中古車購入
更新日:2019.06.17 / 掲載日:2018.01.29
【ダイハツ】低コスト・リサイクル性を高める車パーツ(部品)の3Dプリンター技術

グーネット編集チーム
トヨタの子会社であり、軽自動車を中心にコンパクトカーを製造・販売するダイハツは、エンジンやトランスミッションなどに使用する鋳造部品を生産するのに使用される「砂型」を3Dプリンターで製作するうえで必要な技術を2017年8月に開発しました。
部品試作の短期化や低コスト化など期待ができ、砂型に使用される人工砂の100%リサイクルも実現可能な技術です。
3Dプリンターとは
紙に平面的に印刷する一般的なプリンターに対し、3Dプリンターは、CAD等で作成された3Dデータをベースに一層一層、樹脂や金属などの材料を少しずつ「積層」しながら、まさに立体物を印刷する装置です。
製品の試作や型の作成、医療モデルなど、さまざまな分野で3Dプリンターは活用されています。
ダイハツでは、樹脂や金属ではなく、砂型作成に対応するために、表面に酸触媒などで2層コーティングされた人工砂を用いています。
これまでの砂型製作
鋳造部品の製作は、木型・金型を使用して砂型を製作します。
そして、そこに溶融した鉄やアルミなどの金属を流し込む工程です。
3Dプリンターでの砂型作成技術があっても、溶融温度の高い鉄系金属部品は、砂型に割れが発生するなど作成が困難でした。
また、既存の木型・金型の製作には高度な技術が必要なため、製作期間の長期化が避けられないのです。
人工砂の弱点を克服したダイハツの新技術
ダイハツは、砂型に使用する砂の表面に酸触媒などで2層コーティングする新技術を開発したことで、人工砂を使用して、常温で高速硬化の特徴を持つ「フラン自硬性プロセス」で、造型することに成功しました。
この手法は特許出願中です(※2017年8月24日現在)。
この技術が実用化されることにより、溶融温度の高い鉄系金属部品の製作が容易になり、試作期間の短期化が可能になります。
現在ある3Dプリンターと量販の人工砂の使用が可能のため、汎用性が高く、人工砂に再コーティングを施すことで、人工砂の100%リサイクルを実現し、ランニングコストの抑制と環境負荷低減に役立ちます。
軽自動車、小型車の価格競争に強み
低燃費低価格の軽自動車の品質及び価格競争が激しくなるなかで、鋳造部品を生産するのに使用される砂型を3Dプリンターで製作技術は、ダイハツが目指す「良品廉価なクルマづくり」と「モノづくりの競争力向上」に活かされます。
車種のフルモデルチェンジ時の新型部品や新型エンジン、トランスミッションの開発が低コストかつ、短期間で可能になることが期待できます
。他社へのアドバンテージとなるとともに、消費者にとっても低価格で良い新商品が提供されればメリットは大きく、今後期待すべき注目の技術です。