中古車購入
更新日:2022.03.30 / 掲載日:2021.11.10
マツダ CX-3/2015年~ 【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、マツダ
(掲載されている内容はグー本誌 2021年11月発売号掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2021年10月調べ。
CX-3は、マツダのコンパクトSUV。スタイリッシュなデザインに加えて、質感の高いインテリアやこのクラスでは希少なディーゼルエンジンが注目したい特徴だ。
2015年式 マツダ CX-3 XDツーリング(6速AT) ●全長×全幅×全高:4275×1765×1550mm ●ホイールベース:2570mm ●トレッド前/後:1525/1520mm ●車両重量:1260kg ●排気量:1498cc ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●最高出力:105ps/4000rpm ●最大トルク:27.5kgm/1600~2500rpm ●サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:215/50R18 ●中古車参考価格帯:90万円~260万円(15年~21年 ※全グレード)
圧倒的な高品質とディーゼルの力強い走り

まるでクーペのようなエクステリアデザイン
編集部●「CX-3」といえば、マツダで最も小さいSUVですね。
工藤●そうそう。マツダは日本で計5車種のSUVを展開しているけれど、CX-3は最も扱いやすいサイズ。車体構造のベースとなっているのは当時の「デミオ」、今は「マツダ2」に車名が変わったコンパクトハッチバックだ。
編集部●特徴はどこでしょう。
工藤●ひとつは美しいスタイル。プロポーションもデザインもエレガントで、こんなにスタイリッシュなコンパクトSUVはちょっと他にない。
編集部●たしかに、デビューから6年以上も経つのに古さを感じないルックスですね。見とれちゃいます。
工藤●もうひとつは、当初はディーゼルエンジンだけの展開としていたこと。デビュー時はディーゼルに追い風だったという背景もあるけれど、ガソリンエンジンがないという潔さには驚いた。その後、ガソリンエンジンが追加され、今は販売比率でもガソリン車のほうが多いけどね。
編集部●たしかに、ディーゼルエンジンの力強さと燃費のよさは魅力ですね。CX-3以外の国産ライバルでは選べないパワートレインです。
工藤●一方で、最新のライバルとはちょっと異なる部分もある。
編集部●どのあたりでしょう?
工藤●それは実用性。このクルマは使い勝手をあまり重視していなくて、後席や荷室が狭いんだ。
編集部●それは感じました。
工藤●ただしそれがCX-3のウイークポイントというよりは、当時の小型SUVのトレンドだったんだよね。流行の火付け役となった日産「ジューク」も、その後に大ヒットしたトヨタ「C-HR」もそうだった。実用性を割り切ってもスタイルで個性を演出するという、クーペみたいなポジションだったんだ。
Profile 工藤貴宏:学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
マツダCX-30と比較すると?

CX-3に対して車格としてはひとクラス上となるCX-30。車体サイズが全長4395mm×全幅1795mmとひとまわり大きいのに加えて、後席や荷室に広さを感じるのがCX-3との違いである。荷室容量はCX-3の350Lに対し、CX-30では430L。家族で使うならCX-30が魅力的だ。
中古車参考価格帯:180万円~300万円(17年~21年 ※全グレード)
[モデルヒストリー]
2015年2月:CX-3を発売

フルモデルチェンジや後継車ではなく新コンセプトの新規車種としてデビュー。コンパクトハッチバックであるデミオと車体の基本構造やパワートレインを共用しつつ、エンジンはディーゼルに限定。
2015年12月:一部改良

快適性向上をメインとする改良を実施。エンジンは従来オプションだった「ナチュラル・サウンド・スムーザー」を標準化し騒音を減らしたほか、フロントドアガラスを厚くして遮音性を向上している。
2016年10月:一部改良

制御の綿密化でエンジンの騒音をさらに抑制したほか、サスペンションの改良と「Gベクタリングコントロール」と呼ぶ新機能で操縦安定性と乗り心地も高めている。先進安全機能も水準を上げた。
2017年6月:ガソリンエンジンを追加

従来のディーゼル車に加え、2Lガソリンエンジン車もラインアップに追加。選択肢が広くなった。後退時に横から接近する車両を警告する機能を追加するなど、先進安全機能もバージョンアップした。
2018年5月:マイナーチェンジ

先進安全機能の向上、電動駐車ブレーキの採用、サスペンションのブラッシュアップ、快適性向上など大改良。ディーゼルエンジンは従来の1.5Lから1.8Lに排気量アップし、出力と燃費を向上した。
2020年5月:一部改良

1.5Lガソリンエンジンを新設定。価格設定の安い仕様を用意することで、より幅広いユーザーへ向けてCX-3をアピールしていくことになった。理想を求めてシート設計を変更するなど細部も進化。
[インテリア]クラスを超えた上質感はさすがマツダ
昨今のマツダはインテリアの仕立てに凝っていて上質感で同クラスのライバルをリード。それはCX-3にもあてはまり、ダッシュボードの中段やセンタークラスター(エアコン操作パネルなど備わるインパネ中央下部)の左右にレザー風のソフトパッドを張るなどクラスを超えた質感の高さだ。ナビとして活用できるディスプレイも標準装備している。


