受座で構成されているため、閉めた時だけでなく、開けた瞬間にも精巧な金具同士が生み出す緻密な音を発する。このがっちりとしたボディがあるからこそ、ダイレクトフィールが向上した7速DCT(VWではDSGと呼ぶ)も生きてくる。ジワッとアクセルを踏み込むと最大トルクを発揮する1400rpm前後で1速ギヤにミートし、比較的早めにシフトアップが行われ巡航燃費を稼ぎにいく。さらにクラス初のACCはロングレンジのミリ波レーダーのみだが、0km/hまでの全車速対応型(最高設定速度160km/h)であることもトピック。

順位!

最後に順位。「走りっぷり」では、(1)扱いやすい絶大トルクでデミオディーゼル(2)どこまでもしなやかで上質なポロ、(3)乗用車唯一のDCT+HVのフィット(4)軽さ際立つ一体感が身上のスイフトの順。「使い勝手」では(1)独創ウルトラシートでフィット(2)次世代マツダの象徴「マツダコネクト」を採用したデミオ(3)張り出しの少ないラゲッジルームのポロ(4)シンプルだが実用性の高いスイフト。「オールマイティ度合い」では、(1)クラスレスなインテリアデザインのデミオ(2)エアロボディと欧州サスでほどよいスポーティさが売りのスイフト(3)フォーマルな場所でも胸を張れるポロ(4)予備知識なしに優れた燃費を出せるフィットとなる。

NEWデミオは果たしてディーゼルメインでOKなのか?

NEWデミオは果たしてディーゼルメインでOKなのか?

NEWデミオは果たしてディーゼルメインでOKなのか?

PART2 NEWデミオは果たしてディーゼルメインでOKなのか?MTの場合、小排気量&ポスト新長期規制対応エンジンが苦手とする極低回転域(1000rpmちょっと)でクラッチミートしたとしても、その直後から滑らかにトルクが湧きだし、MT用エンジンの最大トルクを発生する3200rpm過ぎまで力強いトルクで引っ張り上げる。プロトタイプで2000rpm過ぎにトルクの谷間を実感したが、量産型では解消された。いっぽう、ATでは同じ6速だが各ギヤ比の違いも重なり、2000rpm前後のトルクバンドを保ちやすく、そこからスムーズに車速を伸ばしていく。

カラクリ

アクセラなどのツインターボに対し、デミオの1.5L直噴ディーゼルはシングルターボ採用

アクセラなどのツインターボに対し、デミオの1.5L直噴ディーゼルはシングルターボ採用

特筆すべきは3速2500rpm前後からの力量感。ちょうどこの領域が日本を代表するワインディング路の箱根にもピッタリで、ガソリン車ほどではないが右足の踏み込み加減ひとつでアプローチに必要な姿勢変化を生み出しやすい。加えて、高回転域まできっちり使い切ることができるからストレスがない。5000rpmオーバーまで落ち込みが少ないばかりか、レッドゾーンの5500rpmまで価値のある引っ張り走りができるので、「次のコーナーまであと少し……」という場面でも、そのままのギヤ段で乗り切れる。このカラクリはターボチャージャーにあり。ツインターボの2.2Lディーゼルに対し1.5Lはシングルターボを採用。タービンには可変A/RのVG機構を採り入れ、過給効果を得にくい低回転域でのトルクを太らせつつ、毎分25万回転を許容することで高回転域での出力低下を抑制している。また、高圧EGRに加えてターボの過給エネルギーを奪わない低圧EGRの採用により、前述した5000rpmを超えてもなお実用的な加速力が得られる特性を持つ。すばらしいディーゼルだが、それを活かす足回りにも苦労は多く、プロトタイプでは「アレッ、大丈夫か!」と心配する場面が数多く見受けられた。乗り味が硬く、回頭性も満足いかなかった。具体的にはコーナーアプローチで前輪が突っ張り気味になり、その状態で前後バランスを保とうとするので乗り味に硬さが目立った。ここを量産型では前輪の減衰特性変更に加え、後輪をより積極的に使うことでガソリンモデルより約100kg増えた前軸荷重の負担を分担し、スムーズなコーナリングを実現。もっとも、エアボリュームがある65/60の偏平タイヤであることから、無理にステアリングをこじっては旨味を活かせず、アプローチから各操作をじんわりと連続させたセオリーどおりの向き変えを行うことが大切だ。

もうひとつのエンジン、1.3Lガソリン車はどうなるのか?

もうひとつのエンジン、1.3Lガソリン車はどうなるのか?

もうひとつのエンジン、1.3Lガソリン車はどうなるのか?

PART3 もうひとつのエンジン、1.3Lガソリン車はどうなるのか?「ボディサイズに比例しない価値を目指した」とは、新型デミオの開発担当主査を務めた土井歩氏の言葉だが、まさしく1.3Lのガソリンモデルに乗ると、その言葉に込められた深い意味を知ることができる。ガソリン車のカタログ値の上限は最高出力92ps/最大トルク12.3kgmとスペックだけみると平凡だが、一般的な走行シーンで多用(運転時間にして約80%)するアクセル開度(50%以下)では、欲しい加速力を望んだタイミングで生み出してくれるため、もどかしさがいっさいない。これは、「日常領域での究極」を謳う新型デミオの特徴のひとつで、どの速度域においてもアクセルに足をのせてから約0.3秒の“ため”をワンクッションにリニアな加速力を発生させるというマツダがどのモデルでも大切にしている設計思想がその根底にある。ガソリン車ならではの乗り味では、ディーゼルモデルから約15%も軽くなった前軸重がプラスに働いている。例えば、歩道の段差を乗り越える際や路面の継ぎ目を通過する際など、サスペンションがすばやく伸び縮みする瞬間のアタリがソフトで収束も早い。ハンドリングにしても、ディーゼル車に比べ前輪サスペンションの減衰特性のうち初期がソフトな設定であるため、アクセルのオン/オフによる積極的な姿勢づくりがしやすく、例えば路面状況が悪い場面であってもコーナリングのアプローチが容易だからだ。

“ドライブセレクションスイッチ”

ガソリン車(AT)には「ドライブセレクションスイッチ」があり、SPORTモードにすると自動的に低いギアを選ぶようになる

ガソリン車(AT)には「ドライブセレクションスイッチ」があり、SPORTモードにすると自動的に低いギアを選ぶようになる

また、ガソリンモデルの6AT車にのみ設けられた“ドライブセレクションスイッチ”だが、これがなかなかの逸品だ。いわゆるエンジンの高回転側を多用するだけのスポーツモードとは違い、車体がコーナリングへのアプローチを行っていると判断した場合には、自動的にブリッピングとともにシフトダウンが行われるほか、アクセル開度が30%程度の領域であっても、ステアリング操作量や路面状況に応じてシフトアップが抑制され、現状のギヤ段を維持し続けてくれる。また、スロットル特性もペダルの踏み込み/戻しに対する反応が1対1に近づくため、ギヤ段が固定されることのメリットがさらに大きくなる。5MT車も6MT車同様にシフトストローク量は45mmの設計で、クラッチペダルの操作量ともリンクするようなHMI設計が導入された。また、一般的にオルガンペダルの場合、吊り下げペダルよりもヒール&トゥがしづらいのだが、新型デミオは制御ロジックに独自の技術を採り入れることでこれに対応している。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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