カー用品・パーツ
更新日:2023.01.31 / 掲載日:2023.01.31
意外と知らない「発煙筒」有効期限は4年! いざという時に使える準備を
ウィズコロナに向けた新たな段階への移行が進んでいることを示す、象徴的な出来事の一例として、高速道路の交通量増加が挙げられる。しかし同時に、高速道路におけるトラブルの増加という負の側面もコロナ禍前の状況に戻りつつある。
外出自粛の緩和や全国旅行支援の実施などで高速道路の利用頻度が高まっている今こそ、非常時に身の安全を守るために不可欠な「発炎筒」の交換について考えてみよう。
高速道路利用者数は着実に回復
3年ぶりに行動制限が撤廃されたことで、昨年のゴールデンウィーク期間の高速道路の平均日交通量は、前年比136%と大幅に増加した。小型車に限れば同145%である。お盆期間も前年実績を約50%上回っており、コロナ禍前には及ばないものの、着実にクルマで旅行を楽しんだり、帰省したりする人が増えていることがうかがえる。
その一方で懸念されるのが、それに伴って高速道路における路上故障が増えていることだ。JAFによると、高速道路におけるロードサービス受付件数は、ゴールデンウィーク期間中が前年比131.9%(614件増)、お盆期間中が同133.6%(781件増)であった。
非常時に活躍する「発炎筒」
事故などでやむを得ず高速道路上で停車しなければならない場合、安全確保の観点から、ドライバーは車両を路側帯などに移動させた後、車両から速やかに離れる必要がある。車内や周辺に留まった結果、後続車両の追突を受けて死亡するケースがあるためだ。
この高速道路上での不測の事態における対応方法に関しては、警察庁や各高速道路会社などが公開しているマニュアルがある。それによると、緊急停車時は発炎筒などの非常信号用具や停止表示機材によって後続車に停止車両の存在を知らせるとともに、車内に残らずガードレールの外脇などの安全な場所に避難することが求められている。
この際に重要な役割を果たすのが「発炎筒」だ。発炎筒は明るい炎や煙によって後続車両に危険を知らせ、その間にドライバーが停止表示機材を設置し、車両から避難することができる。
発炎筒の有効期限は4年!!期限切れの発炎筒は性能が低下

発炎筒は正式名称を非常信号用具といい、道路運送車両の保安基準第43条の2により設置が義務付けられている。その性能基準は道路運送車両の保安基準の細目を定める告示に定められており、JIS規格D5711「自動車用緊急保安炎筒」の規格またはこれと同程度以上の性能を有しないものは基準に適合しないとされている。その一環としてJIS規格D5711には「有効期限4年」と明記されている。
発炎筒最大手の日本カーリットによると、同社製の発炎筒は昼間では600m以上、夜間では2㎞以上も先から確認できる、非常に明るい赤色炎を5分以上持続する。また、JIS規格で定められた18m/秒、50㎜/時の風雨下でも確実に性能を発揮し、後続車への注意喚起を通じて追突事故などの二次被害を防止する。
しかし、この性能が確実に担保されるのは「製造後4年間」にとどまる。そのため、有効期限切れの発炎筒は、「着火しづらい」「炎が小さい」「雨、風によって炎が消える」などの問題が生じかねない。この場合、いざという時のための安全装備にも関わらず、その肝心な時に本来の性能が発揮できない恐れがあることは言うまでもない。
ところが、有効期限内での交換が進んでおらず、性能が低下した古い発炎筒が積まれたままになっている車両が少なくないのが実情である。
その理由は、発炎筒への意識の低さだ。自分のクルマに発炎筒が搭載されていることさえ知らないユーザーもいるなど、「定期的に交換しなければならないもの」という認識が低いことが挙げられる。
そのため、いざという時のための安全装備としての状態を保ち続けるには、車検・点検など整備の機会に交換を行うことが不可欠だ。
発炎筒の定期交換も整備の一環 ユーザーの意識改善も図ろう

炎筒の性能を維持するために定期交換を行うことは、整備の一環として必要不可欠なことだ。前述の通り、ドライバーの発炎筒への関心は高いとはいえないが、高速道路上など危険性の高い場所で身の安全を守るために果たす役割は大きい。そのため、図のような非常時に安全を確保する方法を認識し、発炎筒の交換はきちんと行っていく必要がある。
「発炎筒の交換促進」と「発炎筒の適切な利用方法の認知」をセットで行うことで、万が一高速道路上などでやむを得ず停車する場合に適切な行動が取れるようになるはずだ。今一度、発炎筒の「4年に1度の交換」を意識してみよう。
【用品トピックス】プラスアルファの安心感!緊急脱出用にピック付き発炎筒を

近年、台風やゲリラ豪雨など突発的な災害により車両に閉じ込められる事故が発生している。
昨年9月に発生した台風14号の影響により、各地で暴風や記録的な大雨などの被害が発生。特に大雨特別警報が出ていた宮崎県都城市ではクルマに取り残された男性が死亡するなど、河川の氾濫による多数の被害が出た。
こうした閉じ込め事故時に身の安全を確保するには、サイドガラスを割って脱出することができる「緊急脱出用ハンマー」が不可欠だ。一方で、ハンマーは閉じ込めの際にガラスを破壊するためだけの限定的な機能しか持たないため、あまり普及は進んでいない。
しかし、発炎筒の先端に窓ガラスを破壊するための金属を取り付けた「緊急脱出用ガラス破壊具付き発炎筒」であれば比較的導入しやすいのではないだろうか。通常の発炎筒同様、発炎筒ホルダーに設置できるため、新たな場所を必要としない特長を持つ。それに加えて、通常の発炎筒+数百円で導入できるため、コストパフォーマンスに優れるというメリットもある。
日本カーリットでは「スーパーハイフレヤー+ピック」を販売している。どんなクルマでも、公道を走行する以上は発炎筒を備えている。常備品に、いざという時の備えが付いていることで、より安心してクルマを利用できるようになるはずだ。
出典:アフターマーケット 2023年 1月号