カーライフ
更新日:2019.08.30 / 掲載日:2019.08.30
運転免許の自主返納のメリットとは?年齢は何歳からできる?

グーネット編集チーム
おそらく多くの人が、これからの自由なカーライフを夢見て運転免許を取得したのではないでしょうか。運転免許を取得して、クルマを運転できるようになれば、仕事だけではなく、レジャーや日常の送迎などで大いに役立てることができます。
しかし、ドライバーの加齢や取り巻く環境の変化などにより、自身でのクルマの運転が難しくなっていくこともあります。
ここでは、さまざまな理由により、クルマを運転しなくなった人が、運転免許を自主返納する場合のメリットや、自主返納が可能な年齢などについて解説をします。
運転免許の自主返納とは?
最近、社会でも注目を集める運転免許の自主返納とはどのようなもので、どのような背景や経緯によりできた制度なのかなどを説明します。
所持する運転免許が不要となった場合、有効期間内であっても自分の意思で運転免許を失効させることができる「自主返納制度」が1998年4月に導入されました。
自主返納制度は、高齢ドライバーによる、アクセルとブレーキの踏み間違いや高速道路の逆走などで痛ましい事故が多発したことが社会問題として取り上げられ、それらへの対策として制度が導入されたという経緯があります。
自主返納制度が導入された当初は、すでに運転をすることはないものの身分証明書として運転免許を利用している人なども多く自主返納する人が少なかったものの、2002年6月に運転免許に代わる身分証明書「運転経歴証明書」の発行がされるようになったことで、徐々に自主返納をする人も増えていきました。
また、2006年9月には、運転免許の更新時の年齢が満75歳以上の場合は、判断力や記憶力を測定する認知機能検査が義務化されたことも、自主返納率の向上に大きく寄与しています。
この認知機能検査の結果、判断力や記憶力の低下が疑われる場合、専門医による臨時適性検査を受け、認知症が認められた際には運転免許の取り消しとなります。
その他に、買い物や移動を支援する仕組みが自治体ごとに始まるなど、自主返納後の生活をサポートする動きが全国で進んでいることで、自主返納する人が増加しています。
このような背景や経緯から、運転に不安を感じるようになった場合や、運転する機会がなくなった高齢ドライバーを対象に設けられたのが「自主返納制度」です。
運転免許の自主返納に年齢制限はある?
運転免許の自主返納に年齢制限は設けられていませんが、以下の点に留意してください。
・自主返納は運転免許の期限内に本人が直接申請手続きを行います。
・運転免許の停止や取り消しなど行政処分中は手続きができません。
「運転免許の自主返納」と聞くと高齢者を想像する人もいるかと思いますが、年齢に関係なく、自主返納の意思があれば誰でも運転免許の自主返納を行うことができます。
運転免許を自主返納する理由にはどんなものがあるのか
運転免許を自主返納する理由としては、「家族に運転をやめるように勧められた」という理由や、「クルマを運転する必要性がなくなった」という理由が多いようです。
その他には、運転中に事故を起こしてしまう危険性を感じたり、安全運転への自信を無くしてしまった場合に、運転免許の自主返納を考えるパターンも多いようです。
事故を起こしてしまう危険性を感じる状況としては、
・アクセルやブレーキ、ウィンカーなどの操作を誤ることがある。
・車線を走行中に片寄ることや、カーブやブレーキ時に運転がギクシャクしてしまう。
・信号や歩行者、対向車の発見が遅れることがある。
・クルマを擦ったり、ぶつけたりすることがしばしばある。
・車庫入れがうまくいかない。
などがあげられます。
これらの状況は、筋肉や視力の衰えをはじめ、判断力や反射神経の低下が原因である場合があります。本人はもとより家族がそれらの症状を疑った場合は話し合いをし、大事に至る前に運転免許の自主返納を行うことが望ましいでしょう。
また、本人に自覚がない場合もありますので、焦らずに話をすることや、症状によっては専門医に診断してもらうことも考慮すべきでしょう。
運転免許の自主返納は何歳くらいが多い?自主返納を考える目安の年齢とは?

グーネット編集チーム
加齢による体力や視力、判断力、反射神経の衰えなどの症状が現れる時期は個人差があるため一概に何歳と言えません。ですが、自身が気づかないうちに症状があらわれている可能性もあります。それによって事故を起こしてしまったりと、自身で症状に気づいたときには遅い場合もあるので、周囲が早い段階で症状に気づくことも必要です。
75歳以上の運転者に認知機能検査が義務化されていることから、「自主返納制度」は75歳以上を想定して設けられた制度のようです。警察庁が発表した平成27年度の資料を見ると、運転免許の自主返納者の割合は平成30年度では75歳以上が2/3以上を占めているのがわかります。
自主返納を考える目安としては、70歳を超えたくらいの年齢で、一度、安全に運転できる状態であるかをチェックしてみて、判断するのが良いでしょう。
運転免許の自主返納をすることで得られるメリット・特典とは?
