【トヨタ】至高のV型12気筒ユニット「1GZ-FE」とは

省燃費性能や、排ガス規制などといったエコ思考の高まりに合わせ、各メーカーはエンジンのダウンサイジングを進めたり、EV/HVモデルを開発・販売し、世の中のニーズに対応しています。

そんな中トヨタは、自社のフラッグシップセダンである1997年に登場した、2代目センチュリーのエンジン開発を進めるにあたり、クラウンやマークIIなどといった、当時のトヨタ主力セダン車種に搭載してきた直列6気筒エンジン「JZ型」をベースに採用し、「12気筒」という多気筒エンジンの開発に着手します。

あえて時代のトレンドとなっていたダウンサイジングに踏み切らず、高馬力・高排気量エンジンによる、高級車らしい高い走行性能を追求したのです。

その結果、国内市販車としては史上初にして唯一無二である、V型12気筒高排気量・高出力エンジン、「1GZ-FE」が生み出されました。

気筒数と形式を表す「V12」という表記でもわかる通り、上記で示したセダン車種をしっかりと支えている「JZ」エンジンを、豪勢にもV字型に2つ組み上げたのが、トヨタ至高のユニットであるこの1GZ-FEターボなのです。

トヨタの最高級車である、センチュリーに搭載された1GZ-FEのすごい点は、片方の6気筒が仮にトラブルで停止しても、もう片方の6気筒ユニットが生きていれば問題なく走行を継続できることです。

これはトヨタがフラッグシップサーフとして、センチュリーにいつでも安心して走行できることを求めたためであり、ブレーキ系統初め各機構において、バックアップ機能を備える二重系統化が施されています。

さらに走行性能においても、馬力は国内メーカー自主規制ラインぎりぎりの280馬力となっており、2004年7月に自主規制が正式に撤廃されるまでの間、この1GZ-FEを上回る馬力を持つ、国内向けセダン車種は存在しませんでした。

世界に目を移しても、この1GZ-FEと同等のV12エンジンユニットを搭載しているのは、

・ベンツAMG
・フェラーリ
・ランボルギーニ

辺りしかなく、1GZ-FEエンジンがいかに特別で、高い馬力とそれに伴う走行性能を持ってるかがわかります。

センチュリーの場合、特性上オーナー自身がドライブを楽しむというケースが少ない車種ではありますが、抜群の走行性能はオーナーにとって、上記の海外高級車種に引けを取らないステータスの証となってくれます。

また1GZ-FEは、各機関の爆発タイミングが非常に短いためトルクに乱れがなく、地を這うように滑らかで振動も極端に少ないうえ、根本から開発されたエアサスペンションキットによって、さらにロードノイズが減少されます。

このように、1GZ-FEを搭載したトヨタの2代目センチュリーは、加速性能抜群の高馬力によってもたらされる超高級車としての威厳とともに、乗り心地や静粛性についても極限まで追求されているのです。

トヨタは去る10月5日に開催された東京モーターショーにおいて、実に20年ぶりとなるメジャーチェンジを施した、3代目センチュリーを展示公開し、2018年中頃からの発売を発表しました。

そして、同会場での発表で新型センチュリーの気になるエンジンユニットは、時代の求めに対応した「V8・5.0Lハイブリッドエンジン」となることがわかりました。

つまり、ここで紹介した「1GZ-FE」エンジンユニットは、この世からその存在を消すことになるわけです。