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更新日:2021.03.31 / 掲載日:2019.11.12
クルマのナンバーで氏名、住所などの個人情報を特定できる?

グーネット編集チーム
クルマのナンバーは、個々の車両を識別するための番号です。この番号は、不審車などを警察に通報する際に役立つものですが、一般人がクルマのナンバーから所有者の個人情報を入手することは可能なのでしょうか?
当て逃げ・ひき逃げに遭った、無断駐車に困っている、浮気調査のため、など事情は様々ですが、クルマのナンバーから個人を特定したい、というケースは少なくないようです。
というわけで今回は、クルマのナンバーで個人情報を特定できるかどうか、解説していきます。
クルマのナンバーで個人特定するためのクルマの登録情報を取得する方法とは?

グーネット編集チーム
結論から言うと、個人がクルマのナンバーから所有者を特定することは可能です。そのためには、陸運支局や自動車検査登録事務所で「登録事項等証明書」を請求する必要があります。
道路運送車両法22条1項によると、「登録事項等証明書」は、所有権の公証等を目的として誰もが請求できるもの、と規定され、2006年11月19日以前はナンバーの照合だけで入手することができました。
しかしながら、誰でも簡単に個人情報を入手できることから、恐喝や窃盗などの犯罪に悪用されるケースも多かったようです。
そんな中、2004年4月に個人情報保護法が施行されたことに伴い道路運送車両法も改正され、2006年11月19日以降は、特別な請求理由がある場合を除き、登録事項等証明書の取得には複雑な手続きが必要になりました。
具体的に変更された請求手続きは、以下の通りです。
【2006年11月19日以前の手続き】
・自動車登録番号(クルマのナンバー)の明示
【2006年11月19日以降の手続き】
・自動車登録番号(クルマのナンバー)の明示
・車台番号下7桁の明示
・請求者の本人確認書類の提示
・請求理由の明示
車台番号とは、アルファベッドと数字からなるクルマ個体の識別番号のことです。車台番号は車検証か、エンジンルームにしか記されていないので、クルマの所有者でない第三者が確認することは困難です。また、それらの情報が揃っていたとしても、請求理由が正当と認められなければ交付されません。
このように、請求要件の中に車台番号のような外からはわからないものが含まれているため、他人がクルマのナンバーの情報をもとに個人情報を入手することは難しいでしょう。
例外でクルマのナンバーで個人を特定できるケースがある
上述の通り、「登録事項等証明書」の請求に関しては、基本的には厳しい複雑な手続きが必要でナンバーのみでは個人は特定できません。
しかしながら、特例として前述した条件をすべて満たさなくても「登録事項等証明書」を請求できるケースもあります。それは請求理由がやむを得ない、正当なものとみなされる場合です。
以下のような理由に対しては自動車登録番号(クルマのナンバー)か、車台番号全桁を明示するだけで「登録事項等証明書」が交付され、所有者を特定することができます。
・私有地への放置車両の所有者確認
・裁判手続きに関与する書類として、債務名義等の公的書類が必要となったとき
私有地への放置車両の所有者確認の場合、放置状況がわかる図面や写真、放置日数を記載した書面を提出しなければなりません。また、すでに登録抹消されたクルマやナンバープレートの外されたクルマに関しては、車台番号だけで請求することが可能です。
軽自動車の登録情報を取得したい場合はどうすればいい?
軽自動車の登録情報を取得する場合は普通車のと異なり、請求する書類の名称が「登録事項等証明書」ではなく「検査記録事項等証明書」となり、請求先も陸運支局ではなく軽自動車検査協会となります。
請求条件は普通車の「登録事項等証明書」での場合より厳しく、ナンバーと車台番号の他に、所有者の氏名・住所および交付を受ける理由の記入が必要になります。請求する時点で所有者情報の記入が求められるため、第三者が個人情報を得るために請求することはほぼ不可能でしょう。
ただし、普通車で特例として認められている「私有地への放置車両」「裁判手続きに関する必要書類」としての請求に関しては、柔軟に対処するということですので、最寄りの軽自動検査協会に問い合わせてみる必要があります。
まとめ
クルマのナンバーから個人情報を入手することは無理ではありませんが、2006年11月19日以降、大変難しくなっています。
煩雑な手続きが必要なこと、クルマの所有者しか知りえない車台番号の明示が必須となることなどから、個人で登録事項等証明書を請求することは現実的ではありません。
しかし、私有地に車両が放置された場合や、正当な法的手続きのためであれば、例外的に登録事項等証明書を取得することが可能です。このことは知識として覚えておいて損はないでしょう。