カーライフ
更新日:2019.11.05 / 掲載日:2019.11.04
ミニカー(マイクロカー)を運転する際に必要な免許と実際の運転時の扱いについて

グーネット編集チーム
ミニカーと聞いて、ピンとくる方は少ないのではないでしょうか。
ミニカーとは、ボディサイズもエンジン排気量も小さな、コンビニエンスストアの配達など、都市部の移動にマッチしたコンパクトな車両のことを指します。
ここでは、ミニカー(マイクロカー)を運転する際に必要となる運転免許の種類、運転時の扱いについて説明します。
ミニカー(マイクロカー)とはそもそもどういうクルマ?

グーネット編集チーム
ミニカーはマイクロカーとも呼ばれ、軽自動車よりもさらに小さな1人乗りのシティコミューターとして主に利用されています。シティコミューターとは、通勤や近場の移動に使われる小型自動車です。ミニカーは道路交通法施行規則 附則(昭和59年9月10日総理府令第46号)に次のように定義されています。
・ミニカーの定義
エンジンおよび動力:総排気量20ccを越える50cc以下のエンジンまたは電気モーター
出力:定格出力が0.25kwを越える0.6kw以下
乗車定員:1名
積載量:30kg以下
法定速度:60km/h
見た目は1人乗りの小さな乗り物ですが、道路交通法では原動機付自転車ではなく普通自動車に区分されます。そのため、ヘルメットの着用は不要であり、2段階右折の義務もありません。何より法定速度が60km/hと言うこともあり、十分にクルマの流れに乗ることができる性能を備えている点が大きな特徴と言えるでしょう。
しかしながら、環境の保全や自動車の安全性の確保や保安基準を定める道路運送車両法では、原動機付自転車の扱いとなります。そのため、車検を受ける必要もなく、シートベルトの装備も義務付けられていません。
また、高速自動車国道法第17条および道路法第48条の11において、高速道路や自動車専用道路の走行はできません。
ミニカーを公道で運転していいのか
もちろん、道路交通法ならびに道路運送車両法に合致しているミニカーであれば、公道の走行は可能です。
しかしながら、都内の中心部の公道を走る外国人観光客に人気のあるカート(ミニカー)が、歩道に乗り上げたり、対人事故を起こしたりと、社会的にクローズアップされており、今後道路運送車両法の改正が行われる可能性があります。
ミニカーを運転するには何の免許が必要?
前述の通り、ミニカーは保安基準を定める「道路運送車両法」とクルマの区分や構造を定める「道路交通法」の2つの法律により定義されており、運転には普通運転免許以上が必要です。
もちろん、普通運転免許の上位免許である、中型免許や大型免許を保有していれば運転ができますが、原動免許や自動二輪免許では運転できません。
ミニカーのメリット、デメリット
では、都市部の移動に便利なミニカーのメリットとデメリットについて説明します。
次のようなメリットとデメリットが考えられます。
ミニカーの主なメリット
・維持費が安い
エンジン排気量が50cc以下なので軽自動車税が2,000円かかりますが、車検を受ける義務がなく、重量税も不要です。また、自賠責保険も軽自動車の約1/2~1/3で非常に安価です。もちろん、排気量が50cc以下なので燃費性能にも優れいます。
ミニカーの経済性の高さは特筆すべきメリットと言えます。
・車庫証明がいらない
扱いが原動機付自転車なので、登録時に車庫証明が不要です。地域によっては軽自動車でも車庫証明が必要なことを考えると手軽に所有できる点は大きな魅力と言えるでしょう。
・取り回し性が良い
ミニカーの規定は、長さ:2.5m以下、幅:1.3m以下、高さ:2.0m以下と非常にコンパクトなサイズなので、取り回しが良く、駐車にも大きなスペースを必要としません。
特に都市部の移動では取り回しの良さは重要なメリットと言えるでしょう。
・安全性が高い
原動機付自転車と比べるとボディ形状がドライバーを覆っているだけでなく、4輪と言うこともあり転倒する危険性もほとんどありません。そのため、2輪車両などと比べると、安全性が高い乗り物と言えるでしょう。
・屋根付きの全天候型ボディ
ドライバーの頭上には、しっかりとして屋根が備わっており、雨の日でも濡れることなく移動が可能です。全天候型の居住性を備えている点は、身体がむき出しの原動機付自転車とは大きな優位性と言えるでしょう。
・法定速度が60km/h
原動機付自転車の法定速度が30km/hなのに対して、60km/hに法定速度が定義されており、十分にクルマの流れに乗ることができます。
・手軽に運転できる
ミニカーの保安基準となる「道路運送車両法」では原動機付自転車として扱われる一方で、交通ルールを定めた「道路交通法」では普通自動車に区分されるため、ヘルメットの着用、シートベルトの装着は不要です。
・デザインが個性的である
自由度の高い個性的なデザインが施されているものが多く、「ありきたりなデザインのクルマは飽きてしまった」と考えている人には選択肢のひとつとなりえるでしょう。
では、ミニカーのデメリットとしてどのような点が考えられるでしょうか。
メリットの際はミニカーと原動機付自転車との比較になりましたが、今度は、道路交通法にて「普通車自動車」と位置づけられているミニカーと、普通自動車のなかでは大きさが近い軽自動車との主な比較となります。
ミニカーの主なデメリット
・航続距離が短い
ボディサイズがコンパクトなため、どうしても燃料タンクの容量も小さくなります。長距離移動をする人はあまりいないかも知れませんが、あくまでも近距離の移動手段と割り切った使い方で優位性の出るミニカーと言えるでしょう。
・居住性が今ひとつ
軽自動車と比較すると、快適装備であるエアコンやヒーター等は標準では装備されていないミニカーもあり、その場合季節に合わせた服装で運転する必要があります。
・積載性に劣る
前述の通り、ボディサイズの関係からも道路交通法の定義からも30kg以下の積載量しか備えていません。
引っ越しはもちろん、買い物時の大きな荷物の運搬には不向きと言えるでしょう。
・安全性に劣る
シートベルトを備えていないことや先進の安全装備もないため、軽自動車と比較すると衝突の際の安全性能はかなり劣ります。
・高速道路は走行できない
法定速度が60km/hに定められており、原動機付自転車として扱われるため、高速道路や自動車専用道路の走行はできません。
デメリットはあくまでも軽自動車との比較であり、近距離を移動するシティコミューターとして使われるミニカーは、天候に左右されない安全性の高い原動機付自転車のバリエーションとしての捉え方が適していると思われます。
また、メリットとデメリットでも前述の都心を走る外国人観光客に人気の高いカートは対象から除外しています。
ミニカーはどこで購入することができる?
ミニカーは普通乗用車のように国の型式認定を取る必要がなく、新車の開発のハードルが低いことから、小規模な自動車工房等でも開発・製造が行われており、そこから直接購入することができます。
また、セブンイレブンの配達用に使われている充電式のEVミニカー「コムス」は、トヨタグループのトヨタ車体で開発・製造され、全国のトヨタの店舗でも購入が可能です。
まとめ
普段あまり聞きなれないミニカー(マイクロカー)ですが、実は身近なコンビニエンスストアのデリバリー用の車両として活躍するなど、新たなシティコミューターとして注目されています。
また、ミニカーは普通乗用車と違い、購入時の車庫証明不要・車検不要・軽量のため燃費がいいなど、そのランニングコストの安さが魅力でもあります。今後気軽な移動手段のひとつとしてますます注目を集める可能性を秘めています。