カーライフ
更新日:2021.11.10 / 掲載日:2019.10.25
車高の高さ(高い・低い)によって乗り心地はどう違うのか

グーネット編集チーム
車の高さはサスペンションの取り換えなどによって調整することができます。一般的にサスペンションの取り換えによって車高を低くする人が多いようです。
車高を調整する理由は、見た目や走行性能を上げるためなど人それぞれですが、車高を調整したことによって、実際の乗り心地はどう変わるのでしょうか。
ここでは、車高が高い場合と低い場合、それぞれの乗り心地についてお話しします。
車高が低い車の乗り心地は?
車の底が路面にぶつかることを「底突き」といいますが、車高が低いとこの底突きをおこしやすく、それが振動になって伝わります。
またコイルスプリングが硬くなるので、路面の凹凸からの衝撃が伝わりやすくなります。そのため、段差や坂道などは特に注意して走行する必要があります。
車を新車で購入した時点でのノーマル状態というは、メーカーがテストを繰り返してセッティングし、様々な環境で快適に乗れるようになっています。そのノーマル状態から変更して、車高を下げれば乗り心地の変化は避けられません。
サスペンションのストロークが半分になれば、単純計算でバネの硬さが2倍になります。サーキットのような舗装が整備されている環境であれば問題がなくても、一般道ではサーキットほど舗装がされていないので、バネの硬さがそのまま乗り心地の硬さへとつながり、乗っている人へダイレクトにショックが伝わるのです。
車高が高い車の乗り心地は?
車高を上げすぎるとスプリングに強く荷重がかかり、段差などで跳ねるような乗り心地になります。また、ロールセンターと重心がずれるため横揺れしやすくなります。
なお、車高を変えすぎると、ロールセンターと重心がずれるので、車高を低くしすぎた場合も横揺れは発生します。乗り心地を重視する場合は、基準車高から+10mm程度の高さの調整がおすすめです。
極端に車高を上げれば、横揺れ(ロール)が発生して同乗者の体も大きく傾くような酷い乗り心地になることもあります。もちろん、適正な範囲内で上手にセッティングを行えば、路面とタイヤの接地も良くなり、車が跳ねるなどの無駄な挙動が抑えられるので、同乗者が感じる傾きや揺れなどを抑えることも可能です。
車高を低くした場合のメリット
車高が低い場合のメリットについてお話しします。
スポーツカーの車高が低いことなどからイメージできるように、基本的には車高を低く設計することによって走行性能が上がると考えられています。
なぜ、走行性能が上がるのかというと、車高が低いと重心が低くなるためカーブでの安定性が増したり、空気抵抗を抑えられダウンフォースを得られることで高速走行が安定することなどが要因となっています。
また、車高を低くすることによって、見た目としてスマートな印象を与えることも、1つのメリットです。
他にもメリットはありますが、車高を低くすることの主要なメリットとしては、安定した走行と見た目となるのではないでしょうか。
車高を低くした場合のデメリット
車高を低くした場合のデメリット1つ目は、乗り心地の悪化です。一定以上車高を落とすためには、サスペンションのセッティングを硬めにせざるを得ません。
サスペンションのセッティングを硬めにすると、走行中の路面の継ぎ目や段差による衝撃があまり吸収されずに、ドラバーや同乗者へダイレクトに伝わってしまいます。
デメリット2つ目は、日常的な実用性の低下です。スーパーやコンビニへの出入り口や車止めは、標準的な車に適合するように作られており、車高があまりに低すぎる車のことは想定されていないことがほとんどです。
そのため、出入り口にスピードが乗ったまま進入したり、車止めに当たるまでバックしたりすれば、フロントバンパーの下を擦ったり、マフラーを破損させる可能性もあります。
3つ目のデメリットは、車高が下がることによってドライバーの目線が下がり、前方の状況を把握しにくくなることです。最近の車は、SUVやミニバンなど背の高い車が多いため、車高が低い車だと、前の車で目線がふさがってしまい、数台先の道路の状況を把握することが困難になるようなことが多くなっています。
そうなると、進行の目処をつけるのが難しく、ブレーキを強く踏む回数が増えてしまったり、より運転に集中力を要することになるので、ストレスや疲労につながる可能性もあります。
車高を高くした場合のメリット

グーネット編集チーム
車高を高くした場合のメリット1つ目は、特にオフロード車におけるドレスアップ効果です。車高を大きく上げることによって、ノーマルよりも大きなタイヤをつけることができるので、見た目の迫力が増して風格が強まります。
2つ目のメリットは、ドレスアップ効果と同様に、車高を上げたことによって大きめなタイヤを装備できることに起因しますが、悪路や未舗装路での走破性が向上することもメリットとして挙げられます。
ノーマルの車高では、取り付けられるタイヤサイズにも限りがあり、轍などが車の下回りに引っかかってスタックする場合があります。車高を上げることで、大きなタイヤをつけることができるようになり、オフロードの障害物や轍も乗り越えられる可能性が高まります。
3つ目のメリットは、車高が高くなると同時にドライバーの目線が高くなることで運転がしやすくなることです。ドライバーの目線が高くなると、目の前の交通状況に加えて、数台先の交通状態も把握できるようになります。
前の車が詰まっていたり、信号が変わるのが把握できれば、無駄に加速をやめて燃費を向上させることができるようになったり、早めの減速で事故をおこすリスクを減らすことができます。
車高を高くした場合のデメリット
車高を高くした場合のデメリット1つ目は、風の影響を受けやすくなることです。車高を高くするためにサスペンションのストロークを伸ばしたことによって、季節によって風が強い日があったり、高速道路でスピードを出した場合などに、不安定な挙動が出やすくなります。
デメリット2つ目は、場合によっては車高の高さ制限を受けて、通行ができない高架下や駐車ができない駐車場が出てくる可能性があることです。
高架や地下駐車場を通過できないだけであれば、多少の不便を我慢するだけですが、車高を上げたことを忘れて、高さ制限のある場所に進入してしまうなどして、大事故をおこさないように気をつける必要があります。
デメリット3つ目は、車高を高くすると前方の視界は良くなりますが、一方で車体の左右や下部にできる死角の面積が広くなってしまうという点です。例えば、車のすぐそばに障害物があっても、ボンネットの大きさと目線の関係で見えにくくなってしまうことがあります。
特に、駐車場などで人や物に気づかずに発進しないように注意が必要です。なお、このデメリットに関しては、コーナーセンサーやカメラなどを上手に利用することで、ある程度は抑えることが可能です。
まとめ
車高の高さによる乗り心地の違いは、車高が低い方がより振動を感じるという結果でしたが、車高を上げすぎても下げすぎても乗り心地は悪くなります。
快適なドライブを楽しむためには、車高の上げ下げは程々がいいようですね。