中古車購入
更新日:2019.09.25 / 掲載日:2019.09.25
【消費増税直前!? いま最も知りたい購入・維持費のこと】クルマとお金、最新案内。

クルマを購入・維持していくためには、当然だが費用がかかる。カーライフを楽しむうえで、節約のためにそれらを把握・管理している人もいるし、そうでない人もいるだろう。しかし、10月1日に実施見込みの消費増税に関しては、これからクルマを買おうとしている人にとって大きなトピックとなる。まずはその内容について見ていこう!
(掲載されている内容はグー本誌2019年10月号の内容です)
ニッポンの税制が変わります
購入時の費用として重要な税制度の改正
クルマは家の次に購入金額が高いと言われており、その購入時にはさまざまな費用が必要となってくる。たとえば中古車なら、車両本体価格に加えて、販売店の代行手続き費用や保険代、さらに、取得税や消費税といった各種税金もかかってくる。
もちろんわからないことがあれば販売店に相談すれば解決してくれるので、その詳細を詳しく知る必要はない。しかし、1000円でも安く買いたいと考えているなら、その内容を知っておいたほうがいいだろう。
そんななか、政府は19年10月1日に消費税率を現行の8%から10%へと引き上げる方針を表明している。消費税といえば、車両本体価格にかかる、購入費の中でも大きな存在だ。今より2%増えるということで、車両価格が高ければ高いほど、その負担金額は大きくなる。たとえば250万円のクルマを買う場合、その負担額は、単純計算で従来より5万円も増えることになるのだ。
ただし、増税による買い控えを防ぐための施策も、同時に実施される。それが、自動車税の税率引き下げと、取得税の廃止だ。今回はこの新税制の解説を中心に、クルマとお金の関係を紹介していく。
NEW 自動車税の税率引き下げ
自動車税(軽自動車は軽自動車税)は、クルマを維持していくうえで毎年支払わなければならない税金だ。それが、2019年10月1日以降に初回新規登録を受けたクルマ(自家用の乗用車)においては、税率が引き下げとなる。その引き下げ額は、2万5000円(1000cc以下)から1000円(6000cc超)となっており、主に影響を受けるのは新車だが、新車の買い替えが中古車市場へも影響を与えるだけに見過ごせない。
TOPIC 自動車取得税の廃止
環境性能割の導入!!
従来の取得税(自動車取得税)は、10月1日をもって廃止される。そして、取得税の廃止と同時に“臨時的軽減措置”として、「環境性能割」という新たな税が設けられる。これは、新車・中古車を問わず対象となり、クルマの環境性能に準じて支払額が決まってくる税金だ。
税率は、自動車の取得価格に係数として、非課税(EV、燃料電池車、天然ガス車など)から3.0%(燃費基準未達成車など)までがかけられ、各車の燃費基準達成割合などによって3から4段階に設定されている。また、この「環境性能割」は2020年9月30日までの1年間は臨時的に軽減されているため、それ以降の購入となると、税率が増える予定となっている。
知ってるようで知らなかった事実がある!【Q&Aで学ぶクルマ関連税の基礎】
冒頭から紹介したように、クルマの税制が変わる。そこで次に、クルマ関連税の基礎知識をこちらで紹介していきたい。自動車税、軽自動車税、ガソリン税、自動車取得税など、知っておいて損はないはずだ!
Q.1 軽自動車と普通車で税額が異なることはありますか?

室内空間は年々広く進化している軽自動車。今では1.0から1.5Lクラスのコンパクトカー以上に広いものも多い。
A.1 排気量やボディサイズが制限される軽自動車は、用途や環境負荷などが考慮され、通常の登録車より優遇される傾向にある。たとえば、自動車税は軽では軽自動車税となり、登録車の2万9500から11万1000円(排気量に応じて)に対して、軽自動車税は一律1万800円。軽自動車税は2015年4月に1.5倍となっているが、それでも少なく設定されている。取得税も同様に、登録車の3%に対して2%と優遇されている。
Q.2 燃料代にも税金が含まれているって本当ですか?

