カーライフ
更新日:2022.09.07 / 掲載日:2019.08.20
ミニバンとワゴン車の違いとは?メリット・デメリットや選び方を解説

「ミニバン」と「ワゴン」、クルマの形状や大きさなどのイメージはできても、細かい定義は分からないという方も多いのではないでしょうか。「ミニ」といいつつ、最近では大型3ナンバーボディのミニバンも街中を多く走っています。
ここでは、バンとワゴンの違いや、ミニバンとステーションワゴンの特徴と違いなどについて詳しく解説していきます。
バンとワゴンの特徴と違い
日本における「バン」とは、商用車のことを指します。商用車のナンバープレートは4ナンバーもしくは1ナンバー(小型貨物/中型貨物)です。商用車として登録するためには、シートを起こした状態で、2列目以降の人が乗るスペースよりも荷室スペースの方が広いなどの基準があるため、必然的に3列目の座席がない場合がほとんどで、リクライニング機能も備わっていないものがほとんどです。また、重い荷物を積んでもクルマのバランスが崩れないように固いサスペンションが取り付けられ、タイヤも商用車専用の丈夫なタイヤを装着することが多く、乗り心地は犠牲にされています。
一方の「ワゴン」は、荷物よりも人を運ぶことを優先させて作られており、ナンバープレートは5ナンバーもしくは3ナンバー(小型乗用車/普通乗用車)となります。同じ車種でもバンとワゴンの両方が設定されている場合もありますし、ベース車両だけ同じケースもあります。バンと比べると、3列目シートの設置が可能で、リクライニングができる厚めのシートが備わります。サスペンションも乗り心地が優先されており、タイヤについても幅広いラインアップから選ぶことが可能です。
ミニバンとステーションワゴンの特徴と違い
「ミニバン」は、ワンボックスタイプの3列シート車のことを指します。5ナンバーから3ナンバーまでボディサイズやエンジンの大きさ、車高に決まりはなく、乗用クラスで3列目さえあれば、ほぼ全てのクルマがミニバンに属します。「ヴェルファイア」や「エルグランド」などの車種ではボディサイズも大きく「ミニ」と呼ぶにはそぐわない気もしますが、これは「ミニバン」の語源に関係しています。
「ミニバン」発祥の国アメリカでは、箱形ボディのクルマを全てバンと呼んでおり、その中には全長5m以上、全幅2m以上のいわゆるフルサイズのバンも存在しています。そういったフルサイズのバンと比べると、「ダッジ・バン」などの車種はミニサイズにあたるということで、「ミニバン」という定義が生まれたといわれています。
一方の「ステーションワゴン」とは、もともとは「セダン」から派生したボディタイプです。ステーションワゴンは、セダンのルーフを後方のトランクの上まで伸ばしていき、乗員スペースとラゲッジスペースを一体化したタイプのクルマであり、セダンベースの高い運動性能を維持しながらも、後席のシートアレンジによっては大型の荷物を積むことも可能なボディタイプです。セダンの良さを活かしながらも、使い勝手の良いステーションワゴンは、かつては日本でも人気の高いボディタイプでしたが、ミニバンが普及してからは下火になっています。
ミニバンのメリット・デメリット
ミニバンのメリットは、なんといってもオールマイティな使い勝手にあります。3列目まであるベンチシート車であれば、標準的な2家族分8名の移動手段としても最適です。また、3列目を折りたためば、大容量の荷室が現れるので、普段は家族のレジャー用途として、ときに3列目を出して仲間たちとお出かけという使い方が可能になるのです。
逆にミニバンのデメリットは、セダンやステーションワゴンと比べたときの背の高さです。特に山道などではクルマが大きくロールしやすく、安定性が低くなることがあります。また、スライドドアを採用している車種では、ヒンジドアのクルマと比べて、どうしてもボディの剛性が低くなりがちです。最近では、そうしたデメリットがかなり小さくなりつつありますが、それでも走行性能についてはワゴンと一定の違いがあります。
ミニバンがおすすめな人はどんな人?

ミニバンをおすすめしたいのは、ずばりファミリー層です。特に、祖父母や友人家族と出かける機会があるアクティブな層にぴったりのモデルといえます。1台のクルマを様々なシーンで活用したいという方には、特にミニバンのオールマイティな性能が活きてきます。
平日は子供の保育園の送り迎えという場合でも、スライドドア付きのミニバンであれば子供が乗り降りしやすく、隣のクルマにドアを当てる心配もありません。休日となれば、家族のお出かけやレジャーにも、3列目を収納してできた広い荷室が大活躍です。また、祖父母を載せてのお出かけや、友人家族とのちょっとした移動などにも、3列目の使う用途が広がります。
ステーションワゴンのメリット・デメリット
ステーションワゴンは、荷室が居住スペースと一体になることで使い勝手が良くなっているだけではありません。セダンベースのボディなので、背が高いミニバンと比べると走行安定性が高くなります。その証拠にスピードレンジの高い欧州のクルマでは、いまだにステーションワゴンが多くのモデルでラインアップされています。また、ミニバンと比べても歴史が長いステーションワゴンは、プレミアムな付加価値がついたブランドを確立しているモデルも多く、デザインの良さとあいまって所有する喜びも与えてくれます。
一方、ステーションワゴンのデメリットは、ミニバンと比べるとどうしても居住性が劣るという点があります。上下方向の空間が小さいため、室内の空間のゆとりという点ではミニバンに1歩譲りますし、荷室スペースについても、奥行きはともかく、高さが限られてしまいます。また、3列目がないので、多人数乗車する場面では使い勝手が悪くなるのです。
ステーションワゴンがおすすめな人はどんな人?
ステーションワゴンがおすすめな人は、子育てが終わって夫婦二人でのアクティブな趣味を持つ世代や、ステーションワゴンにプレミアムな価値を求める人、ある程度の荷物も積みたいが、同時に高い走行性能を求める人です。また、多人数でクルマに乗ることが少ない人もあてはまるでしょう。
ステーションワゴンは、日本ではミニバンに押されて下火になっていますが、多人数乗車をしないのであれば、自然な運転感覚や高い運動性能など、多くの魅力が詰まったモデルです。単純にクルマを道具としてとらえるのではなく、自分のイメージやライフスタイルの1つとして考えれば、ステーションワゴンの魅力が再発見できるはずです。
日本で人気が高いミニバンというのは、もともとは商用バンを乗用に派生させたという歴史があります。初期のミニバンは商用バンのイメージが残っていたものの、FFベースのミニバンが開発され、日本という国の中で独自の進化を遂げていきました。一方のステーションワゴンは、セダンから派生したボディであり、古くから使い勝手の良さやスタイリングに人気がありました。
多人数での使用が多ければミニバンがおすすめですが、ステーションワゴンのデザイン自体の魅力や高い運動性能も大きなポイントです。クルマを選ぶときは、固定観念にとらわれることなく、自分のライフスタイルに合った最適な1台を選ぶようにしましょう。