車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.10.19 / 掲載日:2007.01.01
ホンダ エリシオン プレステージ 中古車購入チェックポイント
ホンダ エリシオン プレステージ 中古車購入チェックポイント
参考車両:2.4 S HDD ナビスペシャルパッケージ
初年度登録:2007 年11月
■全体のチェックポイント
新車時に高額で販売されていた高級ミニバン。年式が新しい車両は、丁寧に扱われていた可能性が高いといえる。ただし、ある程度年式が経ったミニバンは、最低限のメンテナンスしか行っていないことも少なくない。記録簿などを参考に、整備状態をしっかりチェックしよう。また、ファミリーユーザーの場合は、内装を汚してしまうことも多い。室内の様子を隅まで探ろう。車両がどのように使われていたかもチェックしたい。
1.車両の雰囲気を観察する
1.車両の雰囲気を観察する
外板パネルの立て付けや塗装の状態など、外観に不自然な部分がないか。やや離れた位置から、車両全体の様子を探ってみよう。
前面は、バンパー/グリル/ボンネット/ヘッドライトなどが並んでいるバランスを見て、左右対称になっていることも確認。
左右ヘッドライトを見比べて、片方だけ新しく感じたら(交換の疑い)、その側を修理している可能性もある。また、ナンバープレートの状態もチェックポイント。歪み(変形)や傷があれば、前面を修理している疑いがある。
2.後部のチェックポイント
2.後部のチェックポイント
後部も前部と同様に、バンパー/テールゲート/コンビネーションランプ(テールライト)などが並んでいるバランスをチェック。
テールゲートの立て付けを見て、全体に隙間が狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。右左片方だけに隙間の異常箇所があれば、その部分の車体部を修理していると考えられる。
また、後部ナンバープレートは、封印を剥がした傷に注意。テールゲート修理/交換をはじめ、車体後部の修理を推察するヒントだ。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
定期点検整備の記録とつき合わせて、ゴムホースやベルトの劣化など、消耗部品を中心にエンジンと周辺の部品をまずチェック。エンジンオイルのにじみや汚れ(オイル漏れの兆候)に注意。ブレーキやウォシャーの液量なども点検したい。
周囲と比べて新しく見える、交換している疑いのある部品が付いていれば、整備記録も調べて、交換した理由を探ってみよう。
4.車体内側の鉄板を調べる
エンジンルーム内は、左右フェンダー側のインナーパネル、室内とエンジンルームを隔てているダッシュパネルなど、大きなダメージを受けると走行機能面に不具合が生じる車体内側の鉄板が要チェックポイント。
樹脂カバーで覆われていることもあって、細部までチェックするのは難しいが、隙間から覗いて見える部分だけでも、歪みや修理跡などがないか確かめよう。
5.車体前部の必須チェックポイント
エンジンルーム内のいちばん前で車体の左右に繋がっている部品を調べよう。車体前部に強い衝撃を受けるとダメージが及びやすく、修理/交換する確率が高い。樹脂カバーがあって見づらいが、裏側から覗いてチェックしよう。
同時に、樹脂カバーやフロントグリル、ヘッドライトなど、関連する前部一帯の部品類に修理/交換の形跡がないかも確かめよう。
6.ボンネットのチェック
6.ボンネットのチェック
裏面に修理跡などがないか確認。表裏のパネルを貼り合わせている接合部の状態に注意しよう。
ボンネットを外して修理、あるいは交換するために、取り付けネジを脱着していないかも確かめよう。ヒンジ交換の形跡にも注意。
ボンネットを修理/交換していれば、他にも修理跡がないか、車体前部を詳しく探る必要がある。
7.立て付けと色調を見る
7.立て付けと色調を見る
車体前部から側面にかけては、フェンダーを中心に、バンパー、ヘッドライト、ボンネット、ドアなどが隣合わせになっている。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、どれかがダメージを受けてずれているか、修理/交換している(組み付ける際に位置が狂った)可能性が高い。
外板パネルの隙間を境に、隣り合う塗装の色調も比べてみよう。修理/交換していると、色艶が違って見えることがある。
前部から後部にかけて繋がっているプレスラインやサイドガーニッシュなどにずれがないかも確認しよう。
8.角度を変えると見える
8.角度を変えると見える
車体表面の傷や凹み、塗装などは、見る角度を変えながらチェックしよう。斜め方向から透かして見ると、見落としやすい浅くて広い凹み、あるいは波打ち(しわ)などの微妙な異常も確認できる。
しわが寄っているのは、衝撃を受けているか、板金修理跡だ。
また、部分的に塗装表面の艶が違っていたり、肌荒れ状態になっている箇所も、補修程度の場合もあるが、板金修理で塗装した修理跡の疑いがある。
9.ドアの内側もチェック
9.ドアの内側もチェック