課税対象の差が、日本でガソリンが軽油より高くなる理由のひとつ。当然、消費増税の影響を受けることになる。
A.2 ハイオク&レギュラーガソリンにかかる税金は、価格のおよそ半分とされている。その内訳を見てみると、ガソリン税(揮発油税および地方揮発油税)のほか、石油・石炭税がかかり、それらにガソリン本体価格を足したものに対して、消費税も課せられている。軽油では、軽油引取税と石油・石炭税がかかってくる。しかし消費税は、軽油引取税にはかからず、本体価格と石油・石炭税にのみかかる計算だ。
Q.3 10月からなくなる自動車取得税ってなんですか?

税金の種類が減るかと思いきや、新たに「環境性能割」が導入される。環境負荷の高いクルマは増税傾向だ。
A.3 自動車取得税の金額は、原則として車両本体価格のおよそ90%程度となる「取得価額」の3%(軽自動車は2%)となっており、「取得価額」が50万円以下なら非課税となる。取得税はクルマ購入時にかかるものだが、消費税も購入時にかかってくる税金ということで、取得税と消費税との“二重課税”が論議されてきた。今回の改正では、この存在が疑問視されてきた取得税を廃止する見込みとなっている。
Q.4 購入時期によって自動車税の支払額は変わってくるのですか?

A.4 自動車税や軽自動車税には「4月1日時点での所有者に課せられる」というルールがある。さらに自動車税では、年度途中で購入した場合、登録翌月から次の3月までの分を月割りで支払うことが決められているため、購入したのが9月なら翌3月までの半年分の支払いで済む。また、登録時期を月初めにすることで、月末にするより約1ヶ月分の節税に繋がるなど、購入時期次第でコストを削減することが可能だ。
【考察Column】エコカー減税は中古車も対象とされるのか?
新車販売に多大な影響をもたらしたエコカー減税だが、これが中古車にも有効であることは意外に知られていない。享受できるメリットが少ないというのは事実だが、「対象である」ことを知っておけばなにかと得することは間違いない。
エコカー減税とは、国土交通省が定めた基準に照らし合わせ、「排出ガス性能および燃費性能に優れたクルマ」に対して適用される制度のことだ。環境性能に優れたクルマの普及拡大を目的に2009年にスタートしたわけだが、新車だけが対象だと思っている人は少なくない。
しかしエコカー減税には中古車特例という制度があり、中古車でも減税制度の対象となる要件を満たしていれば自動車取得税や同重量税が減税される。ならば、そのメリットを享受したいところだがエコカー減税の対象は、電気自動車やプラグインハイブリッド車、クリーンディーゼルといった次世代自動車のほか、ハイブリッド、ガソリン車の場合は、令和2年(平成32年)度燃費基準を達成し、厳しい排ガス性能をクリアしている車種に限られる。つまり、あえて相場が高めの高年式車を選ぶことになるので、クルマを安く買えるという中古車のメリットと相反することになるのがもどかしいところ。
先述した次世代車や高年式の低燃費車を中古車で購入しようと検討している人にとっては、一時的とはいえ税負担を減らせるのは間違いない。要件は限定的だが、エコカー減税不適合の車種よりも税額は安くなるので、ランニングコストの節約には効果がありそうだ。
エコカー減税についておさらい 新車だけの制度ではないのです!
環境性能向上技術を採用したエコカーを選ぶなら要チェック
環境性能に優れたクルマへの乗り換えを推進するための制度だったので、新車に対してのみ適用される優遇措置と思われがちだ。しかし、中古車にも特例措置が設けられており、排ガス規制や燃費基準に応じて自動車取得税が軽減される。ただし恩恵を受けられるのは、ハイブリッドカーや次世代自動車と呼ばれる車種が主流となる。●2019年5月1日から2021年4月30日までに乗用車の継続検査、中古車の新規登録等を行う場合
狙っているクルマが条件を満たしているかを確認しよう
自動車重量税にもエコカー減税が適用される。中古車の場合は燃費基準を満たしていることが前提で、 1.新車時の車検が残っている状態で購入し、次の車検を受けるとき 2.初回車検が切れてから15日以内に車検を通したときという条件付きながら適用となる。ちなみに対象期間は2019年5月1日から2021年4月30日までとなっている。
ズバリ! 狙うべき車種の 『特徴』はコレだ!!
