カーライフ
更新日:2024.06.12 / 掲載日:2020.04.02

クロックスやサンダルでの運転は交通違反?意外と知らない履き物のルール

クロックスやサンダルはすぐに出かけるときや、夏に履く人が多いと思います。しかし、車の運転において、適した靴とはあまりいえません。運転は靴一つとっても、操作感は大きく異なり、履き物は快適で安全な運転を左右する重要な要素です。

では運転に適した靴とはどのようなタイプを指すのでしょうか。ここでは、クロックスやサンダルで運転することが交通違反の対象になるのかを説明します。

法律上の規定だけではなく、実際にどのようなリスクがあるのか。運転に適していない履き物によって事故を起こしてしまった場合に、どのようなリスクが生じるのかということについても解説しているので、安全運転をあらためて意識するための一つのきっかけにしてください。

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クロックスやサンダルで車を運転すると交通違反になる?

クロックスやサンダルで車を運転すると交通違反になる?
グーネット編集チーム

サンダルは車の運転に適していないと聞いたことがあるでしょう。その理由は、サンダルはかかとが固定されておらず運転中に脱げてしまう可能性があるからです。

道路交通法 第4章の第70条「安全運転の義務」
第70条:車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキ他の装置を確実に操作し、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼすことのないような速度と方法で運転しなければならない。

道路交通法では明確にサンダル着用が違反とは書かれていないものの、かかとが安定しないために運転に不適格とみなされれば、「安全運転義務違反」として検挙されるということになります。

では、かかとに固定ベルトの付いているクロックスで運転した場合は、「安全運転義務違反」になるのでしょうか。
都道府県ごとに細かな規定は異なりますが、以下の要件を満たしていればクロックスで運転しても違反にはらない可能性が高いです。

・かかとを固定するベルトが付いていること
・クロックスのサイズが自分にピッタリ合っていること
・足に密着して脱げないこと

また、道路交通法第71条(運転者の遵守事項)では、ドライバーの注意義務として次のように規定されています。

道路交通法第71条:車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。

一~五(省略)
六 前各号に掲げるものの他、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項

各都道府県の公安委員会によって、運転時に履いてはならない履き物(スリッパやげたなど)が具体的に規定されているので、違反にならないように規定を確認しておくと良いでしょう。

サンダルで車を運転することの危険性

クロックスやサンダルでの運転は交通違反?意外と知らない履き物のルール
グーネット編集チーム

ではサンダルで車を運転することの危険性について考えてみましょう。
大きく以下の2点がポイントになりますが、どちらも「定着性を有しているかどうか」がカギとなります。

滑りやすい

ソール部分のグリップ力が弱いものは、ペダル操作で滑る可能性があります。

操作性が劣る

かかとの部分が固定されていないサンダルでは、とっさのときにペダルの踏み換えに支障をきたすおそれがあります。また、ペダルやフロアマットとサンダルのかかとが引っかかると、動きが取れなくなることもあり大変危険です。

構造上、指で支えるタイプのサンダルでは、踏力がうまくペダルに伝わらずに、万一の急ブレーキの動作が適切に行えないケースも考えられます。

履き物による違反の罰則

サンダルやクロックスなどの履き物が「違反」とされた場合に、どのような罰則が下されるのでしょうか?
道路交通法第70条の安全運転義務違反が適用されるケースと、道路交通法第71条の公安委員会遵守事項条例違反が適用された場合について確認しておきましょう。

安全運転義務違反が適応された場合

サンダルでの運転やかかとの固定されていないクロックスでの運転などをして安全運転義務違反が適用された場合には、加点と車の種類に応じた反則金が科されます。

違反点数:2点
反則金:大型車(12,000円)、普通車(9,000円)、二輪車(7,000円)、小型特殊者・原動機付自転車(6,000円)

公安委員会遵守事項違反が適応された場合

げたやハイヒール、その他運転に適さないとみなされた履き物などでの運転により、公安委員会が定めている規則の違反による取り締まり(公安委員会遵守事項違反)が適用された場合には以下の反則金があります。

反則金:大型車(7,000円)、普通車(6,000円)、二輪車(6,000円)、小型特殊者・原動機付自転車(5,000円)

公安委員会による「公安委員会遵守事項違反」の場合には、違反点数の加点はありません。

これらの処分以上に注意したいのは、万が一事故を起こしてしまったときの賠償金です。
事故を起こしてしまった場合には、刑事責任(運転過失致死傷罪、危険運転致死傷罪など)や民事責任(治療費、休業損害費用、相手方の車の修理費用などの賠償金)により、重い制裁を受けることになります。

事故を起こした際に、サンダルやクロックスを履いていた場合には、「過失」の比重が高いとみなされ、相手方との示談交渉や裁判の際に不利になってしまい、賠償額の負担が重くなってしまうケースも想定されます。
そのような事態を避けるためには、普段から安心して運転できる履き物で運転することが大切です。

サンダル以外で運転に適さない靴にはどんなものがある?

