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更新日:2019.10.18 / 掲載日:2018.04.04
【マツダ】スムーズな操作を実現するオルガン式アクセルペダル

グーネット編集チーム
マツダでは、コンパクトでリーズナブルな車種であるデミオはじめ、多くの自社モデルにオルガン式アクセルペダルを採用しています。
今回は、一般的な吊り下げ式アクセルペダルに比べ、オルガン式アクセルペダルがどのような点で優れているのかだけでなく、採用に伴うデメリットについても詳しく解説していきます。
オルガン式アクセルペダルとは
採用するには製造コストがかさむため、通常海外メーカーの高級車種に採用されていることの多いペダルが、オルガン式アクセルペダルです。
一般的な国内車種の、ほとんどに採用されている吊り下げ式アクセルペダルは、構造的に簡単で製造にコストがかからないメリットがあるものの、踏み込む足の動作とアクセル挙動にズレが生じ、違和感があることや、つま先のみでの踏み込みとなるため、ブレーキペダルとの踏み間違いによるリスクが出てしまいます。
一方、文字通り楽器のオルガンに付いている、踏み込みペダルのような形状を持つオルガン式アクセルペダルでは、足の裏全体を使いかかとを付けた状態での、安定したアクセルワークが可能となります。また、吊り下げ式アクセルペダルでの長時間ドライブでは、踏み替えの多さから足の筋肉、特に足を引き上げるときに使用する前脛骨筋(ぜんけいこつきん)に痛みや疲れを覚えることもあります。
オルガン式アクセルペダルを採用するメリットとは
このオルガン式アクセルペダルでの運転では、踏み込んだアクセルの反力がペダルも戻す際にうまく利用されることにより、前脛骨筋への負担が軽減するため、長時間のアクセル操作が可能です。
さらに、シート着席時、自然に足を投げ出した位置にアクセルを配置しているため、ドライバーはアクセルとブレーキを踏み替える際、理想となる足のポジションを保ったまま、かかとを支点とした円運動のみで踏み替えができます。
吊り下げ式アクセルペダルと比較し、素早くアクセル操作ができるとも言われてており、特に高速走行時では事故回避能力のアップに繋がる可能性があります。
オルガン式アクセルペダルのデメリットとは
オルガン式アクセルペダルは、構造的にかなり吊り下げ式より複雑になるため、製造コストがかさむデメリットがあります。
ですが、マツダは「理想のドライビングポジション」の一翼を担うオルガン式アクセルペダルを、高級モデルやスポーツモデルだけでなく、デミオなどのパーソナルモデルにも採用しているため、このデメリットについてユーザー側が心配する必要はありません。
ただし、他のメーカーでは吊り下げ式があくまで主力であることから、オルガン式に慣れていないユーザーの中には「足がつりそうになった」、という意見も少なからず聞かれます。
しかしこれも、構図的に言えばオルガン式の方が足への負担が少ないのは事実ですので、慣れてしまえば解消してくると考えられます。唯一といえるハッキリとした弱点に、オルガン式アクセルペダルに対応しているフロアマットが、少々見つけにくいことが挙げられます。
カー用品店などに並んでいるのも、ほとんどが吊り下げ式に対応したもので使用できませんので、入手するにはディーラーで純正品を注文するか、社外品をネットなどで探すしかないことがデメリットです。
マツダでオルガン式アクセルペダルが使われる理由

グーネット編集チーム
それでは、なぜマツダがオルガン式アクセルペダルにこだわるのか、その秘密に迫っていきます。
スムーズな操作&長時間運転で疲れにくい
1つ目の理由は、なんといってもスムーズな操作と長時間運転での疲れにくさです。足を疲れにくくするためには、かかとを床につけて固定することが非常に重要になってきますが、吊り下げ式のアクセルペダルだと、ペダルが前方に移動していくので、かかとも前方にずれていくのです。その一方で、オルガン式アクセルペダルであれば、かかとを支点として、上から下へのシンプルな回転運動となるので、アクセルペダルの動きと足首の動きが完全に一致し、疲れにくい傾向があります。
さらに、アクセルペダルは基本的に押す方向に動かすものですが、その際にかかとが固定されて、足の重さでペダルを操作できれば、脚の背面の平目(ひらめ)筋だけを使うことになります。この平目筋は、正面の脛(すね)筋と比べて大きいので、脛筋を使うときと比べて疲労を軽減することができるのです。
ペダルの踏み間違い防止
2つ目の理由は、ペダルの踏み間違い防止です。オルガン式アクセルペダルであれば、かかとを支点として足を固定できるので、かかとがずれずに踏み間違いが起こりにくいという理屈になります。
他社メーカーとの差別化
3つ目の理由としては、マツダが他社メーカーとの差別化を狙っていることが考えられます。マツダの安全思想には、「良好な運転環境を提供」することが打ち出されています。その1つの目玉ポイントとして、優れた操縦安定性を誇り、他社が採用していないオルガン式アクセルペダルが挙げられているのです。
マツダ以外でオルガン式アクセルペダルを採用しているメーカー
それでは、マツダ以外でオルガン式アクセルペダルを採用しているメーカーをご紹介していきます。
主にポルシェ、BMW、メルセデス・ベンツの欧州車で採用
電気的にスロットルを駆動させるスロットルバイワイヤー方式が一般的になる前は、アクセルペダルとエンジンのスロットルが物理的なワイヤーで繋がっていました。そのため、製造コストの面でもオルガン式アクセルペダルは吊り下げ式と比べ不利だったのです。
しかしながら、高級スポーツカーブランドであるポルシェではオルガン式アクセルペダルが採用してきました。欧州車の中でもオルガン式アクセルペダルを採用しているメーカーはあり、BMW、メルセデス・ベンツをはじめ、一部車種に導入されています。
日本では一部高級サルーンに搭載
日本メーカーでも、マツダ以外にオルガン式アクセルペダルを採用している車種は存在します。具体的に例を挙げていくと、トヨタ クラウンや日産 スカイライン、ホンダ レジェンドといった、各メーカーを代表するようなフラッグシップの高級サルーンです。もちろん、レクサスのコンパクトSUV「UX」にもオルガン式アクセルペダルは採用されているため、今後も採用される車種は増えていく可能性があります。
まとめ
今回は、マツダが幅広い車種で採用しているオルガン式アクセルペダルについて、その構造やメリットとデメリット、マツダでオルガン式アクセルペダルが使われる理由やオルガン式アクセルペダルを採用している他のメーカーについて解説してきました。かつてはコストや技術的な問題で一部の限られた車種しか採用されていませんでした。
操作性や安全性の観点でメリットの多いオルガン式アクセルペダルを採用してく車種が、今後も増えていくことが期待されます。