エコカー減税が適用されるのは、令和2年(平成32年)燃費基準を達成し、排ガス規制を平成17年度規制75%低減または平成30年度規制50%低減でクリアしている車種となる。なかでも「次世代自動車」と呼ばれる車種が狙い目だ。乗用車なら電気自動車やプラグインハイブリッド、クリーンディーゼル車が現実的な選択となる。
プラグインハイブリッド
EVとハイブリッドのいいところどり
充電した電力によってモーター走行するのでガソリンへの依存度が少ない。電池切れの不安がないのも特徴だ。
クリーンディーゼル車
エコ性能はもちろん力強い走りもセールスポイント
排出ガスがクリーンなうえに、ガソリンよりも燃費性能に優れ、パワフルかつスムーズな運転感覚が持ち味だ。
ほんの一例ですが…対象となるエコな中古車はこちら!
[トヨタ]MIRAI
中古車中心価格帯 210万から290万円
狙い目の年式 平成26年から30年式
水素と酸素の化学反応で得られる電気を活用してモーター走行を行う究極のエコカー。普及率はいまひとつで中古車の流通量も少ない。
これもオススメ●ホンダ・クラリティフューエルセル[日産]ノート
中古車中心価格帯 30万から200万円
狙い目の年式 平成28年から31年式
e-POWERという独自のシステムがもたらす高効率な走りがウケて売れ行きは好調。標準車のほかスポーティなNISMO仕様も選べる。
これもオススメ●スズキ・スイフト(ハイブリッド)/スズキ・ソリオ(ハイブリッド)/日産・セレナ(e-POWER)など[日産]リーフ
中古車中心価格帯 200万から330万円
狙い目の年式 平成29年から30年式
プロパイロットやe-Pedalといった運転を楽にしてくれる技術を搭載するなど、エコ以外の価値が得られる満足度の高い選択と言える。
これもオススメ●三菱・i-MiEV/BMW・i3/フォルクスワーゲン・e-ゴルフなど
[マツダ]デミオ
中古車中心価格帯 60万から190万円
狙い目の年式 平成27年から30年式
クリーンディーゼルエンジンをはじめとしたマツダのスカイアクティブ技術がもたらす爽快な走りと質の高い内外装の作り込みが魅力。
これもオススメ●マツダ・アクセラ/マツダ・CX-3/マツダ・CX-5/トヨタ・ランドクルーザー/三菱・パジェロなど[三菱]アウトランダーPHEV
中古車中心価格帯 150万から280万円
狙い目の年式 平成27年から30年式
給電機能を備え、アウトドアなどでも重宝する。搭載エンジンが2.4Lに拡大された2018年8月以降の車両がとくに狙い目だ。
これもオススメ●ホンダ・クラリティPHEV/トヨタ・プリウスPHVなど[トヨタ]プリウス
中古車中心価格帯 130万から240万円
狙い目の年式 平成28年から30年式
国産屈指の人気モデルで、燃費、環境性能の高さは現行型でさらに磨かれている。流通台数の多さゆえに好みの物件が探しやすい。
これもオススメ●トヨタ・アクア/ホンダ・フィット(ハイブリッド)/ホンダ・インサイトなど
【自動車評論家対談でわかった!!】消費増税による 中古車購入への影響
クルマとお金の事実関係を学んできたところで、ここでは2人の人気自動車評論家にご登場願おう。気になる消費増税の影響に関して、各人の体験、知識などから、それぞれに結論を出してもらった。
グー過去の増税時を思い返すと駆け込み需要も起きていた
月に予定されている消費税の8%から10%への増税、自動車業界への影響はどう出ますかね?」
渡辺「まず歴史に学ぶべきでしょう」
清水「確かに。まず89年の消費税の新設、この時は同時に物品税が廃止されたので、実質的にクルマは大幅減税で、特に3ナンバーの高価格車は大幅値下げだったんですよね」
渡辺「そうでした。当時物品税は、3ナンバー車で23%も取られてましたから、この廃止は大きかった」
清水「続く97年の3%から5%の時はどうでしたっけ?」
渡辺「この時は、かなり影響ありましたね」
