カーライフ
更新日:2019.12.20 / 掲載日:2019.12.20
「環境にやさしい」と言われるEV車。本当にエコなのかじっくり考えてみた

グーネット編集チーム
近年、自動車を選ぶ際に「環境にやさしい」という点を、購入理由の1つとして挙げる人が多くなっています。そのためエコだと言われているEV車が自動車市場では台頭してきていますが、本当にエコなのか疑問に思っている方は多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、EV車が環境にやさしいと言われている理由を解説します。本当にエコなのかどうか、EV車を動かす電気の発電方法まで言及してご説明します。
環境を守るためにEV車にしようか考えている方、興味のある方は是非チェックしてみてください。
EV車が環境にやさしいと言われる理由
近年、一般的なガソリン車は環境に影響を与える存在として徐々に認知されています。その理由に、世界的に問題となっている地球温暖化の要因の1つである二酸化炭素があります。
ガソリン車から排出される二酸化炭素は、日本国内だけで年間約9850万トン排出されています。さらに、窒素酸化物や粒子状物質などが含まれている排気ガスによって、大気汚染も引き起こすことが挙げられます。
それに比べて、EV車の燃料は電気のみです。ガソリン車に搭載されているようなエンジンはなく、電気でモーターを稼働させることによって走行します。もちろん燃料を燃やすこともないので、二酸化炭素はもちろん排気ガスも排出されません。
つまり走行中の部分のみを見れば、EV車はガソリン車よりもはるかに環境にやさしいのです。また、地球上の限りある資源の内の1つである石油を使用しないことも、環境にやさしいと言われている要因でしょう。
EV車の本体は環境にやさしい?

グーネット編集チーム
「EV車はガソリン車よりもはるかに環境にやさしい」と上の項で述べましたが、これには「走行中の部分のみを見れば」という前提条件がつきます。その理由は、EV車においての製造からメンテナンス、廃車に至るまでの流れを考えると、ガソリン車よりもエネルギーを使っている可能性があるからです。
まず、車を工場で生産するためには組み立てや塗装など、ラインを稼働させるエネルギーが必要になります。さらに原材料のところまで遡れば、必要になるエネルギーはさらに膨大なものになります。つまり、車が出来上がるまでに環境破壊を含めた可能性のある膨大なエネルギーが費やされているのです。
また、EV車には高性能なバッテリーが必要となります。このバッテリーの開発・製造においても膨大なエネルギーが使用されており、車本体のみで考えた場合、環境にやさしいのはむしろガソリン車の方と言えるかもしれません。
EV車を動かす電気の発電方法は?
また、もう1つ考えなければいけないのが電力です。EV車を動かす電気を作るためにも二酸化炭素は排出されています。こちらは発電方法によって異なるので、ここでは日本で導入されている代表的な3つの発電方法を二酸化炭素排出量と共にご紹介します。
火力発電
日本で最も多くの発電量を誇る発電方法。日本で発電されている電気の内、約8割が火力発電による発電です。
その名の通り燃料を燃やすことでタービンを回して発電する仕組みで、1khwあたり943gの二酸化炭素を排出します。
自然エネルギー(水力・太陽光・地熱・風力)による発電
水力や太陽光など、自然のエネルギーを利用しておこなう発電方法です。
二酸化炭素の排出量はゼロで環境にとてもやさしい発電方法ではありますが、気候の変動によって発電量が左右されてしまうといった、安定性に欠ける部分がデメリットです。
原子力発電
最後に何かと問題視される原子力発電です。
原子核の分裂する勢いを利用して水を沸騰させ、水蒸気でタービンを回すことで発電する仕組みです。
放射能という高いリスクは負わなければいけませんが、二酸化炭素の排出量はゼロです。環境への配慮はもちろん、安定した電力供給が可能なことから重宝されている発電方法です。
まとめ
環境問題の改善を目指し、国を挙げてEV車の導入が促進されています。EV車は電気だけで走行するので二酸化炭素や有害な排気ガスは出ないですし、石油を使用しないことで資源の節約をおこなうことも可能です。
ただし、記事内で述べた通りEV車本体の生産や利用する電気の発電方法によって、二酸化炭素は多く排出されてしまいます。バッテリーの交換頻度によっては、むしろ環境に悪くなってしまう可能性もあります。
EV車は二酸化炭素の排出量がゼロではないということを把握してから、EV車の導入を検討するようにしましょう。