カーライフ
更新日:2020.01.08 / 掲載日:2019.10.29
車のバッテリーの種類とそれぞれの特徴とは

グーネット編集チーム
車のバッテリーと一言で言っても、いくつかの種類があり「電解液補充が必要かどうか」と、「極板(電極)の素材」によって分類することができます。
バッテリーの種類をこの分類で分けた時に、それぞれどのようなタイプがあるのか見ていきましょう。
車用バッテリーの電解液補充による分類
バッテリーは電解液の補充が必要かどうかで、以下のように分類することができます。
電解液の充填が必要なバッテリー
・開栓型バッテリー
蓋を開けて電解液を補充する、ポピュラーなタイプのバッテリーです。以前は液減りが早く火災が発生するなどしましたが、最近では液減りが改善されています。
メリットとしては、他のタイプと比べやや値段が安いこと、バッテリーが上がった時に再充電する時の回復が早いことなどが特徴として挙げられます。
電解液の充填が不要なバッテリー
・密閉式バッテリー
密閉式バッテリーは電解液がシールドされているバッテリーで、バッテリー自体の寿命までほとんど液減りしません。そのため、電解液の補充が不要であり、メンテナンスフリーバッテリーとも呼ばれます。
電極化学反応を起こす極板が浸っており、充放電を安定に繰り返すことができ、結果として高性能でもあるのが特徴です。
メンテナンスが不要であるため、車内の整備が困難な場所に置かれる場合もあります。
・ドライバッテリー
ドライバッテリーと他のバッテリーとの一番の違いは、電解液を繊維に染み込ませていることです。
このため、液漏れの心配がなく、バッテリーを横にしても使うことができます。自己放電がほとんどないので、冬場でも安定した始動性を発揮します。一方で、価格が他のタイプと比べ高いことが欠点です。
車用バッテリーの極板素材による分類
極板の素材によっても、以下のような分類が可能です。
アンチモンバッテリー
昔はアンチモンという元素からなる電極が使用されていましたが、電気化学反応時の発熱量が大きいために電解液の蒸発が早く、“空炊き”のような状態になって火災事故が起こることもありました。
このため、最近では以下のカルシウム合金が使われることが多くなっています。
カルシウムバッテリー
アンチモンの代替として、発熱量減少のためにカルシウム合金を使ったタイプです。
液減りがアンチモンと比べ劇的に改善され、開栓型バッテリーの場合でもメンテナンス回数が少なく済むのが特徴です。
一方で、充電効率がやや低い傾向にあるとも言われています。
ハイブリッドバッテリー
アンチモンの発熱を抑える目的で、反応が穏やかに進行するカルシウム合金を片方の電極に添加したタイプです。
ハイブリッド車のバッテリーということではなく、2種類の素材の組み合わせという意味でこう呼ばれます。
ハイブリッド車には2種類のバッテリーがある
ハイブリッド車には、走行に使われる駆動用バッテリーと、車内の電装品やシステム電源に使われる補機バッテリーの2種類が存在しています。
走行(駆動)用バッテリー
ハイブリッド車において、走行に使われる電気の供給元として使われるのが走行(駆動)用バッテリーです。
走行(駆動)用バッテリーは、電圧が数百ボルトと非常に高いため、一般ユーザーからアクセスができないように搭載されています。走行(駆動)用バッテリーに使われるバッテリーの種類は、大きく分けてリチウムイオンバッテリーとニッケル水素バッテリーの2種類となります。
気になるバッテリーの寿命ですが、通常使用における走行(駆動)用バッテリーの寿命は10年以上とされており、交換をせずに廃車になるまで乗り続ける方も多いといわれいます。
補機バッテリー
また、ハイブリッド車には、通常のガソリンエンジン車と同じように、補機バッテリーという12Vのバッテリーも積まれています。
これは、ハイブリッドシステムやECU(コンピュータ)をはじめ、車内の照明やアクセサリー、カーナビなどの、さまざまな装備に電気を供給しています。従来から車の電装品は12Vという電圧で設計されており、ハイブリッド車においても他の車と同じ部品を使用する関係で、補機用バッテリーの存在は不可欠です。
この補機バッテリーがバッテリー上がりを起こしてしまうと、ハイブリッドシステムも起動できなくなるので、通常の車と同じようにバッテリーが劣化したら交換が必要になります。
自分の車のバッテリーサイズや型式の見方・確認の仕方

グーネット編集チーム
自分の車のバッテリーサイズや型式を確認する方法は何通りかあります。
まずは、取扱説明書などを見て確認する方法があります。この方法が一番正確な情報を得ることができ、間違いも少なくなります。次に、車のボンネットを開けて、直接バッテリーを確認するという方法があります。