清水「あの増税で日本はデフレ不況に突入して、橋本内閣が退陣に追い込まれたくらいですからね。この時の教訓もあって、5年前の5%から8%への増税時は、同時に自動車取得税を5%から3%に引き下げるなどして、ほぼトントンにした。だから駆け込み購入は起こらなかった」
渡辺「ただ、軽自動車だけは、もともと取得税が3%だったのを2%に下げただけで、しかも翌年、軽自動車税が5割もアップされたので、相当な駆け込み需要が起きたんですよ」
清水「そうそう。クルマは高額商品だし、持っているかぎり税金がかかり続けるものなので、ユーザーは増税に敏感です。増税になるなら確実に駆け込み需要は起きる。特に軽や小型車の場合は顕著ってことですね」
渡辺「それが歴史的な事実です」
清水「で、今年の増税ではどうなると思いますか?」
渡辺「これが複雑なんですよ。増税と同時に3%の自動車取得税は廃止され、代わりに上限3%の環境性能割が新設される。例えば2020年度燃費基準の+20%達成車は、環境性能割もゼロ。加えて増税から1年間に限っては、環境性能割が一律で1%軽減されるので、+10%達成車まで免税になる」
清水「ただ、取得税は、現状のエコカー減税でも、多くの車種で減免になってるんですよね」渡辺「そう。つまり、今回廃止される取得税を、もともと負担していなかったエコカーは、消費増税分がそのまま負担増になってしまう」
清水「ただ、今回注目すべきは、自動車税も引き下げられることでしょう。排気量が小さいほど減税幅は大きくて、1000cc未満のリッターカーは年4500円も下がる。これは大きいですよ」
渡辺「軽自動車税は据え置きなので、軽自動車いじめとも言えますけどね」
清水「いや、今の軽自動車は、室内なんかリッターカーよりぜんぜん広いじゃないですか。値段だって高い。オプション付けたら200万円を超えるようなクルマを、庶民の足として税金で優遇しすぎるのは問題だったと思います。今回、軽とリッターカーの税額の差が縮まったのは、正しい方向性じゃないですか?」
渡辺「それを言うなら重量税を廃止すべきです。道路特定財源なんてもうないんだから!」
清水「とにかく、自動車税の減税は戦後初めてのことで、自動車工業会の悲願だったわけです。それも含めて考えると、10月以降のほうが若干有利になるクルマもある」
渡辺「そのあたり、クルマによって変わってくるんですよ。複雑すぎて一概には言えませんけど。ただ、現状、駆け込み需要はほとんど起きてませんよね」
清水「はっきり言えるのは、燃費の悪い高価格車は増税になる。で、低燃費車の場合は、車種によりケースバイケースだけど税負担は今までと大きくは変わらないってことでしょう。だから、今から焦る必要はない」
渡辺「そうですね。今から注文して9月中に納車できる新車なんてほとんどないでしょうし」
気になる中古車市場への影響は大きいのか?
清水「では、ようやく本題。中古車相場はどうなるか!? です」
渡辺「中古車好きとして知られる清水さんはどう考えてますか?」
清水「過去の事例を見ても、消費増税が中古車相場にダイレクトに影響したことはないんですよ。なにせ中古車には定価なんてないですから」
渡辺「確かに」
清水「しかも中古車は常に激しい価格競争にさらされている。そんな状況で、バカ正直に『消費税が上がったので値段を2%上げます』なんてやったら売れなくなっちゃいますよ。少なくとも車両本体価格は、10月以降もあまり変わらないでしょう」
渡辺「販売店側はどうやって対応するんでしょうね」
清水「決算期に、増加した納税額を見て泣くらしいです(笑)。まあ泣かないように頑張るわけですけど」
渡辺「どのあたりを頑張るんですか」
清水「僕の予想では、やっぱり諸費用で頑張っちゃうんじゃないですか。中古車を買う時って、ネット検索で車両本体の安い順に並べますよね。つまり、諸費用が高くなった分は、パッと見わかりません」
渡辺「ユーザーは支払総額を考慮しないといけませんよね」
清水「支払総額を表示してない中古車販売店もありますからね。『車検残なし』の場合も多いので、車検費用をどう判断するのかも難しい。結局、車両本体価格で安い順に並べないと、掘り出し物を見落としてしまうわけです」
渡辺「中古車の世界は深いですよね」
