カーライフ
更新日:2021.03.31 / 掲載日:2019.10.25

後部座席のシートベルトが義務化!一般道でも未着用の場合は罰則に

後部座席のシートベルトが義務化!未着用の場合の罰則・危険性

グーネット編集チーム

運転席や助手席に座ったときは、無意識にシートベルトに手が伸びる、という方は多いことでしょう。自分自身の身の安全を守るため、また、シートベルトの着用義務を守るためという意識が働いているかと思います。一方で、後部座席に座ったときには、シートベルトを着用せずに済ませてしまうという方も多いのではないでしょうか。

今回は、シートベルトの義務化の詳細と、未着用の場合の罰則や危険性について、詳しく解説します。後部座席に座る人の安全を確保するためにも、後部座席のシートベルト着用について確認しておきましょう。

後部座席も3点式シートベルトの着用が義務

シートベルトは、クルマに乗る際の安全確保のための手段として着用が義務付けられています。しかし、運転席及び助手席でのシートベルトの着用義務を理解している人も、後部座席については以下のような誤った思い込みをしていることがあります。

・シートベルト着用は運転席と助手席だけで良い
・後部座席のシートベルト着用は、義務ではなく、乗車する人の任意である
・高速道路だけシートベルトの着用が必要である

残念ながらこれらの対応は間違っています。
2008年6月に道路交通法第71条の3が改正されたことにより、クルマに乗車する場合、運転席や助手席はもちろんのこと、後部座席を含む全席でシートベルトの着用が義務化されています。クルマを運転する場合には、きちんと安全を確保する義務があり、全席シートベルト着用もその一つとなります。後部座席に座る人を含めて、全員がきちんとベルトをした状態でクルマを発進させましょう。

後部座席にシートベルトをしない危険性

後部座席においても、シートベルトが未着用の場合は、シートベルトを着用している場合と比べて事故時のケガ・死亡リスクが大幅にアップしてしまいます。後部座席でシートベルトを未着用であった場合、事故の衝撃で身体が飛ばされてしまう可能性も高く、前の座席や、そこに座っている人にぶつかってしまう可能性もあります。また、車内で接触はせずにそのまま車外に放り出されるというということもありえます。

実際に、クルマを運転中に事故を起こし、運転席・助手席に座っていた方はシートベルトをして無事だったものの、未着用で後部座席に乗っていた方が、事故の衝撃でクルマの天井に頭を強打し、大切な命を落としてしまう事例もありました。

後部座席に座る人がシートベルトを装着していなかった場合、装着していなかった場合に比べて、事故時の死亡率は約3.5倍にも上ります。時速50キロで走行中に壁に激突した際の衝撃は、高さ10メートルの3階建てビルの屋上から落下した際の衝撃と同程度だと言われています。

事故はいつだって不意にやってくるものですから、身構えたり、自分の身体を守ろうとしたりすることはできないケースがほとんどです。被害者にも加害者にもならないためには、運転席・助手席はもちろんのこと、後部座席も含め、全席におけるシートベルトの着用が必須となります。

シートベルト未着用だった場合の罰則

シートベルト着用は、自分自身や同乗者の安全を守るためのものです。それはわかっていても、現実には、「事故」よりも「取り締まり」の方が身近に感じるという方も多いのではないでしょうか。全席シートベルト着用はドライバーの義務ですから、それを怠った場合には、当然罰則の対象となります。

運転席・助手席においては、違反点数が1点加点・反則金無しという罰則が科せられますが、後部座席の場合は高速道路のみ、同様の罰則が適用されます。一般道における後部座席のシートベルト装着については、義務化がされているものの、具体的な罰則としては「口頭注意のみ」となっています。

このルールを歪曲して「後部座席は高速道路のみシートベルトの着用義務化」という誤った認識になっている方が多いのではないでしょうか。実際には、後部座席のシートベルトの未着用は一般道においても違反対象となりますし、また、事故を起こした場合の過失相殺にも関わってきます。

過失相殺について例えば、自分自身に何の落ち度もない状態で事故にあった場合、相手方に治療費や慰謝料などを請求することができますが、後部座席に座っていて、シートベルト未着用でケガをした場合には、ケガをした側のドライバーにも過失があったとみなされてしまいます。

シートベルト着用は義務であるにも関わらず、それを怠り、それによってより大きな事態につながってしまったということは容易に予想されます。ここにドライバーの過失があるとみなされ、相手方の過失と相殺されてしまうというわけです。

後部座席のシートベルト未着用でも違反にならない場合

後部座席のシートベルト未着用でも違反にならない場合

グーネット編集チーム

2008年からクルマの全席でシートベルトの着用が義務化されていますが、いくつか例外もあります。特に後部座席において、シートベルト未着用でも違反にならないのは、以下のパターンに当てはまるケースです。

子どもの分のシートベルトが足りない場合

12歳以下の子どもは3人で、大人2人分のカウントとなります。このため、子どもの数が多い場合には、クルマの乗車人員を超えて走ることができます。例えば、7人乗りのクルマに大人のドライバーを一人乗せると、あと9人の子どもを乗せられる計算となります。

しかし、シートベルトは7人分しか用意されていないため、全員がシートベルトをすることはできません。この場合、足りなくなる分についてはシートベルトの着用が免除されることになります。

先ほどの例で言えば、9人の子どもの内6人はシートベルトを装着し、残り3人は装着しなくても違反にはなりません。ただし「子ども9人全員が装着しなくても良い」というわけではなく、シートベルトの数によってやむを得ず装着できない場合は装着の義務を免除するということになりますので、もしこのような状況になった場合は、安全に注意して運転するようにしましょう。

健康上の理由

負傷や障害、妊娠などをしている状態では場合によっては、シートベルトの着用が難しいこともあるでしょう。この場合においても、シートベルト未着用でも違反にはなりません。

・妊娠中で、シートベルトを着用すると気分が悪くなる
・負傷や障害、妊娠が理由で、医師からシートベルトが良くないと言われた
・極度の肥満や座高の高さにより、シートベルトを適切な位置で着用できない

上記に挙げたようなケースの場合は、健康上の理由によりシートベルトの着用が免除されると考えられるため、必ずしもシートベルトを装着する必要はありません。

その他の状況について

このほかにも、後部座席にそもそもシートベルトがない場合や、人命に関わる状況下においては、シートベルト着用は免除されます。ゴミ収集や郵便配達などの作業中、緊急車両の運転中、選挙カーに乗車中の候補者と運転員などについても、免除対象となっています。自分に当てはまる項目がある場合には、詳しい要件についてよく確認をしておきましょう。


後部座席のシートベルト着用義務化については、まだまだ周知徹底されていないという特徴があります。一般道での罰則が「口頭注意のみ」であることや、間違った認識が広まってしまっているせいでもあるのでしょう。実際に、運転席や助手席と比較すると、後部座席についてはつい緩くなってしまうという方も多いかもしれません。

全座席でのシートベルトの着用が義務化されて10年以上が経過していますが、後部座席におけるシートベルト着用率はまだまだ低いのが現状です。こうした流れの中、2020年からは、新型車へのシートベルトリマインダーの搭載義務化が、後部座席を含む全座席へと拡大される予定となっています。

「罰則があるから」「リマインダーがうるさいから」といった理由ではなく、自分自身や同乗者の健康と命を守るため、そして法令を遵守するためにも、後部座席においても確実なシートベルト着用を心掛けましょう。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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