ドアに損傷を負うと、外板パネルを剥がして修理することもある。縁の溶接部分をチェックしよう。特にシーラーの盛り方に違和感がないか注意しよう。
下部は錆が発生して補修、あるいは修理している場合もある。
10.車体側面のチェックポイント
10.車体側面のチェックポイント
側面に大きな損傷を受けると、ドアを交換することも多い。ヒンジ部の固定ネジを脱着した形跡がないかチェックしよう。
ただし、ドアの立て付け調整のためにネジを回すこともあるので、ネジだけ見てドア交換とは断定できない。ピラー(柱)など、周辺も詳しく調べて判断する必要がある。
11.スライドドアのチェック
11.スライドドアのチェック
外観からは、外板パネルに傷や凹みなどがないか、立て付けに狂いがないかチェック。問題がなければ、開け閉めして、動きを確かめよう。力を入れないと閉まらない場合は、調整が必要だ。
電動開閉式の場合は、開閉機能を何度か試してみよう。運転席のスイッチやリモコンキーでも操作してみよう。作動の不具合や作動音が大きい場合は、プロに判断してもらおう。
12.支えている部分を確認
スライドドアも、大きなダメージを受けると、外して修理したり、交換することもある。取り付け状態とあわせて、ドア自体を修理している形跡跡などがないかチェックしよう。
スライドドアを支えているアームや、スライドさせるレール(ドア開口部の上下と車体側面にある溝金具)に歪みなどがないか。ネジの脱着、交換の形跡などにも注意しよう。
13.縁も覗いてチェック
13.縁も覗いてチェック
フェンダーは、立て付けをまず確認。隣り合うパネルとの隙間が狂っていれば、フェンダーがずれているのか、それとも隣側のほうが合っていないのか調べよう。また、膨らんでいる部分に傷を付けることも多いが、傷を見つけたら凹みを伴っていないか確認。ホイールアーチ部(タイヤを囲んでいるフェンダーの縁)の鉄板を内側に折り込んでいる部分に修理跡などがないかもチェックしよう。
14.蓋を開けて内部を確認
14.蓋を開けて内部を確認
フューエルリッド(給油口部の蓋)も開けて、内部にマスキング跡や修理跡などがないかチェック。
リアフェンダーを板金修理するためにフューエルリッドを外すことがあるので、取り付け状態も確認。
フューエルリッドの色調がフェンダー部と違っていれば、リアフェンダーを修理していると考えていいだろう。
15.テールゲートから推察する
15.テールゲートから推察する
閉めた状態で立て付けが全体に狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。右左の片側だけに異常があれば、その側の車体部を修理していると考えられる。また、テールゲートを開閉して、スムーズにロックできない場合も、テールゲートのずれか、車体が歪みが考えられる。
16.取り付け部をチェック
大きなダメージを受けるとテールゲートを交換することもある。取り付けネジ脱着の形跡や、ヒンジと周辺に修理跡などがないかチェック。テールゲート自体の修理跡にも注意。
17.開口部を念入りに調べる
17.開口部を念入りに調べる
開口部には鉄板の接合部があり、溶接やシーラーなどの状態がチェックポイントだが、上側のルーフ部以外は樹脂カバーなどで覆われていているために確認は難しい。下側はコンビネーションランプやバンパーなど、各部品の取り付け状態と交換の形跡がないか調べよう。
また、テールゲートを修理/交換している場合は、周辺も修理していると考えられるので、車後部一帯を詳しく調べる必要がある。
18.減り具合と減り方を見る
18.減り具合と減り方を見る
タイヤは、スリップサインを目安に残り溝の深さをまず点検。
溝が十分に残っていても、減り方も調べよう。接地面の外側だけとか、内側だけなど、一部が極端に減っている偏摩耗があれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているのか、あるいは車体が歪んでいるのか確かめる必要がある。偏摩耗は車体前部のインナーパネルが変形して生じることもあるので、車体の状態を推察するヒントだ。
19.床下を覗いてチェック
19.床下を覗いてチェック
鉄板部をはじめ、マフラーなど床下の部品類、ステーやアームなど金具類をチェック。車体の前後左右から床下を覗いてみよう。損傷や凹み、歪みなどがないか。修理/交換の形跡などがないか確認。外観はきれいに修理しても、走行に影響がない見えない部分はそのまま手を付けていない(補修や修理をしない)ことがあるので、事故などで受けたダメージの痕跡を見つけることがある。
20.エンジンをかけてみる
20.エンジンをかけてみる
始動時の様子やアイドリング回転などをチェック。エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く煽って、スムーズに回転が上下するかどうかも試してみよう。
容易にエンジンがかからないのは、バッテリーが原因の場合もあるが、念のためにショップのスタッフに発電状態を点検してもらうといいだろう。また、エンジンから異音や大きな振動が出ていれば、なんらかのトラブルを抱えている可能性がある。
21.装備機器類の機能を確認