清水「実際、ディーラー系販売店と比べると、諸費用が高めな地場の店は多いです。ただそれでも、総額で見るとやっぱり格安販売店のほうが安かったりする」
渡辺「今後さらに諸費用をしっかり見る必要は出てくると思いますが、だからといって諸費用の高い店を全部選択肢から外したら、お買い得な物件は探せませんからね」
清水「あとやっぱりディーラー系販売店は別格で、安心・安全を求めるお客さんが集まりますから、消費増税分そのままかどうかはともかく、多少の値上げは許容するでしょうね」
渡辺「で、実際のところ、中古車は増税前に買ったほうがいいと思います?」
清水「中古車販売店も増税分を負担するわけですから、いずれは価格に転嫁されると思います。ただ、じわじわと他店の価格を見ながら進めるので、はっきりした変化は出ない。ユーザー側は、買い替え時期を早めてまで買い急ぐ必要はないでしょう」
渡辺「焦って買い急いで、物件選びを失敗してしまっては元も子もないですからね」
平成における消費増税の歴史を知る2人

過去の事例を見ても消費増税が ダイレクトに影響したことはない
自動車ライター 清水草一
1962年生まれ。慶応大卒。一般誌の名物クルマ担当編集として名を馳せた後、フリーの自動車ライターに。交通ジャーナリストとしても活躍中。代表作は『そのフェラーリください!!』。日本文芸家協会会員。
10月以降のおすすめ中古車
中古車中心価格帯 110万から450万円
[BMW]3シリーズ(先代型)
「BMWはとにかく値落ち率がすごい! 先代型ならディーゼルもプラグインハイブリッドも選べるし、安全装備も充実。なによりあの走りを楽しめる! 私も買いました」(清水)中古車中心価格帯 110万から450万円
今後はしっかり諸費用を見ること 焦っては元も子もないですから
カーライフジャーナリスト 渡辺陽一郎
1961年生まれ。神奈川大卒。自動車専門誌の編集長を長年務めたのち、2001年に独立。評論テーマは「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせない」こと。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
10月以降のおすすめ中古車
中古車中心価格帯 60万から170万円
[ダイハツ]タント(先代型)
「最新の現行型は当然いいのですが、先代型もかなり出来が良かった。特にタントやN-WGNといった保有台数の多いモデルは、登録済未使用車も出てくるので狙い目です」(渡辺)中古車中心価格帯 60万から170万円
【時期を見定めて狙い撃ち!】次の“買い”のタイミングを探せ!
中古車購入において、消費増税の影響はそれほど大きなものではない。そう予想した前ページの評論家対談を経て、ここでは、時期的な見方で、中古車購入の最適なタイミングについて考察していこう。
狙いたいのは商戦期とモデルチェンジ時期
中古車の価格が最も安くなるであろうタイミングというのは、実はある程度パターンが決まっている。その最たるものとして挙げられるのが、フルモデルチェンジ時期である。
ある車種がモデルチェンジする時、その新型車を買おうと考える人というのは一定数必ず存在する。その時、「現行型」から「先代型」になったモデルは一気に市場流通量が増え、相場も安くなるという仕組みである。
今年後半から来年にかけてフルモデルチェンジが予想されるモデルといえば、フィットやヤリス(ヴィッツ)、そしてレガシィなどがある。あくまでも予想だが、どの車種も売れ筋モデルなだけに、前述のような現象が起こり、先代型(現在の現行型)が狙い目となる。
さらに、1年間の周期でみても、中古車販売店が「売りたい」と思う時期が存在しており、それらの時期はお得に購入できる可能性が高い。たとえば年度末商戦(決算期)、新車のほうが顕著だが、中古車でも「売りたい」販売店が他の時期より増える。また、客の気持ちが大きくなりがちなボーナス時期というのも買い時となる。
『2019-2020年』国民的なイベント・行事が目白押しで景気はどうなる?
