カーライフ
更新日:2024.01.29 / 掲載日:2024.01.29
電気自動車を買って試す本音レポート リアルEVライフ[自宅充電器設置工事]の巻]
文と写真⚫︎ユニット・コンパス
取材協力⚫︎増渕電気
日本はもちろん、世界的にシェアを拡大している電気自動車(EV)。グーネットマガジンでも「新車試乗レポート」や「グーEVテスト」で、注目モデルのレポートを都度発信しているが、となると次に気になるのが「実際に買って暮らしてみる」というテーマだ。そこで、編集部Oが実際に買って、いろんな状況で試してみることになった!
第3回目では、自宅に充電器を設置する際の話。そもそもどのような設備があるのか?など、基本的なことをパナソニックに教えてもらった。
さて、今回はいよいよ充電器設置工事の話。一般的には車両の販売店に紹介してもらうか、自身で調べた施工工務店に依頼するケースが多いが、今回は話の流れ上、パナソニックに工務店を紹介してもらうこととなった。登場いただいたのは、増渕電気の今村さん。増渕電気はパナソニックのエキスパート工事店に登録されており、パナソニックリニューアルコンテストで数々の受賞歴を持つプロフェッショナルだ。
前回の記事はこちら▼
現地調査はとても大事
今村さん「工事の流れは『問い合わせ、見積もりの依頼』→『現地調査』→『見積もりの提示』→『工事の依頼』→『施工』→『支払い』となるのですが、我々がとくに大切にしているのが『現地調査』です。EVコンセントを取り付けたいというユーザーさんは、ある程度下調べされている方が多いのですが、そこで判断しかねることなどを、アドバイスをさせていただきながら話を進めさせていただいています」
事実、編集部Oは「3kW仕様の充電ケーブル付き壁掛けタイプ」と決めていたものの、この現地調査で今村さんと話をしながら最終決定を下した。
編集部O「最初にパナソニックさんからアドバイスをいただき、3kW仕様の充電ケーブル付き壁面取付タイプにしようと思ってはいたものの、さまざまな工事を行なっている施工工務店との話で、想定外の発見があるかもしれないなと」
今村さん「現地調査では、ユーザーさんが充電される車両と駐車位置をまず確認し、続いて機器の設置場所をどうするかを考えていきます。電気は分電盤か電気メーターから取り出すことができまして、今回は電気メーターから接続する方法は、玄関を跨いでの配線が必要なのでNGとし(図1参照)、より駐車位置に近い分電盤から配線をするのがベストとご提案しました」
編集部O「下調べしていたときは、配線は分電盤からのみだと思っていたのですが、電気メーターからも可能なんですね」
今村さん「電気メーターからの分岐も、スマートメーターと呼ばれる新しいタイプでは可能です。分電盤にあるブレーカーを上げ下げする昔の電気メーターからは残念ながらできないです。いわゆるメーターの窓がガラスになっているタイプですね。新しいタイプのスマートメーターであれば、その中に電気を使いすぎるとカットする機能が付いていて、分岐することができるようになりました」
編集部O「なるほど、家の設計によっていろいろとあるんですね」
今村さん「今回は駐車場に近い脱衣所の分電盤から電気をとるということで、続いて分電盤の容量と空き回路の確認を行います。3kW仕様ということですから、とくに問題はありませんでした」
編集部O「ちなみに6kW仕様する場合は大変なのでしょうか?」
今村さん「使用する電気の容量が増えますから、電気契約そのものを変更しないとできない場合があるのと、自宅にきている電線が細い場合はその線も太くしなくてはならない場合もあります」
編集部O「電線ですか!」
今村さん「たとえばOさんのご自宅は200Vじゃないですか。これは単相3線式といって外から3本の電線が入っているのですが、電気の契約が30Aなど小さい場合はその線が2本(単相2線式)の場合があるのです。その場合、単相3線式にする契約をして電気の設備も全部変えなくてはならなくなり、それに10万円ぐらいかかってきます。もちろん、現地確認ではそういうところもすべてチェックしています」
