車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.06 / 掲載日:2015.02.26
【徹底紹介】アウディ A4

激戦区で育まれたアウディの品質神話

ドイツプレミアムの3強が、長きにわたって激しいバトルを繰り広げているのがDセグメント。開拓者はBMW3シリーズで、その成功を追ってメルセデスが190シリーズ(後継はCクラス)を送り出し、90年代半ばになってアウディがA4で参戦したというストーリー展開だ。
だが、ファンには言わずもがなだが、A4のルーツは80シリーズ。それを考えれば、アウディはこの分野の最古参という見方もできるのだ。
長い伝統を物語るのは、現行A4に与えられた「B8」のコードネーム。これは、アウディ区分における「Bセグ」(一般的にはDセグ)の原点である初代80から数えて、8代目にあたるモデルという意味。重ねてきた歴史は今年で43年になる。
その系譜において、まるでブレずに継承されてきたのは、縦置きFFをベースとする駆動レイアウト。80年代に、そのメカ配置を活かしたフルタイム4WDのクワトロも加えて、アウディはライバルにない個性と魅力を構築することに成功した。

そして、94年に80(上級の90を含む)からA4に発展した際には、造形の洗練度や内装の質感を1つ上のレベルへと高め、自他共に認める真のプレミアムモデルとなった。そこからのA4の快進撃は、いまさら説明する必要はないだろう。
現行の「B8」で注目すべきは、大胆にバランスを修正したプロポーションと、大幅なレベルアップを図った操縦安定性。そのカギを握るのは、前車軸の前出しという、根本のレイアウトからの設計の見直しだ。具体的には、前輪用プロペラシャフトを追加することで前車軸を154mm前進させ、ホイールベース延長(165mm)とフロントオーバーハング短縮(68mm)を実現した。
これが、美しい容姿とスポーティな操縦性、そして一段と高いスタビリティを実現できた秘密。2012年春の改良では、グリル、バンパーやランプ類をリニューアルすることで、造形の完成度をさらに高めた。
文●森野恭行 写真●GooWORLD
お問い合わせ●アウディコミュニケーションセンター TEL:0120-598-106
Detail
アウディ A4 2.0TFSIクワトロ(7速AT・Sトロニック)
全長×全幅×全高 | 4720×1825×1440mm |
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ホイールベース | 2810mm |
トレッド前/後 | 1550/1535mm |
車両重量 | 1680kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1984cc |
最高出力 | 211ps/4300-6000rpm |
最大トルク | 35.7kg m/1500-4200rpm |
サスペンション前/後 | 5リンク/トラペゾイダル |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 245/45R17 |
新車価格
A4 2.0TFSI(7速AT・Sトロニック) | 467万円 |
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A4アバント 2.0TFSI(7速AT・Sトロニック) | 496万円 |
A4 2.0TFSIクワトロ(7速AT・Sトロニック) | 554万円 |
A4アバント 2.0TFSIクワトロ(7速AT・Sトロニック) | 583万円 |
A4オールロードクワトロ(7速AT・Sトロニック) | 636万円 |
モデル主要変遷
2008.03 | A4セダンをフルモデルチェンジ フロントオーバーハングを短く、ホイールベースを長くすることで走りと乗り心地を向上。1.8Lと3.2Lの2モデルを設定。 |
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2008.08 | A4アバントを発売 エレガントなスタイルのステーションワゴンが登場。先代モデルから48L増の490Lの荷室容量を誇り、実用性を高めた。 |
2009.05 | S4/S4アバントを発売 高性能モデルS4/S4アバントが登場。333馬力の3.0TFSIを搭載する。またA4には「2.0TFSIクワトロ」が追加された。 |
2009.08 | 一部改良 小型ドアミラー、LEDリヤコンビネーションランプ、アウディサイドアシストなどを新設定。3.2Lモデルは燃費が向上した。 |
2009.12 | 装備の仕様変更 全モデルに最新世代のHDDナビを搭載したMMIを新採用。地デジTVやDVDの視聴などエンターテイメント機能も充実する。 |
2010.07 | 一部改良 1.8Lターボのエントリーモデル「1.8TFSI」の装備が充実し、225/50R17タイヤとアドバンスキーが標準装備化された。 |
2010.11 | A4オールロードクワトロを限定発売 2.0TFSIエンジンとクワトロを組み合わせ、最低地上高を160mmに底上げしたクロスオーバーモデルを導入した。 |
2011.04 | 「2.0TFSI」を発売 2Lターボを搭載したFWDの「2.0TFSI」が登場。最高出力180馬力を誇りながら、エコカー減税対象車となった。 |
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2012.04 | マイナーチェンジ 内外装のデザインを大幅リニューアル。スタート&ストップシステムや電動パワステの採用で燃費性能も向上した。 |
2013.04 | 一部改良 「2.0TFSI」および「2.0TFSIクワトロ」に、フロントシートヒーターとリヤビューカメラ付きパーキングシステムを標準装備。 |
2013.04 | RS4アバントを発売 A4シリーズ頂点に位置する高性能モデル。アバントをベースに450馬力の4.2L V8+新開発7速Sトロニックを搭載する。 |
2013.07 | 装備の仕様変更 A4/A4アバントに専用外観パーツ、ブラックヘッドライニング、スポーツサスをセットにしたSラインをオプション設定。 |
2013.10 | 新型A4オールロードクワトロを限定発売 マイナーチェンジ後のA4アバントをベースとしたオールロードクワトロが限定導入。本革シートの豪華仕様となっている。 |
2014.08 | A4オールロードクワトロをカタログモデル化 人気のA4オールロードクワトロが正式にカタログモデルとなった。豊富な内外装の仕様を選べる。快適装備も充実。 |
妥協のないクオリティに揺るぎない評価