マニュアルミッションも選べる

トランスミッションは6速ATが主流だが、このクラスではめずらしいマニュアル(MT)も選べるのがうれしい。CVTではなくATというのもこのクラスでは少数派。CVTに比べてアクセル操作に対する反応が鋭く、運転感覚に優れている。
[メカニズム]ディーゼルエンジン搭載がライバルに対する魅力
ライバルに対する最大の魅力はディーゼルエンジンの搭載。加速が力強いのに加え、燃料の軽油は単価もガソリンより安いから財布にやさしい。加速の力強さは日常走行でも実感できるし、一方で長距離移動をする機会が多い人には経済的なメリットが大きい。運動性能の高さもマツダのこだわりで、峠道を楽しめるハンドリングも魅力。
BODY

プラットフォームを「デミオ」と共用しつつ、ひとまわり大きなアッパーボディを組み合わせて構築。骨格をできるだけ直線的にし、強度、剛性、そして軽さを高いレベルで両立した設計だ。
ENGINE

当初はマツダが得意とするディーゼルエンジンだけを搭載。デビュー時1.5Lだったその排気量は、2018年5月から1.8Lにアップ。これは出力と燃費性能の両方を引き上げるのがねらい。2017年6月末からはガソリンエンジンも選べるようになり、最初は排気量2Lガソリン、追って2020年5月からは1.5Lも追加されて選択肢が広がった。
i-ACTIVSENSE

衝突被害軽減ブレーキは、2016年10月の改良から作動範囲が広がると同時に歩行者検知も可能となり、後退時にも接触を防ぐために自動でブレーキをかける制御も搭載する。
お買い得感を求めるならガソリン仕様がねらい目?
編集部●後席や荷室があまり広くないとなれば、ファミリーカーには不向きでしょうか?
工藤●そういうこと。ただしマツダもその状況をただ傍観しているわけではなく、「CX-30」という車体をひとまわり大きくして実用性を高めたモデルを用意した。そのCX-30とCX-3でしっかりと棲み分けができているから、ユーザーの環境によって選び分ければいいんじゃないかな。いずれにせよ、美しさではCX-3だね。ところで中古車の状況はどうだろう?
編集部●グーネットを見ると約1000台が選べるので台数的には選択肢が豊富と言っていいでしょう。デビューした2015年から2018年にかけての個体が多く、2015年式でも150万円弱くらいが相場の中心になっているから新車価格に対して比較的高値で推移といえるかもしれません。
工藤●根強い人気があるんだね。
編集部●そういうことです。ただ、今後は順調に買いやすくなっていくのではないでしょうか。
工藤●2017年6月からは2Lガソリンエンジン、2020年5月からは1.5Lガソリンエンジンが追加になっていて、それらはディーゼル車よりも新車価格が安い。だからもう少し経つと、よりリーズナブルに購入できるCX-3が増えてくれる可能性が高いね。
[SPECIAL EDITION]専用インテリアを採用した特別仕様車に注目!
専用のコーディネートの特別仕様車も魅力。「エクスクルーシブモッズ」はディープレッドのナッパレザー(表面を柔らかく仕上げた本革)でプレミアムな仕立て。「ノーブルブラウン」はナッパレザーとグランリュクス(スエード調で繊細な肌触りが魅力の人工皮革)をブラウンでコーディネート。
エクスクルーシブモッズ

ノーブルブラウン

[インプレッション]マッチングのいい人とそうでない人がはっきりしている
CX-3とマッチングがいい人は、2人までの移動がメインのユーザー。後席や荷室容量を気にしないのであれば、美しいスタイルが魅力的だ。逆にオススメしないのは、後席や荷室の広さを重視するファミリーユーザー。スペースは広いとは言い難いので、CX-30を選んだほうが幸せになれるだろう。パワートレインはディーゼルがイチオシ。加速も燃費もいいからだ。エンジンの騒音は走り始めれば気にならない。ただし価格を重視する人であればガソリンエンジンも悪くない。2L仕様であれば動力性能も十分だ。
[マーケットデータ]

年式

グレード

ディーゼルを搭載し、装備も充実した「XDツーリング」が全体の半数を占める。ガソリン車はまだ少なめだ。
走行距離

3万km未満が全体の半数近くを占めており、コンディションのよい物件が揃う。買い時はしばらく続きそうだ。
工藤貴宏が注目するプリウスの「ココが○」
その1:美しいデザイン。スタイリングで選びたくなる小型SUV
その2:ライバルでは選べないディーゼルエンジンの力強さと燃費
その3:上質なインテリア。マツダの室内の高級感はライバル以上