続いては、脱衣所の分電盤から取付場所までの配線経路の確認という流れ。
今村さん「分電盤からどのようにして電源を取り出すかということで、まずは浴室の天井点検口をチェック。分電盤からの配線がどのようになっているか見ます。また、同時に脱衣所の床下点検口も見ながら外壁側へどうやって配線をもっていくかまで確認して、現地調査は終了となります」
現場では今村さんがスマホで「どのコンセントがいいですか?」など、細かく編集部Oに確認。仕様がすべて決まったら、装着する機器を発注。機器が届くタイミングで、実際の工事が行われた。
配線完了! 施工は家全体のことを考えてくれる工務店がオススメ
今村さん「前回しっかり現地調査をさせていただいたので、工事は黙々と作業をこなすという感じです」
編集部O「いちばん難しい作業はどのあたりでしょうか?」
今村さん「やはり見た目を美しく仕上げたいので、できるだけ配線を隠したいという思いがあります。そのため、今回は分電盤からの配線を壁の中を通しながら外壁の下の部分から引き出しました。機器までの経路をいかに無駄なく違和感なく仕上げるかが腕の見せどころです(笑)」
編集部O「脱衣所に『EV用のON / OFF スイッチ』を新設することをオススメいただきましたが、これはよさそうですね」
今村さん「外部の機器には常に電気がいってます。そのため充電設備が道路際にあった場合は電気を盗まれる心配があるのです。Oさんの機器設置場所は玄関に近いためその心配はあまりないのですが、任意にON / OFFできるスイッチは、心理的にもオススメできます」
作業は3時〜4時間で終了した。
編集部O「いろいろとありがとうございました。最後にEVコンセントを装着したいと思っている読者の方へ、アドバイスをいただけるとうれしいです」
今村さん「手前味噌ではありますが、家全体の電気使用のことを考えて施工してくれるところを選んでほしいですね。たとえば、EVコンセントを付けることはできるけど、付けることによって電気の使用量も変わるわけですから、仕上がりや予算はもちろん、それらを見据えたアドバイスもしてくれるところがオススメです。これはクルマの販売や整備もいっしょですよね!」
【今回の費用/EVコンセント工事】
ELSEEV Cabi BPE221 パナソニック | 1台 | 8万8000円 |
本体設置工事 | 1式 | 3万8000円 |
分電盤〜取付箇所まで | 5m | 1万円(1m=2000円×5) |
分電盤作業 漏電ブレーカー | 1式 | 8000円 |
壁穴あけ加工 | 1箇所 | 4000円 |
EVコンセントスイッチ WTC52631W02 | 1ケ | 2200円 |
税抜合計価格 | 15万200円 | |
消費税等 | 1万5020円 | |
計 | 16万5220円 |
左から増渕電気の今村さん、岡村さん、石井さん。作業中の無駄のない動きはさすがプロ。細かな質問にも丁寧に対応してくれる。
有限会社 増渕電気
取締役社長 今村勝也さん
これまでEVコンセントの取付実績は100件以上で、パナソニックのリニューアルコンテストでは『2020年大賞(全国1位)/2021年金賞(首都圏1位)/2022年金賞(首都圏1位)』を受賞するなど、その技術力がメーカーからも高く評価されている。「EVを取り巻く環境は刻一刻と変化していくので、我々も日々勉強しながら、最適なアドバイスをできるよう心がけています(今村さん)」
増渕電気ホームページ
施工工務店はどう選ぶ?
・最低限の知識は持ち合わせておくべき
・販売店からの紹介か、独自に調べた施工工務店か
・家全体の電気の使い方をアドバイスしてもらえるのがベスト
次回予告
納車後ン千km達成! EVライフと暮らしてみて何が変わった?
編集部O プロフィール
自他共に認めるクルマ好き、キャンプ好き、ウインタースポーツ好きにして、気になることは徹底的に調べるのがモットー。今回は企画を成立させるために、ローンを駆使して自らEVを購入。これからEVにまつわる諸問題に体当たりしていきます!