21.装備機器類の機能を確認
ヘッドライト、ウインカー、ハザード、テール/ブレーキ/バックランプなど、保安機器類の作動をまずチェック。エアコンやオーディオなど、電装機器や電動機構などは、スイッチを入れるだけでなく、調整操作して機能を確認。
パワーウインドウの開閉や後部席ランプ点灯などを忘れることが多いので注意しよう。車両の装備内容を事前に確かめておけば、チェック漏れを防ぐことができるはずだ。
22.オートマチックのチェック
22.オートマチックのチェック
エンジンをかけてブレーキを踏んだまま、PからDへ、NからRへなどにセレクトレバーを操作して、引っかかりやゆるみ(ぐらつき)などはないか、切り替え時にショックがあるなどの異常がないか試してみよう。
できれば試走して、ギヤが切り替わる時に大きなショックが発生しないか、変速時間が長すぎないかを確認したい。
23.隅まで細かくチェック
シートや内装材などの汚れや傷、破れ、穴などの有無に注意しながら、前席の周囲だけでなく、2列目や3列目席、ラゲッジスペースまで、念入りにチェック。床や天井の状態も確認しよう。
各所にある樹脂部品の傷や欠損、取り付け状態にも注意。蓋などの可動部も動かしてみよう。
■車両の情報を確かめる
車両をチェックする際には、備え付けの書類を確認しよう。「車検証」で初度登録年月日と型式などを確認。「保証書」で保障内容と期限を確認。他に、「車両取扱説明書」だけでなく、追加装備などの説明書が揃っていることも確かめよう。
車体のチェックに欠かせないのが「定期点検整備記録簿」。必ず記載内容を調べよう。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。記録簿を備えていない、整備歴が不明な車両を購入するのは避けたほうが賢明だ。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。
●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。
●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。
●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。
●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。
●車体各部はスポット溶接している(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性がある。
●バンパーなどは押されてずれることもあるが、たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
■今回の車両のプロフィール
●2007年1月に「エリシオン」がマイナーモデルチェンジした時に、スポーティな最上級モデルとして追加された「エリシオン プレステージ」。エクステリアは前後ともエリシオンと差別化されて、前部は大きなフロントグリルや大型ヘッドレスト、後部はガーニッシュと連続した大型テールランプなどがエリシオン プレステージの特徴となっている。
また、300馬力(4WDは279馬力)を発生するV型6気筒「3.5」リッターエンジンを搭載し、18インチアルミホイールや専用サスペンションチューニングなども加えて、走行性能でもスポーティさを高めた仕様になっている。
2007年8月には、直列4 気筒「2.4」エンジンを搭載した新タイプの「S」を追加。あわせて「HDD ナビスペシャル パッケージ」追加設定している。
仕様グレードは、3.5にベーシックな「SG」と上級の「SZ」の2タイプ、2.4は「S」の1タイプを設定。
標準のSGに対してSZは、追突軽減ブレーキ(CMBS)、HDDナビゲーションシステム、スマーキーシステム、オートライトコントロール、本革&木目調コンビステアリングホイールなどを装備している。
「HDD ナビ スペシャル パッケージ」は、SGとSをベースに、HDDナビゲーションシステム、リア右側パワースライドドアなどが追加されている。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
3.5(3471cc)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
SG | DBA-RR5 | 5AT | FF |
DBA-RR6 | 5AT | 4WD | SG HDD ナビスペシャルパッケージ | DBA-RR5 | 5AT | FF |
DBA-RR6 | 5AT | 4WD | SZ | DBA-RR5 | 5AT | FF |
2.4(2354cc)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
S | DBA-RR1 | 5AT | FF |
DBA-RR2 | 5AT | 4WD | S HDD ナビスペシャルパッケージ | DBA-RR1 | 5AT | FF |
DBA-RR2 | 5AT | 4WD |