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更新日:2019.12.20 / 掲載日:2019.12.20
インホイールモーターに欠点はあるのか?インホイールモーターの仕組みや課題を解説

グーネット編集チーム
近年の自動車技術は著しい進化を遂げており、今やガソリンではなく、ハイブリットカーや電気自動車が主流になりつつあります。
そんな中、1884年に特許が登録された「インホイールモーター」の開発も進められており、2005年にトヨタがインホイールモーターを採用したモデル「Fine-X」を発表しました。
これを機に、今後はインホイールモーター搭載車が普及するともいわれていますが、なぜインホイールモーターはここまで注目されるようになったのでしょうか。
今回は、インホイールモーターの技術や仕組み、今後の課題について解説していきます。
インホイールモーターとは

グーネット編集チーム
インホイールモーターとは、EV(電気自動車)などの車輪内部に装着された電気モーターのことをいいます。
具体的には、駆動輪のホイールの内側、もしくはその近くに電気モーターを設置し、短いドライブシャフトでタイヤに動力を伝える仕組みのことです。
インホイールモーターにはさまざまな利点があるものの、技術的な課題からこれまで広く普及することはありませんでした。しかし、技術の発達により、その問題も解消されつつあるようです。
インホイールモーターの技術について
従来のEVでは、エンジン車のエンジンを置き換えるようなイメージでモーターを搭載していましたが、インホイールモーター採用のEVでは駆動輪付近にモーターを配置し、タイヤを直接駆動する仕組みになっています。
これによりアクセル操作に対する反応が良くなるほか、左右の車輪を独立して制御できるため、ハンドル操作の自由度を向上させることが可能です。
また、従来型のモーター配置ではドライブシャフトなどを介して動力を使えていたため、どうしてもエネルギーのロスが生じていました。
しかし、インホイールモーター型では動力を駆動輪に直接伝えることができ、エネルギーのロスを防ぐことができます。
<インホイールモーターの利点>
・アクセル・ハンドルの操作性向上
・エネルギー伝達率の向上
インホイールモーターの欠点と課題
インホイールモーターを導入することには大きな利点がありますが、以前から抱えていた問題が全て解消されたわけではありません。
たとえば、インホイールモーターはタイヤへ動力を効率的に伝えることができますが、その分、路面からの衝撃もモーターに伝わりやすくなってしまうという欠点があります。また、モーターはタイヤとほぼ同じ高さに設置されますので、浸水や異物が入り込むといった影響も受けやすいといえるでしょう。つまり、現状ではインホイールモーターは壊れやすいということです。
EVにとってモーターとは、ガソリン車におけるエンジンのようなものですから、そのモーターが壊れやすいとなれば、いくら操作性が高くても需要はないでしょう。そのため、モーターの耐久性を強化することがインホイールモーターの大きな課題だといえます。
また、インホイールモーターの搭載スペースと重量制約の中で高性能モーターを作らなくてはいけないことや、ブレーキと隣接するため熱対策が必要になるなど、インホイールモーターには解決すべき問題がまだ残されているのです。
まとめ
インホイールモーターとはEV駆動輪の内側に設置される電気モーターのことで、操作性やエネルギー伝達が向上するというメリットがあります。
未だ耐久性や性能、熱対策といった課題を抱えてはいるものの、トヨタや日産をはじめ、多くの企業がインホイールモーターの開発に取り組んでいます。
そのため、これらの課題が解消され、インホイールモーター型の車が普及するのは時間の問題かもしれません。