カーライフ
更新日:2021.01.12 / 掲載日:2021.01.12
【グー連載コラム】永福ランプのマニアック車パトロール隊 (2021年1月)
【今回のマニアック車】 いすゞ ジェミニ(2代目モデル)
『街の遊撃手』というCMコピーは一生忘れられない。目撃車両は車高をローダウンされ、さりげないエアロで武装していた。見るからにヨーロピアン・スポーティなたたずまいだ。
「街の遊撃手だからっ!」
古くてマニアックなクルマの値段が軒並み高騰している。GT-RやRX-7などのビッグネームは言うまでもないが、もうちょっとマイナーで「知る人ぞ知る名車」みたいなのも上がっている。
たとえば、いすゞジェミニ。グーネットで調べてみると、初代のZZ(ダブルズィー)や、3代目のイルムシャーRは、軒並み3ケタ万円だ。初代の2ドアクーペZZ-Rには、275万円のプライスタグが付けられている!(執筆時点)
私も初代ジェミニには憧れた。理由はズバリ「外車みたいだったから」。当時いすゞはGM傘下にあり、初代ジェミニはオペル・カデットと車台を共有し、ドイツ車の香りがした。なかでもZZは特別だった。
しかし私の心にもっと強く残っているジェミニ。それは2代目の、いわゆる“街の遊撃手”である。
2代目ジェミニは、非常にシンプルで端正なスタイリングを持ち、どこか日本車離れしていた。しかもCMが抜群。複数台のジェミニがダンスを踊るようにぴったり息を合わせて欧州の街中をドリフトで駆け抜ける姿は、青年だった私の心に深く食い込んだ。“街の遊撃手”というのは、そのCMにおけるコピーなのだが、映像もコピーも国産車史上に残る名作だった。
先日とある駐車場で、その2代目ジェミニの4ドアセダンを目撃。私は思わず「すげぇっ! 街の遊撃手だぁ!」と歓声を上げた。じつは2代目ジェミニには、一度も乗ったことがないのだが、あのクルマは我々中高年世代にとって、スタイリングとCMだけで十分だ。
2代目が生産されたのは、85年から90年まで。最低でも30年は経っているから、さすがにタマ数は残り少なく、執筆時点ではわずか4台になっていた。2代目ジェミニには、初代のZZや3代目のイルムシャーRのようなとんがったモデルがなかったのが痛い。しかしそのぶん価格はこなれていてお手頃だ。
経歴
1985年 2代目へモデルチェンジ
GMとの共同開発車としてデビューした初代モデルからボクシーなスタイルへ一新。初代のFRから駆動方式を変更し、「FFジェミニ」と呼ばれた。
1986年 「イルムシャー」追加
独イルムシャー社製の足まわりが装着され、1.5Lガソリンターボエンジンが搭載された、スポーツモデル「イルムシャー」グレードを追加。
1987年 ツリ目ライトを採用
初のマイナーチェンジが実施され、ヘッドランプデザインが変更される。従来のスクエア形状から、サイドまで回り込ませた“ツリ目”となった。
1989年 マイナーチェンジ
英ロータス社によってチューニングされた新グレードが前年に発売され、この年には、2度目のマイナーチェンジを敢行。内外装が改良された。
1990年 3代目へモデルチェンジ
スポーティな特別仕様車が多く設定されたが、この年に生産終了し、3代目へ。なお、4代目モデル以降はホンダ車のOEMモデルとなる。
マニアック指数 99点
グーネット掲載車価格帯 50万から70万円
85年、「FFジェミニ」という車名で登場したのは、しばらくはFRの初代も併売されたから。2代目にはコアな愛好者は多くはないかもしれないが、逆にだからこそコアにマニアック! 残存台数の少なさもマニアック度を高めている。
ピピーッ! 取り締まります
ピピーッ! 取り締まります
自動車評論家 永福ランプ
かつて(今も)清水草一、以前はMJブロンディ、そして現在は永福ランプと名乗る。カーマニアを自称し、街中を走るマニアック車を見つけ出すことに老後の楽しみを見つけた。
(掲載されている内容はグー本誌2021年2月号の内容です)※中古車価格はグーネット 2020年12月調べ。記事中の価格は参考であり、中古車価格を保証するものではありません。