カーライフ
更新日:2020.06.09 / 掲載日:2020.06.09
煽り運転は車間距離で判断される?理想的な車間距離や煽り運転の対処法

グーネット編集チーム
近年、「煽り運転」が社会的問題となっています。SNSにドライブレコーダーの動画がアップされ、ニュースでも取り上げられるようになり、煽り運転はもはや身近な危険として認識されるようになりました。
では、どのくらい車間距離が狭ければ、煽り運転に該当するのでしょうか。また、「煽り運転」をされていると感じたら、どうすればいいのでしょうか。
この記事では、煽り運転と車間距離との関係や、煽り運転を受けた際の対処法について解説します。
煽り運転は車間距離だけでは判断できない!?
煽り運転は、以下の道路交通法違反行為などを複数組み合わせた危険運転を指します。
・車間距離不保持
・急ブレーキ禁止違反
・進路変更禁止違反
車間距離に限って見ると「車間距離不保持」にあたりますが、煽り運転とみなされる車間距離が具体的に定められているわけではありません。
道路交通法第二十六条では、車間距離について次のように定められています。
「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない」
※引用:道路交通法第二十六条より
上記の条文を読んでわかるとおり、「100m離れなければならない」などの具体的な数値の記載はありません。その理由は、走行する速度によって車が停止できる距離が異なるからです。つまり、「後ろの車との距離が近い気がする」というだけでは「煽り運転をされている」と断言できないのです。
煽り運転になる運転行為とは?
現行の道路交通法上では「煽り運転」の定義はありませんが、一般的には以下のような行為を煽り運転とされています。
・車間距離を詰める
・急な車線変更による無理な追い越しをおこなう
・不必要な急ブレーキをかける
・蛇行運転や幅寄せをする
・クラクションで威嚇する
・道路上で前方に立ちふさがり進行を妨害する
・執拗なパッシングやハイビームをおこなう
・無理やり停車させて怒鳴りかかったり暴行を加えたりする
ちなみに、2020年3月には、煽り運転に罰則を設ける道路交通法改正案が閣議決定されました。その改正案では、煽り運転が「通行を妨害する目的で、急ブレーキや車間距離を詰めるといった違反を繰り返すなどの行為」と規定されています。
この改正案が成立すれば、上記のような行為をした場合には、
・3年以下の懲役または50万円以下の罰金
・高速道路上で他の車を停止させた場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金
といった罰則が課せられることになります。
そもそも理想の車間距離とは
煽り運転のなかでも一番多い被害は、車間距離を詰められることです。そもそも、理想的な車間距離とはどのようなものなのでしょうか。
理想とされる車間距離は、「自分が前の車の動きを見て反応できる時間」と「自分の車がブレーキを踏み始めてから停止できるまでの距離」を考えて、少し多めにとらなければなりません。
なぜ車間距離の確保は必要なのか

グーネット編集チーム
車間距離の確保は、安全に走行するうえで欠かせません。
車は急に止まることができず、車にブレーキがかかってから停止できるまでの距離は、走行速度によって変わります。例えば、時速30km/hでは約14m、時速80km/hでは約58mもの距離が必要といわれています。
車が停止するまでの「停止距離」には、
・自分が危険に気付いてブレーキを踏み、車にブレーキがかかるまでの「空走距離」
・ブレーキをかけて車が停止するまでの「制動距離」
の2つが含まれます。
車に停止できる制動力があっても、自分が危険に気付いてすぐにブレーキを踏み始められなければ、停止距離は延びてしまいます。つまり、停止距離以上に車間距離を確保しておかなければ、前を走行する車に衝突する危険性が上がってしまうのです。
車間距離が短いと煽り運転の誤解につながることも
車間距離を十分に確保しておかなければ、自分の前を走る車に「煽られているかもしれない」という誤解を与えてしまう可能性があります。
一般的に、車のバックミラー(ルームミラー)は拡大鏡になっています。したがって、自分はしっかりと車間距離を空けているつもりでも、前を走る車からは実際よりも近く感じられている可能性が高いのです。
前の車のリアタイヤが見えない距離まで近づけば、相手は危険な距離まで近づかれていると認識するでしょう。しっかりと距離を開けて走行し、誤解されないようにしましょう。
車間距離を確認するなら「時間」で測ろう
車間距離の確保は、煽り運転と判断されないためにとても重要です。しかし、運転しながら前の車との距離を常に確認することは、なかなか難しいものです。
100km/hで走行しているときは大体100mを空けておく必要がありますが、速度が変わった際に、どのくらい空ければ良いかを瞬時に計算するのは現実的ではありません。また、高速道路などでは車間距離を示す看板が設置されていますが、前の車も同じ速度で走っているとは限らないので、正確な距離を確保することは難しいでしょう。
車間距離を確認するときは、看板や体感距離ではなく時間で測る方法がおすすめです。あらゆる速度で応用でき、距離の目安となる看板なども必要ありません。
車間距離を時間で測る方法
車間距離を時間で測るときは、次の手順で実践してみましょう。
1.看板・街頭・電柱など、基準となる目印を決める
2.前の車が目印を通過してから自分が通過するまでの時間を数える
3.2の時間が2秒以上空いていればOK
手順2の時間が2秒以上であれば、何かあってもギリギリ対処できる車間距離が保持できています。
2秒間の数え方にもコツがある
上記の2秒間を数える際にもコツがあります。
例えば、「イチ、ニ」「ゼロ、イチ、ニ」といった数え方は、早口になると2秒未満であることが多いです。
「ゼロゼロイチ、ゼロゼロニ」と、「イチ」と「ニ」の前に「ゼロゼロ」を付けて数えることで、2秒以上を確保することができます。ぜひ実践してみてください。
もし煽り運転をされていると感じたら?

グーネット編集チーム
「後ろの車との車間距離が近すぎる」など、煽り運転をされていると感じたことがある方は少なくないでしょう。危険な煽り運転の被害に遭わないための対処法を、一般道の場合と高速道路の場合とで、それぞれご紹介します。
一般道を走行していて煽り運転されていると感じた場合
一般道を走行時に煽り運転をされていると感じた場合、後ろの車は単純に急いでいるケースが多いです。
片側2車線以上ある一般道で、自分が右車線(追い越し車線)にいる場合は、速やかに左車線(走行車線)に戻りましょう。片側1車線の道路で追い越しができない状況の場合は、路肩に車を停めて先を譲ったり、コンビニなどに立ち寄って退避したりしましょう。
高速道路を走行して煽り運転されていると感じた場合
高速道路で煽り運転をされていると感じた場合も、左に車線変更をして後続車を先に行かせましょう。
高速道路は基本的に、走行車線と追い越し車線の片側2車線以上になっています。一般道も共通となりますが、追い越しを終えても追い越し車線の走行を続けるのは「通行帯違反」という交通違反です。追い越しを終えたら走行車線に戻ることが、煽り運転を受けない対策にもなります。
もし、道を譲っても被害が続くなら、パーキングエリアやサービスエリアに退避しましょう。
まとめ
今回の記事では、煽り運転と車間距離の関係について解説しました。内容をまとめると、以下のようになります。
・煽り運転に具体的な車間距離の規定は存在しない
・しかし、車間距離を詰めることは煽り運転の定義のひとつである
・適切な車間距離を保つには時間で測ると良い
・煽り運転をされていると感じたら、とにかく譲るのがベスト
煽り運転は自分が被害者になることを想定しがちですが、自分が加害者になる可能性もあります。知らずに相手を不快にさせないよう、日頃から車間距離に気を付けて運転しましょう。