かかとの安定しないサンダルの危険性や違反に問われるケースは説明しましたが、他にも運転に適さない靴があります。

草履、木製サンダル

鼻緒の部分で固定する草履や木製サンダルは、かかとが安定しないという観点でいえば問題があります。同様に、安定してペダル操作ができないことから、底面に大きな段差のあるげたも同様です。

革底の靴、底面が硬い長靴など

靴といってもソールがすり減りグリップ力の弱くなった靴や革底の靴、底面が硬い長靴などは濡れるとさらに滑りやすくなるため避けるようにしましょう。

ヒール(かかと)の高い靴

他にもヒール(かかと)の高い靴やつま先部分の幅が広い靴は、ペダル操作がしづらいため、運転中はスニーカー等に履き替えるなどの工夫が必要です。

運転に適した靴にはどんなものがある?

運転に適した靴にはどんなものがある?
グーネット編集チーム

均一に力(踏力)がペダルに伝わり、ペダルとの間で力や衝撃が吸収できる素材の靴が好ましいでしょう。
足のサイズにマッチして脱げにくく、かかとをしっかり固定できる、底が滑りにくいタイプであれば、ペダル操作に支障をきたすこともなく、とても安心です。

さらに足をしっかり覆うようなデザインであれば、不測の事故でも足をケガから守ってくれるためおすすめです。

運転に適した靴となると以下のタイプが考えられます。

つま先の細い、ソールに衝撃を吸収するラバーを使用したスニーカー

普通に市販されているスニーカーで構いません。ただし、ヒモの付いているタイプはしっかりヒモで固定してください。柔軟性のあるタイプを選びましょう。

マジックテープやヒモでかかとをしっかり固定できるサンダル

前項と矛盾しているように見えますが、かかとのしっかり固定できる運転用サンダル(ドライビングサンダル、ドライバーズサンダル)は、足の蒸れを防ぎおすすめです。

ドライビングシューズ

運転用に特化して機能性を持たせたタイプです。
履きやすくペダル操作に優れる専用シューズです。かかとまでソールが繋がっているのが特徴で、かかとを視点にペダルを踏み換える際に、足を動かしやすく、耐久性を持たせたデザインです。ファッション性を高め、車を離れてからも履き替えることなく、そのままで差し支えないタイプが増えています。

各都道府県によって運転NGな靴の解釈が違うため注意・確認が必要

運転に適さない履き物としての定義や解釈は、各都道府県によって異なっています。
居住する自治体はもちろんのこと、旅行先や仕事先で他の都道府県へ行く際は、問題になる可能性もあります。
ここでは例として、東京都と神奈川県の道路交通法施行細則について紹介します。

東京都の場合:道路交通規則の第8

「木製サンダル、げた等運転操作に支障を及ぼすおそれのある履き物を履いて車両等(軽車両を除く。)を運転しないこと。」

神奈川県の場合:神奈川県道路交通法施行細則第11条(4)

げた、スリッパその他運転を誤るおそれのある履き物を履いて車両(軽車両を除く。)を運転しないこと。

げたや木製サンダル、スリッパが明記されていますが、あくまでも「運転に支障をきたすもの」「操作の妨げになるもの」としての解釈のようです。

まとめ

サンダル着用は各都道府県でも判断がわかれるところですが、安全運転を阻害する形状や構造のものは安全運転義務違反として、違反と判断される可能性が高いといえるでしょう。

また、サンダルを着用している際に事故を起こしてしまった場合は、着用そのものが事故を誘発したと判断される可能性もあり、責任が加重されることもあり得るので注意が必要です。

クロックスで自動車を運転すると違反になる?

クロックスでの運転が違反になるかは、各都道府県の公安委員会によって規定が異なります。かかとを固定するベルトが付いている・サイズが合っていて足にフィットしている、などの要件を満たせば違反にならない可能性が高いです。

ビーチサンダルで自動車を運転すると違反になる?

各都道府県によって、運転NGな履き物の定義は異なります。かかとが安定しないビーチサンダルは、とっさの操作性が悪くなるなど、安全運転義務違反と判断される可能性があります。

クロックスやサンダルで違反となった場合、反則金などの罰則はどうなる?

「安全運転義務違反」の場合…違反点数:2点、反則金:普通車9,000円
「公安委員会遵守事項違反」の場合…反則金:普通車6,000円

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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