カーライフ
更新日:2023.12.06 / 掲載日:2019.10.18
電気自動車の充電は自宅(家庭)でできるのか
ガソリン価格の高騰や環境の問題から、近年人気の電気自動車(EV:Electric Vehicle)ですが、充電の方法や充電スタンドの利用方法等、充電に関する情報の不足などで、電気自動車の購入を迷っている方も多くいます。
充電は専用スタンドでしかできないのでしょうか?
それは”NO”です。自宅でも設備を整えれば電気自動車へ充電することは可能です。
電気自動車の充電スタンドは、ガソリンスタンドに比べて数が少ないため、自宅での充電が基本となります。充電スタンドは、外出先での非常用として利用するのが電気自動車ユーザーの基本スタイルとなります。
電気自動車のしくみ

ガソリンエンジンを搭載した自動車は、ガソリンを燃焼させて車を動かしますが、電気自動車は電動モーターを搭載し、電力を使用して車を動かします。
電気を蓄える装置には、「鉛電池」「ニッケル水素電池」「リチウムイオン電池」が実用化されており、蓄電装置(バッテリー)の違いは、エネルギー密度(エネルギー密度が大きいと一度の充電で走行できる距離も伸びる)や寿命の違いなどに表れます。
また、100%電気自動車よりも人気なのはプラグインハイブリットカー(plug-in hybrid car)ですが、こちらも専用器具を使えば、自宅のコンセントから充電することができます。
電気自動車には国際的標準がある
電気移動車の充電には国際標準があり、「国際電気標準会議」で承認されます。日本発のEV用急速充電規格「チャデモ(CHAdeMO)」は、2014年4月の国際電気標準会議(IEC)で承認され、DC充電ステーション、通信プロトコル、コネクターの3件とともに国際規格となりました。
この国際規格の充電システムを採用している電気自動車の場合の自宅充電について、ここでは案内します。しかし、一部の電気自動車は、接続コンセントの形状や充電に必要な電力量も違うので、メーカーに確認しましょう。
電気自動車の自宅充電Q&A
Q.自宅のコンセントで充電できるの?
A.
自宅のコンセントを利用して充電をすることができますが、そのまま充電器具を指して充電を開始しても、ほとんどの場合、工事しないままでは使うことができません。自宅用は100Vか200Vの2種類の普通充電用のコンセントを設置できます(電気自動車の車種により対応できるタイプが限定されます)。
電気自動車の充電には多くの電力(200Vだと20Aが必要)が必要なので、工事して専用の回路を用意して専用ブレーカーにしないと、電力不足でブレーカーが落ちることや、大電流通電時に温度が上昇して発火の危険などがあるからです。EV充電用コンセントの設置工事は、電気自動車の充電場所にもよりますが、一般家庭のガレージを充電と保管場所にする場合では、10万円ほどの工事費用になります。マンションの駐車場など、駐車場のタイプで充電設備の設置要件が異なるため、管理組合に確認しましょう。
Q.充電設備工事はどの業者でも良いの?
A.
できれば、電気自動車のディーラーから業者を紹介してもらうことをおすすめします。
Q.充電ケーブルは何でも良いの?
A.
充電の際は、必ず自動車に付いている付属の専用ケーブルを使いましょう。市販のケーブルを使うと、加熱や発火など事故の原因となり大変危険です。
Q.普通充電にかかる時間はどれくらい?
A.
一般的には、200Vで7.8時間、100Vで14.15時間です。200Vの場合、電気料金の安い夜に充電すれば翌朝に間に合います。
Q.自宅充電の電気代は?
A.
管轄する電力会社などにも違いはありますが、夜間の電気料金の安い時間帯を利用して充電すれば、昼間の3割ほどの電気料金で充電することができます。ちなみに、従量電灯契約などの契約の場合、昼間と夜間の電気料金に違いはありません。
Q.自宅と充電スタンドの充電に違いはあるの?
A.
電気自動車の充電は、基本的に自宅やプライベートな場所でおこないます。スタンドや高速のPA・道の駅・商業施設などに設置されている充電設備は、旅行などの長距離移動や渋滞などの不測の事態に対応するためにおこないます。
両者の違いは、「普通充電設備」か「急速充電設備」かに分かれます。普通充電設備は100Vまたは200Vで、充電には200Vでも7・8時間必要です。対して急速充電設備の場合、30分ほどで充電が完了するため、高い電力と高額な設置費用が必要です。
電気自動車の自宅充電設備を設置するのにかかる費用
自宅で車の充電をするための設備の設置費用は非常に気になるところでしょう。これについては、およそ7万円から10万円前後が相場となっています。ディーラー、一般の配置業者いずれに依頼した場合でも、金額はあまり大きくは変動しない傾向があります。
なお、ディーラーで電気自動車を購入したのであれば、キャンペーンなどと組み合わせて、設置費が無料となっているような場合もあります。したがってそうしたキャンペーンの有無も、電気自動車の購入の際には併せて気にしておきたいところです。
また、利用できる補助金制度などがないかどうかも確認しておくと良いでしょう。
自宅に充電設備がないと電気自動車は乗れない?

なお、自宅の充電設備は、あった方が車の電池切れの心配が小さくなる分便利であることはいうまでもありませんが、電気自動車の利用に必須ではないという意見もあります。たとえば、都心部や人口集中地であれば、一般施設にも充電設備がある程度ある場合もあり、自宅になくとも代用できる場合があります。
たとえばよく自動車を利用するエリアや自宅付近を中心に、充電可能なスポットがある程度見当たるのであれば、そうした場所での充電で十分不便なく活用できるということもありえます。
なお、日産のZESP2の会員となっていれば、対応する充電器は使い放題となります。費用は月額2,000円であり、これはガソリンと比較しても非常に安いといえます。このように、自宅に限らず自動車をよく利用するエリアに対応充電器があるのであれば、充電に特に不便を感じなくて済むだけでなく、これまでガソリン車にかかっていたガソリン代などを大幅に節約できる場合もあります。
まとめ
電気自動車はまだまだ社会に普及し始めた段階でもあるので、購入や使用にあたっては、自分から情報を集める努力が必要となる場面も少なからずあります。しかし、自分にあったものを賢く選んで、賢く使っていく姿勢があれば、非常にメリットも多く、良い買い物ができる期待もあります。
ご自身の自動車の用途を踏まえつつ、必要な充電設備がどのような場所にあるのかといった点も踏まえながら、自宅に充電設備が本当に必要かどうかもよく検討することが、結果的に良い買い物につながると考えられます。