運転免許を自主返納するとクルマで出かけたいときに自分で運転できないというデメリットはありますが、運転免許を自主返納するメリットや特典について考察してみましょう。
・運転する上での事故の心配から解放される
・税金やガソリン代、車検などがクルマの維持費が不要となる
・移動の際に歩くことが増え、健康増進に繋がる
・出かけてから帰宅するまでの不安が解消され家族も安心する
上記以外にも、運転免許を自主返納してから運転免許に代わる身分証明書として、運転経歴証明書の交付を受けることで、各行政や自治体、支援協賛店などからのさまざまな特典を受けることができるのも、運転免許を自主返納するメリットと言えます。
・タクシーやバスなど、公共交通機関の運賃割引が受けられる
・デパートなどで購入した商品の宅配料金の割引が受けられる
・美術館や飲食店などの割引が受けられる
・商品券の贈呈を受けることができる
・自動車の廃車手続きが無料となる
・電動車いす購入料金の割引が受けられる
なお、上記の特典は自治体によって異なってきます。
特典を利用したい場合は、どのような特典があるのか、各自治体に確認をするようにしましょう。
また、この運転経歴証明書は、自主返納日から遡り5年間の運転に関する経歴を証明するもので、運転免許を所有していたことの証として、公的な身分証明書として使用することができます。
運転免許の自主返納の手続きができる場所・流れ・必要な持ち物とは?
運転免許自主返納の手続きができる場所や流れ、その際に必要となる持ち物などを、具体的に説明します。主な手続き申請場所は警察署や運転免許センター、運転試験場が窓口となりますが、申請時間や流れ、持ち物などは、各都道府県の運転免許センターへ事前に確認することをおすすめします。
運転免許自主返納の手続きの場所と申請可能日時
【運転免許センターで免許自主返納手続きをする場合】
千葉運転免許センターおよび流山免許センターで申請手続きを受け付けています。
月曜日から金曜日までの平日午前8時30分から午前11時、午後1時から午後5時前まで受付。但し、祝日および12月29日から翌年1月3日を除く。
日曜日は午前8時30分から午前11時、午後1時から午後4時前まで受付。
【警察署で運転免許自主返納手続きをする場合】
千葉県内の各警察署および幹部交番で申請手続きを受け付けています。
月曜日から金曜日までの平日午前8時30分から午前12時、午後1時から午後5時前まで受付。但し、祝日および12月29日から翌年1月3日を除く。
・運転免許自主返納手続きに必要なもの
・有効な運転免許
所定の窓口に手続きに必要なものを申請人が持参して、申請用紙の項目に記入するだけで申請手続きが完了します。
入院中や入所中、療養中など本人が窓口に来られない事情がある場合のみ、親族や病院・介護施設などの職員などが代理人として申請手続きが可能です。
その場合は別途必要となる書類があるので、インターネットや電話などで事前に確認ください。
運転経歴証明書の取得について
自主返納と同様に基本的には申請人である本人が申請することが条件となります。
また、自主返納の手続きと同時に申請手続きが可能です。
・運転経歴証明書を申請する際に必要なもの
・運転免許
・印鑑
・交付手数料1,100円
・申請用写真1枚(警察署で手続きをする場合のみ必要です)
運転免許センターでは即日交付が可能ですが、受付終了時間の関係があるので注意してください。
また各警察署では、交付まで約1ヵ月かかりますが、郵送での交付も行っているので、申請時に申し出る必要があります。
まとめ
クルマの運転は本人が気を付けていても、突発的に冷静な判断が求められる場面に遭遇します。それ以外にも判断力や反射神経、体力や視力、判断力の衰えは、いつか誰にでもやってくる事象です。
自分自身が何かしらの症状を自覚したり、家族や周囲がサインを感じたりする場合は、運転免許の自主返納を考えてみることはとても大事なことです。運転操作の誤りや歩行者の発見が遅れると、重大な事故に繋がる可能性があります。
現在では自主返納後もさまざまな形で自立を支援する取り組みが、自治体を中心に進んでいます。経済的なメリットをはじめ、事故の心配や家族の安心のためにも、疑わしい症状が見受けられる人や運転免許の更新時が75歳を迎える人は、今一度日々の運転状況をチェックしてみることをおすすめします。