消費税が増税された後は、多少なりとも人々の購買意欲は落ち着いてしまうだろう。しかし、天皇陛下の即位礼関連儀式や日本で開催されるラグビーのW杯など、年末に向けて国民的なイベントも多く、景気がそれほど落ち込まないことを期待したい。そして、なんといっても1年後には東京オリンピックが開催されるということで、来年の夏に向けて徐々に景気が盛り上がっていくと予想される。
2019年
主なできごと
10月
・消費税が8%から10%に ・天皇陛下即位礼・正殿の儀
・イギリスが欧州連合を脱退
11月
・天皇陛下即位礼・大嘗祭 ・ラグビーW杯決勝
12月
・新国立競技場竣工式
自動車業界のできごと
10月
・東京モーターショー開催 ・ホンダ新型フィット発売★
・マツダCX-30発売★
11月
・トヨタ新型ラッシュ発売 ・トヨタヤリス(ヴィッツ)発売★
・スズキ新型ハスラー発売 ・★ボーナス商戦
春先の社長会見では、10月24日に開催予定の東京モーターショーでワールドプレミアされることが明言された、新型フィット。アコードやステップワゴン、インサイトなどにも採用される「i-MMD」ハイブリッドが採用されることも発表されており、ホンダとしても失敗するわけにはいかないモデルだけに、乗り換えユーザーは多いと予想される。(写真は現行型)
新型マツダ3をベースとするSUVがCX-30だ。既に海外でジャーナリスト向けの試乗なども行われており、デビューが待ち遠しい存在となっている。マツダ3譲りの流麗なスタイリングが一番の特徴で、従来のマツダ製SUVとは一味違った魅力を持つ。パワートレインも注目のスカイアクティブXが搭載される予定。当面、競合車となるのは、CX-3やCX-5か。
年内の発表が噂されている新型ヴィッツ。車名は海外名の「ヤリス」へ変更されるといわれているが、こちらもグローバルモデルかつ、国内でもヒットモデルだっただけに、トヨタとしても最大規模の販売数を狙う可能性が高い。現行型は6年もの間販売され続けたモデルなだけに、中古車相場は一気に落ちると予想される。(写真は現行型ヴィッツ)
ボーナス商戦
ユーザーの「買いたい」欲が高まる、6月と12月のボーナス時期は、新車だけでなく中古車にとっても狙い目となる。客の財布の紐が緩くなるということで、販売店側も店頭在庫を増やしたり、値引きする可能性が高いからである。さらに、ボーナス後は新車に乗り換えられた物件が中古車市場に豊富に並ぶ時期でもあり、そこもひとつの購入契機となる。
2020年
主なできごと
4月
・立皇嗣の礼 ・JR東日本「高輪ゲートウェイ駅」暫定開業
6月
・UEFA EURO 2020開催
7月
・東京オリンピック開催
8月
・第二次世界大戦終結75周年 ・東京パラリンピック開催
自動車業界のできごと
1月
・マツダ創立100周年
3月
・スズキ創立100周年 ・★年度末商戦
4月
・★スバル新型レガシィ発売 ・日産新型ジューク発売
6月
・★ボーナス商戦
8月
・★ホンダ新型N-ONE発売 ・トヨタ新型ランクル発売
年度末商戦
3月というのは、会社にとってその年度の最後の稼ぎ時として知られる時期。特に新車ディーラーでは、そこを狙って大幅値引きがバンバン発生するというのが昔から知られている。ただ同様に、中古車店でも比較的大きなチェーン店系の販売店では、店員にノルマが課されることがあり、その場合、値引きやサービスの追加が期待される。それまでの相場とよく見比べてみよう。
2019年のニューヨークショーで新型アウトバックが公開されており、そのスタイリングが予想されるレガシィツーリングワゴン。待望のハイブリッドが採用されるかも気になるところだ。現在は新車ラインナップから外れてしまっているが、日本で一時代を築いてきたモデルだけに、最終型からの乗り換えも増えるか。(写真は新型アウトバック)
2017年にフルモデルチェンジしたN-BOXに続き、2019年にはN-WGNもフルモデルチェンジ。そして、ホンダの「Nシリーズ」としては元祖となるN-ONEの新型登場は2020年が予想される。先行してモデルチェンジしたN-BOXの評価が高いだけに、その実力に注目が集まると同時に、N360のコンセプトを新型でも受け継ぎ、丸目ライトが採用されるかどうかも気になる。(写真は現行型)
まとめ
上手なやりくりで最高の相棒を手に入れる
いわゆる「若者のクルマ離れ」が騒がれて久しいが、その一番の理由は、クルマに費用がかかり過ぎることだと言われる。
たしかにクルマを購入するには、車両本体価格のほか、各種費用がかかり、購入後も、税金はもとより、燃料代や消耗パーツ代、人によっては駐車場代などもかかってくる。
しかし、かつての若者(今の年配者)は、若い頃からカーライフを楽しんでいた。時代は変わったといえばそれまでだが、購入時や日常におけるちょっとした工夫で、その費用というのは抑えることができるのだ。
クルマは便利な道具であると同時に、“いつでもどこでも”移動できる魅力的な相棒だ。そのルックスは自分のアイデンティティにもなる。まずは、どんなクルマが欲しいか、そしてそれにどれくらい費用がかかるか、考えてみてはいかがだろうか。