ホイールベース延長の効果は、前後重量配分の適正化や乗り心地のフラットライド化だけでなく、キャビンスペースの拡大にも活きている。具体的には後席足元空間が29mm広くなり、くつろぎ度が高まった。
A4セダンはいまや、セダンボディを加えたA3に下から迫られる立場になったが、トータルの質感や快適度は当然のようにA4のほうが上。インパネの細部のつくりやスイッチ類の操作感、シートの掛け心地などに、格の違いが表れている。
ただし、エンジンが縦置き配置で、ミッションを収めるトンネル部の張り出しが大きいため、右ハンドル車は運転席足元の左側スペースの余裕が少ない。とはいえA4のコクピットは、そもそもルーズに座るのではなく、きちんとしたドラポジを取るように設計されているから、不満を覚えるドライバーは少数派だろう。
そしてクオリティ。デビュー7年を迎えても、クラストップレベルの評価をキープするのは、さすがアウディと言っていい。マルチメディアインターフェイスのMMIや、好みの走行モードを選べるアウディドライブセレクトといった、先進のアイテムも積極的に採り入れている。
加えて、人気のSラインパッケージは、スポーツシートやパドル付きレザーステアリング、マットブラッシュトアルミニウム・デコラティブパネルまでを標準で装備。スポーティ指向のファンに、大きな満足を提供する絶妙な仕立てとなっている。
パドル付きレザーステアリングにもSラインのロゴが入る。
シンプルながら精緻。メーターのつくりもアウディらしい。
トランク容量は480L。分割可倒式シートを倒せば962Lとなる。
スポーティアイテムで身を固めたSラインパッケージはA4でも好評。
フェイスリフト後のモデルは、LEDリヤコンビランプの造形もよりモダンになった。
Sラインはスポーツサスを標準装備。タイヤは40扁平18インチが標準だが、撮影車はオプションの35扁平19インチを履く。
多彩なテクノロジーが支えるベストパフォーマンス
日本仕様の心臓はすべて直噴ガソリン。主力は過給機付きのTFSIで、いまはターボ付き直4.2Lと、スーパーチャージャー付きV6・3L(S4用)を展開する。メカ的にユニークなのはRS4で、心臓はレブリミット8500回転を誇る4.2Lの自然吸気V8。これに、クラウンギヤ式の特別なクワトロメカを組み合わせる。
クワトロ用のミッションは、かつては6速ATもあったが、現在は7速デュアル・クラッチ・トランスミッションのSトロニックで統一。そしてFFモデルには、アウディがマルチトロニックと呼ぶCVTを採用する。
卓越した品質を共有する個性豊かなラインアップ
いまの代となり、クーペ系は「A5」として独立したが、それでもA4の車種構成は充実している。ワゴンの「アバント」はもちろん健在で、そこにSUVの魅力を加えた「オールロードクワトロ」も現在はカタログモデルとして存在する。で、特別な速さを求めるひとのためには、S4とより過激なRS4アバントを用意している。
アバント
アバント
S4
S4
RS4
RS4
さらなる洗練を極めた現行モデルの走り

改良ごとに走りの熟成度が進むB8世代のA4。とくに2.0TFSIクワトロ・Sラインパッケージの完成度は高く、さまざまな場面で高度なドライビングの喜びを味わわせてくれる。
先代のB7までのA4は安定性重視の性格で、運転好きを喜ばせるようなエンターテイメント性は持ち合わせてはいなかった。だが、基本から設計を見直したB8は、走りの資質を大きく高めるとともに、味つけもスポーティ方向に修正している。
その好例は、2.0TFSIクワトロをベースに、スポーツサスと超扁平タイヤを組み合わせたSラインパッケージだ。基本の前後トルク配分をリヤ寄り(40対60)に変えてからのクワトロは、「曲がる」ことも得意とするが、とくにこのモデルのフットワークは洗練されている。
電動パワステを使う近年のアウディの中には、高速域でステア中立を締めすぎている例もあるが、現行A4のSラインは十分にナチュラルなしつけ。クワトロらしい「ビシッ」とした高速走行の安定感と、思わず峠道を攻めたくなるような正確かつファンなハンドリングを両立させている点を、とても好ましく思う。
しかも乗り心地も良質。オプションの19インチタイヤを履いても、直接的なゴツつきとは無縁で、中高速域ではフラットな乗り心地を提供してくれるのだからうれしい。
さらには、エンジンのフィーリングが向上し、Sトロニックの洗練度も高まったのだから、いまのB8はまさしく「完熟の域」といった印象だ。
アウディの真髄を味わうならクワトロモデルを選びたい
まずはボディタイプだが、王道を行くのはやはりセダン。だが、レジャーユースを考えるなら「アバント」は見逃せない存在で、最低地上高に40mmの余裕を加えた「オールロードクワトロ」を選べば活動範囲をより広げることができる。また、スタイリッシュさにこだわるなら、兄弟車のA5スポーツバックを選ぶという手もある。エンジンについては、価格や経済性を含めてもっともバランスがいいのは2.0TFSI。180馬力のFF用と比べて、クワトロ用は211馬力とよりパワフルでスポーティな性格だから、速さを求める人をも満足させるはずだ。
中古車市場データ
中古車市場データ
初期型なら100万円台後半という予算でもねらえる。グレードは、2.0TFSIのFWDがもっとも多く、次に同クワトロ、1.8TFSIと続く。なお、後期型になると相場がかなり高くなる。