ただし、中古車などで購入した場合、前のユーザーがバッテリーを新車時に積まれているサイズから変更している可能性もゼロではないため、注意が必要です。
バッテリーをカー用品店などで買う場合には、棚に置かれているカタログなどで、バッテリーのサイズや型式を確認することも可能です。これについても、マイナーな車種の場合は載っていないこともあるので注意が必要です。
バッテリーの品番・型式の見方(JIS形式・ISS型式・DIN形式)
バッテリーの品番・型式の見方について、標準車用バッテリー(JIS形式)、アイドリングストップ車用(ISS型式)、欧州車用バッテリー(DIN規格)の3つに分けて解説していきます。
JIS形式のバッテリーの品番・型式の見方
例として、「75D23L」と表記があった場合のバッテリーの型式の見方を説明していきます。
「75」は、バッテリーの性能ランクを表す数字です。50未満2刻み、50以上5刻みとなっており、数字が大きければ大きいほど、エンジンの始動性や容量が向上します。
「D」はバッテリーの短側面のサイズのことです。A→Hの順に大きくなり、例えば「D」の場合は幅173mm、箱高さ204mmと決められています。
「23」は、バッテリーの長側面のおおよその長さをcmで表記したものです。「23」の場合はそのまま「約23cm」を意味しています。
「L」は、バッテリーのプラス側短側面から見た時に、プラスの端子が左側にあるものをL、右側にあるものをRとしています。
ISS型式(アイドリングストップ車)のバッテリーの品番・型式の見方
例として、「Q-85R」と表記があった場合のバッテリーの型式の見方を説明していきます。
「Q」は、JIS規格のバッテリーの各寸法区分の代わりに付けられているアルファベット1文字です。例えば、「Q」はJIS形式のバッテリーの「D23」と同じサイズであることを指します。
「85」は、JIS規格のバッテリーと同様の性能ランクを表します。
最後の「R」はJIS規格のバッテリーと同様に、バッテリーのプラス側短側面から見た時に、プラスの端子が右側にあることを指します。
DIN型式(欧州車)のバッテリーの品番・型式の見方
例として、「57113」と表記があった場合のバッテリーの型式の見方を説明していきます。
「5」はカーバッテリーの種類を意味しており、5であれば12V100Ah未満のカーバッテリー、6であれば12V100Ah以上のカーバッテリーを表します。
「71」は、20時間率容量というものを示しています。具体的に説明すると、20時間率容量71のバッテリーということは、71割る20が3.55なので、3.55Aの電流を20時間流すことができるという意味になります。
「13」は、シリアル番号でバッテリーの固有番号となり、バッテリーの端子位置やケース形状を示します。
車用バッテリーの容量をアップすることのメリット・デメリット
車用バッテリーの容量をアップすることのメリットとデメリットについてみていきましょう。
バッテリーの容量アップのメリット
バッテリーの容量アップのメリットとして、多くの電装品を搭載できるようになることが挙げられます。車中泊などをする場合、カーナビやドライブレコーダーを使用するのに加え、保冷ボックスや扇風機の使用や、スマートフォン充電を行うこともあるでしょう。
こうした電装品を同時に使用する際には、多くの電力が必要となるため、バッテリーの容量アップは不可欠といえるでしょう。
また、容量アップにはバッテリーが上がりにくくなるというメリットもあります。例えば、真夏の渋滞時などは充電不足に陥りやすくなりますし、冬場には性能低下によってバッテリーが上がりやすくなります。
バッテリーの容量をアップしておけば電力の余力が増えるので、バッテリー上がりでエンジンが掛けられないリスクを減らすことができるのです。
バッテリーの容量アップのデメリット
バッテリーの容量アップのデメリットとしては、容量や性能に応じて値段が上がっていくことが挙げられます。標準仕様のバッテリーと同じサイズで容量や性能を上げていくと、値段もそれに応じて数倍程度までアップすることもあります。
また、大容量のバッテリーは一般的に重量が増える傾向にあります。スポーツ走行をするようなユーザーだと、顕著に運動性能に影響がでることも考えられます。
いずれにせよ、メーカーが推奨しているバッテリーのサイズや型式を変更することには、一定のリスクがあることも覚えておくべきです。
電装系のトラブルや間違いを防ぐためにも、ディーラーや専門家と相談しながらバッテリーお容量アップをすすめることが大切です。
まとめ
バッテリーは車を走らせるために必要不可欠です。
使用環境や目的、価格、メンテナンス回数などから選んでみてください。